【それぞれの】Skyrim【正義】
2012年5月11日 日常
ヒトにはそれぞれの立場と信念がある。
故にヒトは衝突と敵対を繰り返すのだろう、、、。
「敵を知り己を知らば百戦危うからず」というのは孫子の兵法だが、一方の立場にありながら他方の信念に触れたならば、そこに在る真実に対して己はどうすべきなのだろうか?
街を行く衛兵に時折、声をかけられる。
彼らは繰り返す
「余所者が首を突っ込むな」と。
問題を起こすのは大概、その土地の事情を知らない余所者だ。
背景もしきたりも知らず、ただ触れ合った個人の言を元に問題を起こす。
「人助け」の美名の下に、、、。
ある若者の家族の無念を晴らそうと、、、俺もただそう思ってことだった。
これは「人助け」なんだ、と。
結果的に俺はこの都市の暗部を垣間見ることになり、ただ真実を知りたいと願った若者を冷たい骸に変えてしまった、、、。
いや、それに留まらず俺自身もまた囚われの身となり、日の差さぬ坑道でむせるような湿気と鉱毒を含む澱んだ空気を吸うハメになった。
「それで、、、」
薄暗いカンテラの灯に照らされた髪も髭も伸び放題のブレトンは書類仕事が一段落したのか、俺のほうに向き直って聞いた。
「それでオマエはどうしたいんだ?」
俺は、、、俺は黙ったまま目の前の眼光鋭い初老の男を見つめていた。
正直、答えに窮していた。
「、、、オマエは選ばねばならん」
「何を、だ?」
質問で返すのは本当に何を言われているのか解らない時か、答えるべきことが解っているがそれが選べない時、、、無論、現在は後者だ。
マダナックはふん!と鼻で笑うと嘲る様に歯茎を見せた。
「オマエは迷っている、、、双方の立場を知った上で”すべてが丸く収まる方法はないか、、、きっとあるはずだ!”と、な」
俺は一瞬、胸の内を見透かされたような気がした。
「、、、残念だがその答えは無い」
マダナックは一瞬、哀れむような目つきで俺を見た。
「確かに、そうかも知れん、、、」
「アンタ達は身勝手なノルド共の侵略を受けた、、、言わば被害者だ」
俺は彼を見つめ、続けた。
「アンタ等には俺の考える正義、”復讐の正当性”が、確かに、ある」
「、、、だが、、、」
「”だが”なんだ?」
マダナックは不思議と穏やかに言った。
「テロリズム、、、”暴力によっての奪還は新たなる争いの火種にこそなれど、決して平和や安息の礎となることの無い蛮行に過ぎず、更なる破壊と混乱を招く愚行だ”とでも言いたいのか?」
「、、、」
「ナンセンスだ、、、誰かが我慢すればいいなんてのは押さえつけてる側の理屈に過ぎない、、、そうだろう?」
「現在の生活者達に対する配慮が必要か?、、、彼等の日常というものは我々の抑圧の上に成り立っている、、、違うか?」
、、、ああ、俺の迷いは俺にこの世界に対するルーツとも言うべき「存在の根拠」が欠けているコトが原因なのか、、、。
これがもし、俺の故郷たるエルスウェーアが何者かに侵略され、家族や自分自身が強制労働や迫害の対象になっているとしたら、、、、。
街外れのドゥーマー遺跡から見下ろすマルカルスが燃えている、、、。
、、、俺は間違った選択をしたのだろうか?
市街で起きた火災のために吹き上げてくる熱風の中にヒトが焼け焦げる厭な臭い感じる、、、俺はフォースウォーンの女性から受け取った荷物を確かめると、鉱山労働者のボロに袖を通した。
混乱に乗じて街の外へ脱出しよう、、、そう思った矢先、俺に連続殺人の罪を着せ、シドナ鉱山に放り込んだ張本人である「ちょび髭」野郎が道端で膝をついているのを見つけた。
肩で息をしている奴の周りには奴の息が掛かった腐りきった連中が何人も倒れている、、、俺は傍らに倒れたマルカルス衛士隊の死体が握る弓をそっと取り上げ、矢を番えた。
俺はマダナックの言っていたコトが少しだけ理解出来た様な気がした。
故にヒトは衝突と敵対を繰り返すのだろう、、、。
「敵を知り己を知らば百戦危うからず」というのは孫子の兵法だが、一方の立場にありながら他方の信念に触れたならば、そこに在る真実に対して己はどうすべきなのだろうか?
