【壮大なる】Skyrim【プロローグ】
2012年6月17日 日常 コメント (4)
毎日毎日ブラックリーチを彷徨していると、幾分憂鬱な気持ちになってくる。
まぁ、あそこには陽が差さない、、、テガミバチの世界の様に真っ暗な空には僅かな範囲だけを照らす、ドワーフ達の残した人工太陽が頼りない光を投げかけるだけの暗闇の世界だからな、、、。
しかも、ちょっと気を抜くとファルメルやファルメルやファルメルやファーマーやらフェルメールだかが大挙して襲い掛かってくるわ、巨人や蒸気巨人(ドワーフセンチュリオン様)が徘徊してるもんだからね、、、暗いのと危ないのとで大変に気を遣うんだよ、、、。
ほら、連中は人間と違って手加減してくれないじゃん?
俺はいいけど(よくないけど)嫁が惨殺されちゃうんだよ、、、囲まれてフルボッコじゃん、、、ないわー。
、、、それでもたまたま拝借した宿に残されていた「シンデリオンの日記」を読んだことから、この(見たところ相当な勢いで惨殺されている)志半ばにして凶弾に倒れた本草学者の研究を完成させるべくブラックリーチを隈なく歩いて赤いニルンルート(クリムゾンニルンルート)を30株集めるという仕事に取り掛かっていた。
「ふぅ、、、これでやっと17本か、、、!」
俺は陸地にも生える種類だとは聞いていたが、それでも主に水辺からの探索を進めていた。
どっちにしろ道端よりは断然水辺に多いし、うっかりファルメルや巨人に出会っても水に逃げ込めば聴覚を頼りにしている連中からは大概逃げ切れるからな。
「、、、おーい!そろそろ引き揚げようぜ」
俺は特に水辺を移動しているといつの間にかスイスイと泳いでいる嫁に声をかけた、、、しかしよく盾持ったまま泳ぐよなぁ、、、アレだけは何時見ても違和感たっぷりだぜ。
ブラックリーチ内には各所に地上へと続くエレベーターが用意されている、俺は近くにあったそのうちの一基を使って地上へと向かった。
ビュォォオオオオ・・・・
「うへぇっ!寒ッ!!」
ブラックリーチは地下に広がる大空洞だ、、、湿気と地熱、、、そして人工太陽の影響だろうか?うだるような熱気と湿気で至る所に巨大菌類が繁殖し、その覇権を争っている、、、まぁ、見た目はちょっとスッキリしてるが「腐海」みたいなモンだと思っておけばいいかね?常時「午後の胞子」が舞い飛んでいるけどな。
地上に出るとそこはウィンターホールドの少し南西に位置する山脈の中腹辺りの森林地帯だった、、、一面の雪景色にさっきまで暑さしのぎに泳いでいたもんだから身も心も凍えそうになるね。
早々に雪トロールに襲われるが、素早く嫁が盾で攻撃を受け止める。
その隙に俺が少し横に回りこんで弓で止めを刺す、、、流石夫婦!見事な連携だ!←誰だよ?
「、、、運動にはなったがやっぱり寒くてかなわんなァ、、、」
「早くウチへ帰りましょう」
「そうだな、、、シャドウメアを呼ぶか、、、」
俺はかじかんでよく動かない右手の指をよく揉み解し、指笛を吹いた。
、、、それにしてもこのアストリッドに貰った馬は謎だよな、、、呼べば何時の間にか物陰から現れるだろ?
やっぱり妖怪変化の類なのかね?
今回も森の奥から現れたシャドウメアに、嫁と荷物を満載して一路リフテンのウチに向かった。
「おかえりなさい、従士様」
自宅のドアを開けると、当たり前のようにイオナが出てきて挨拶した。
「お掃除とシーツの洗濯はしておきました」
「ああ、そうみたいだな、、、」
俺はリビングを見回して軽く頷いた。
「、、、パンも喰ってたみたいだな」
「ええ、これも仕事ですから」(モグモグ、、、)
「それは従士の仕事じゃないわよ!」
嫁が気色ばむが、オマエだってホワイトランの家で留守番してるときにはいつでも俺の寝室でパンかじってたじゃねーか!、、、とか言ったら火に油というか俺の命が危ないので聞かなかったことにしよう。
俺は俺にとっての日常が戻ったようでこういうやりとりはちょっとホッとするのさ。
数日をリフテンで過ごした俺は、連日のブラックリーチ探索での疲労を癒すためにショールストーンの先にあるエルダーグリーム聖域周辺に出掛けた。
まぁ、これにはちょいと理由があってね、、、自宅の薬品貯蔵庫に以前の探索で保管してあったクリムゾン・ニルンルートが13本あると思っていたんだけど、、、どんな効果がある素材なのか確かめようとして一本喰っちゃってたのを忘れてたんだよ。
だからもう一本探しに行くのにまたあそこに潜るのかと思うと、、、なんだかちょっとキビシくなっちゃってねェ、、、そんなこんなでもう終わりだと思ってた嫁もすっかり機嫌が悪くなってしまったのでな、、、機嫌取り半分、俺の骨休め半分なのさ。
、、、あの辺りはすっかり荒れ果ててしまい、今となっては野盗や山賊が跋扈し、ドラゴンが昼夜を問わず飛び回る普通の人間にとっては近寄りがたい土地だが、良質の温泉が湧き出す知る人ぞ知る湯治場だ。
(、、、そこで出会った奇妙な夫婦の少し悲しい物語を語るのは、また別の機会にしよう)
湯に浸かっている間に山賊を10人ほどとドラゴン2匹を撃ち殺したが、、、もう少し俺を放っておいてくれないものかね?
俺とリディアが「やっぱり街に戻ってゆっくりしよう」と結論したのは二日目の夕方だった。
「、、、ドラゴンを引き寄せる匂いでも出てるんですか?」
動かなくなった巨大な爬虫類を横目に嫁が聞いてきた。
「ぃゃ、、、特にPRしてるつもりは無いんだが、な、、、」
骨と鱗、そして今までに撃ち込まれてその体表に残っている弓矢を引き抜きながら俺が応える。
「俺だって、好き好んで殺してるワケじゃねぇんだけどなぁ、、、」
俺は先日ハイ・フロスガーで「長話」をした白龍パーサーナックスのことを思い出し、はからずも「こんな奴等とだったら一緒に暮らせそうなのに、、、」と考えてしまった自分は魂の部分はむしろヒトよりも龍に近いのだと感じていた。
「兎に角、ここは俺にとっても次々に沸き出す龍にとっても都合が悪い、、、明日の朝には出発しようか、、、」
「そうですね、、、」
嫁はコクンと頷くと近くの平坦な草の原に鹿の毛皮を縫い合わせたマットや、木組みの簡易テントを準備し始めた。
翌朝、明るくなるとすぐに嫁の作った朝食を食べ、リフテンを目指して歩き出した。
予定通りに進めばショールストーンには「暗くなる前にたどり着ける」筈だった。
、、、コトの発端は鹿である。
少しゲームに熱中し過ぎ、ふと我に還ったら思わぬ散財をしていたりビックリするほど時間が経過していたり、、、、そんな経験は無いか?←無いワケが無い
普段は様々なモノを生産し、それに付呪して販売するのを生業としている俺だが、最近は素材を街中の業者から一括購入して加工のみを自宅兼工房で行っている。
「たまには初心に帰って、、、」などと言い出したのがどちらだったのかは今となっては分からないが、兎に角「毛皮のために鹿を狩る」競争になったのは確かだ。
久々のディアハンターはブランクも手伝ってなかなか成果の上がらないラブゲーム的な様相を呈していた。
(ラブゲームと言っても「恋の駆け引き」じゃないぞ?「零点ゲーム」の方だ)
普通はディアハントって言えば獣道や水場でのアンブッシュ(待ち伏せ)やストーキング(隠密接敵)が王道なんだろうが、何しろ歩いている最中に見かけた鹿を我先にと走って追いかけ、走りながら矢を放つもんだから当たらない当たらない、、、。
「、、、ぉぃ、、、そろそろ日が暮れてきたんだが?」
「ぇぇ、、、そのようですね、アナタ、、、」
俺たちは獲物を追いたてるだけ追いたて、ほとんど何も獲得しないまま矢筒だけを軽くして夕方を迎えていた。←馬鹿