街を行く衛兵に時折、声をかけられる。
彼らは繰り返す
「余所者が首を突っ込むな」と。
問題を起こすのは大概、その土地の事情を知らない余所者だ。
背景もしきたりも知らず、ただ触れ合った個人の言を元に問題を起こす。
「人助け」の美名の下に、、、。
ある若者の家族の無念を晴らそうと、、、俺もただそう思ってことだった。
これは「人助け」なんだ、と。
結果的に俺はこの都市の暗部を垣間見ることになり、ただ真実を知りたいと願った若者を冷たい骸に変えてしまった、、、。
いや、それに留まらず俺自身もまた囚われの身となり、日の差さぬ坑道でむせるような湿気と鉱毒を含む澱んだ空気を吸うハメになった。
「それで、、、」
薄暗いカンテラの灯に照らされた髪も髭も伸び放題のブレトンは書類仕事が一段落したのか、俺のほうに向き直って聞いた。
「それでオマエはどうしたいんだ?」
俺は、、、俺は黙ったまま目の前の眼光鋭い初老の男を見つめていた。
正直、答えに窮していた。
「、、、オマエは選ばねばならん」
「何を、だ?」
質問で返すのは本当に何を言われているのか解らない時か、答えるべきことが解っているがそれが選べない時、、、無論、現在は後者だ。
マダナックはふん!と鼻で笑うと嘲る様に歯茎を見せた。
「オマエは迷っている、、、双方の立場を知った上で”すべてが丸く収まる方法はないか、、、きっとあるはずだ!”と、な」
俺は一瞬、胸の内を見透かされたような気がした。
「、、、残念だがその答えは無い」
マダナックは一瞬、哀れむような目つきで俺を見た。
「確かに、そうかも知れん、、、」
「アンタ達は身勝手なノルド共の侵略を受けた、、、言わば被害者だ」
俺は彼を見つめ、続けた。
「アンタ等には俺の考える正義、”復讐の正当性”が、確かに、ある」
「、、、だが、、、」
「”だが”なんだ?」
マダナックは不思議と穏やかに言った。
「テロリズム、、、”暴力によっての奪還は新たなる争いの火種にこそなれど、決して平和や安息の礎となることの無い蛮行に過ぎず、更なる破壊と混乱を招く愚行だ”とでも言いたいのか?」
「、、、」
「ナンセンスだ、、、誰かが我慢すればいいなんてのは押さえつけてる側の理屈に過ぎない、、、そうだろう?」
「現在の生活者達に対する配慮が必要か?、、、彼等の日常というものは我々の抑圧の上に成り立っている、、、違うか?」
、、、ああ、俺の迷いは俺にこの世界に対するルーツとも言うべき「存在の根拠」が欠けているコトが原因なのか、、、。
これがもし、俺の故郷たるエルスウェーアが何者かに侵略され、家族や自分自身が強制労働や迫害の対象になっているとしたら、、、、。
街外れのドゥーマー遺跡から見下ろすマルカルスが燃えている、、、。
、、、俺は間違った選択をしたのだろうか?
市街で起きた火災のために吹き上げてくる熱風の中にヒトが焼け焦げる厭な臭い感じる、、、俺はフォースウォーンの女性から受け取った荷物を確かめると、鉱山労働者のボロに袖を通した。
混乱に乗じて街の外へ脱出しよう、、、そう思った矢先、俺に連続殺人の罪を着せ、シドナ鉱山に放り込んだ張本人である「ちょび髭」野郎が道端で膝をついているのを見つけた。
肩で息をしている奴の周りには奴の息が掛かった腐りきった連中が何人も倒れている、、、俺は傍らに倒れたマルカルス衛士隊の死体が握る弓をそっと取り上げ、矢を番えた。
俺はマダナックの言っていたコトが少しだけ理解出来た様な気がした。
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