「と、、とりあえず、今日のところは引き分けってコトで、、、」
俺は周囲を見回し、ここが山間の緩斜面でしかも山に遮られる様に今まさに西日が消えようとしているの見て取った。
「、、、早急に野営の準備をしないと、な」
嫁は返事をしようとしてこちらを見ると、ふと、俺の後ろに何かを見つけたように眉根を寄せた。
「ええ、、、でも、あそこに焚き火が見えるわ」
「!」
慌てて俺が振り返ると、確かにちらちらと小さな炎が見え隠れしている。
俺と嫁は顔を見合わせた、、、この世界の住人のうちマトモな連中の9割は街や村に集団で住み着いている。
人里離れた山奥で善良な狩人に出会い、一宿一飯の恩を着る事よりも「ここに来るべきじゃなかったな、、、!」というお決まりの文句で棍棒や手斧を振り回す山賊に追い回される可能性のほうが断然高いのだ。
「、、、ダメ元で行ってみるか?」
「ええ」
嫁は碧水晶の斧を素早く構えると、薄く笑みを浮かべた。
「必要があれば、殺せばいいし、ね」
夕闇迫る森の中で見つけた仄かな炎の揺らめきは、実際にはちょっとした渓谷を挟んだ向かい側の斜面だった。
たっぷり一時間ほどかけて沢を迂回してゆくと、古い街道らしき比較的しっかりしている馬車の通れそうな道路から少し山側へ入ったところに石を切り出して組み合わせたような古代遺跡の入り口めいたものがある。
「、、、ここか、、、」
俺は念のため街道沿いの遺跡の入り口にシャドウメアと嫁を置き、一人で焚き火に向かって歩いていった。
俺はわざと足音を立てて歩き、害意の無いことを示すために両手を自由にしながら焚き火の周りでなにやらせわしなく動いているローブを身にまとった人影に向かって声をかけた。
「、、、こんばんは!」
俺から見て焚き火の向こう側に居た人影が一瞬、ビクッと緊張した。
「夜分に申し訳ないが、ちょいと道に迷っちまってねェ、、、」
「動くなッ!!」
人影の声から察するにまだ若い男のようだった。
弾かれるように焚き火近くのテーブルに立て掛けてあった杖を手に取ると、男は焚き火の向こうからでは俺のことが良く見えないらしく(俺からは焚き火に照らされて男が良く見えるのだが)、眉間にしわを寄せて厳しい目つきで俺の声がしたほうを油断無く見据えて言った。
「、、、ここはお前等のような山賊共にくれてやるものは一つしかないぞッ!」
「ちょっ、、、ちょっと待て!待ってって!!」
俺は慌てて男にも見えるように焚き火の明かりの届く範囲に歩み出た。
「いいか?、、、撃つなよ、、、頼むから、撃つなよ?」
俺が何も持たずに両手を挙げているのを見て、男は少しは安心したのかいきなり俺に電撃を食らわすようなことはしなかったが、依然として厳しい目線を送ってくる。
「停まれ!、、、一体何者だ!?」
「何者って言われても、、、まぁ、リフテンからの旅行者ですよ」
「、、、街道を歩いていたらちょいと道を逸れちまったみたいでしてね、、、」
俺が解り易く答えようとするのを遮って、男は言った。
「残念だが、ここはオマエみたいな怪しい旅行者もお断りだ」
男はぴしゃりと会話を打ち切った、、、取り付く島も無ェなぁ、、、そして
「死ねッ!オマエはここへ来るべきじゃ、、、あッ!」
男がローブの裾を翻して杖を振り上げると、急に身体を「く」の字に折り曲げて弾ける様に後方へすっ飛んでいった、、、俺が振り返ると街道で待たせておいた嫁が何時の間にか二の矢を番えた弓を構えて立っていた。
「、、、助かったよ、ありがとう」
「思ったとおり、、、悪党だったわね」
まぁね、、、半ば予想された展開だったが、ね。
「、、、まったく、何時からこの世はこんな散歩してるとその都度悪党の巣窟に踏み込んじゃうようになっちゃったのかしら?」
嫁が呆れるのももっともだと思いつつ、俺はここもまたいつもの様な山賊の住処ではないかと思い始めていた。
、、、眠いので、また後で。
まぁ、あそこには陽が差さない、、、テガミバチの世界の様に真っ暗な空には僅かな範囲だけを照らす、ドワーフ達の残した人工太陽が頼りない光を投げかけるだけの暗闇の世界だからな、、、。
しかも、ちょっと気を抜くとファルメルやファルメルやファルメルやファーマーやらフェルメールだかが大挙して襲い掛かってくるわ、巨人や蒸気巨人(ドワーフセンチュリオン様)が徘徊してるもんだからね、、、暗いのと危ないのとで大変に気を遣うんだよ、、、。
ほら、連中は人間と違って手加減してくれないじゃん?
俺はいいけど(よくないけど)嫁が惨殺されちゃうんだよ、、、囲まれてフルボッコじゃん、、、ないわー。
、、、それでもたまたま拝借した宿に残されていた「シンデリオンの日記」を読んだことから、この(見たところ相当な勢いで惨殺されている)志半ばにして凶弾に倒れた本草学者の研究を完成させるべくブラックリーチを隈なく歩いて赤いニルンルート(クリムゾンニルンルート)を30株集めるという仕事に取り掛かっていた。
「ふぅ、、、これでやっと17本か、、、!」
俺は陸地にも生える種類だとは聞いていたが、それでも主に水辺からの探索を進めていた。
どっちにしろ道端よりは断然水辺に多いし、うっかりファルメルや巨人に出会っても水に逃げ込めば聴覚を頼りにしている連中からは大概逃げ切れるからな。
「、、、おーい!そろそろ引き揚げようぜ」
俺は特に水辺を移動しているといつの間にかスイスイと泳いでいる嫁に声をかけた、、、しかしよく盾持ったまま泳ぐよなぁ、、、アレだけは何時見ても違和感たっぷりだぜ。
ブラックリーチ内には各所に地上へと続くエレベーターが用意されている、俺は近くにあったそのうちの一基を使って地上へと向かった。
ビュォォオオオオ・・・・
「うへぇっ!寒ッ!!」
ブラックリーチは地下に広がる大空洞だ、、、湿気と地熱、、、そして人工太陽の影響だろうか?うだるような熱気と湿気で至る所に巨大菌類が繁殖し、その覇権を争っている、、、まぁ、見た目はちょっとスッキリしてるが「腐海」みたいなモンだと思っておけばいいかね?常時「午後の胞子」が舞い飛んでいるけどな。
地上に出るとそこはウィンターホールドの少し南西に位置する山脈の中腹辺りの森林地帯だった、、、一面の雪景色にさっきまで暑さしのぎに泳いでいたもんだから身も心も凍えそうになるね。
早々に雪トロールに襲われるが、素早く嫁が盾で攻撃を受け止める。
その隙に俺が少し横に回りこんで弓で止めを刺す、、、流石夫婦!見事な連携だ!←誰だよ?
「、、、運動にはなったがやっぱり寒くてかなわんなァ、、、」
「早くウチへ帰りましょう」
「そうだな、、、シャドウメアを呼ぶか、、、」
俺はかじかんでよく動かない右手の指をよく揉み解し、指笛を吹いた。
、、、それにしてもこのアストリッドに貰った馬は謎だよな、、、呼べば何時の間にか物陰から現れるだろ?
やっぱり妖怪変化の類なのかね?
今回も森の奥から現れたシャドウメアに、嫁と荷物を満載して一路リフテンのウチに向かった。
「おかえりなさい、従士様」
自宅のドアを開けると、当たり前のようにイオナが出てきて挨拶した。
「お掃除とシーツの洗濯はしておきました」
「ああ、そうみたいだな、、、」
俺はリビングを見回して軽く頷いた。
「、、、パンも喰ってたみたいだな」
「ええ、これも仕事ですから」(モグモグ、、、)
「それは従士の仕事じゃないわよ!」
嫁が気色ばむが、オマエだってホワイトランの家で留守番してるときにはいつでも俺の寝室でパンかじってたじゃねーか!、、、とか言ったら火に油というか俺の命が危ないので聞かなかったことにしよう。
俺は俺にとっての日常が戻ったようでこういうやりとりはちょっとホッとするのさ。
数日をリフテンで過ごした俺は、連日のブラックリーチ探索での疲労を癒すためにショールストーンの先にあるエルダーグリーム聖域周辺に出掛けた。
まぁ、これにはちょいと理由があってね、、、自宅の薬品貯蔵庫に以前の探索で保管してあったクリムゾン・ニルンルートが13本あると思っていたんだけど、、、どんな効果がある素材なのか確かめようとして一本喰っちゃってたのを忘れてたんだよ。
だからもう一本探しに行くのにまたあそこに潜るのかと思うと、、、なんだかちょっとキビシくなっちゃってねェ、、、そんなこんなでもう終わりだと思ってた嫁もすっかり機嫌が悪くなってしまったのでな、、、機嫌取り半分、俺の骨休め半分なのさ。
、、、あの辺りはすっかり荒れ果ててしまい、今となっては野盗や山賊が跋扈し、ドラゴンが昼夜を問わず飛び回る普通の人間にとっては近寄りがたい土地だが、良質の温泉が湧き出す知る人ぞ知る湯治場だ。
(、、、そこで出会った奇妙な夫婦の少し悲しい物語を語るのは、また別の機会にしよう)
湯に浸かっている間に山賊を10人ほどとドラゴン2匹を撃ち殺したが、、、もう少し俺を放っておいてくれないものかね?
俺とリディアが「やっぱり街に戻ってゆっくりしよう」と結論したのは二日目の夕方だった。
「、、、ドラゴンを引き寄せる匂いでも出てるんですか?」
動かなくなった巨大な爬虫類を横目に嫁が聞いてきた。
「ぃゃ、、、特にPRしてるつもりは無いんだが、な、、、」
骨と鱗、そして今までに撃ち込まれてその体表に残っている弓矢を引き抜きながら俺が応える。
「俺だって、好き好んで殺してるワケじゃねぇんだけどなぁ、、、」
俺は先日ハイ・フロスガーで「長話」をした白龍パーサーナックスのことを思い出し、はからずも「こんな奴等とだったら一緒に暮らせそうなのに、、、」と考えてしまった自分は魂の部分はむしろヒトよりも龍に近いのだと感じていた。
「兎に角、ここは俺にとっても次々に沸き出す龍にとっても都合が悪い、、、明日の朝には出発しようか、、、」
「そうですね、、、」
嫁はコクンと頷くと近くの平坦な草の原に鹿の毛皮を縫い合わせたマットや、木組みの簡易テントを準備し始めた。
翌朝、明るくなるとすぐに嫁の作った朝食を食べ、リフテンを目指して歩き出した。
予定通りに進めばショールストーンには「暗くなる前にたどり着ける」筈だった。
、、、コトの発端は鹿である。
少しゲームに熱中し過ぎ、ふと我に還ったら思わぬ散財をしていたりビックリするほど時間が経過していたり、、、、そんな経験は無いか?←無いワケが無い
普段は様々なモノを生産し、それに付呪して販売するのを生業としている俺だが、最近は素材を街中の業者から一括購入して加工のみを自宅兼工房で行っている。
「たまには初心に帰って、、、」などと言い出したのがどちらだったのかは今となっては分からないが、兎に角「毛皮のために鹿を狩る」競争になったのは確かだ。
久々のディアハンターはブランクも手伝ってなかなか成果の上がらないラブゲーム的な様相を呈していた。
(ラブゲームと言っても「恋の駆け引き」じゃないぞ?「零点ゲーム」の方だ)
普通はディアハントって言えば獣道や水場でのアンブッシュ(待ち伏せ)やストーキング(隠密接敵)が王道なんだろうが、何しろ歩いている最中に見かけた鹿を我先にと走って追いかけ、走りながら矢を放つもんだから当たらない当たらない、、、。
「、、、ぉぃ、、、そろそろ日が暮れてきたんだが?」
「ぇぇ、、、そのようですね、アナタ、、、」
俺たちは獲物を追いたてるだけ追いたて、ほとんど何も獲得しないまま矢筒だけを軽くして夕方を迎えていた。←馬鹿
「と、、とりあえず、今日のところは引き分けってコトで、、、」
俺は周囲を見回し、ここが山間の緩斜面でしかも山に遮られる様に今まさに西日が消えようとしているの見て取った。
「、、、早急に野営の準備をしないと、な」
嫁は返事をしようとしてこちらを見ると、ふと、俺の後ろに何かを見つけたように眉根を寄せた。
「ええ、、、でも、あそこに焚き火が見えるわ」
「!」
慌てて俺が振り返ると、確かにちらちらと小さな炎が見え隠れしている。
俺と嫁は顔を見合わせた、、、この世界の住人のうちマトモな連中の9割は街や村に集団で住み着いている。
人里離れた山奥で善良な狩人に出会い、一宿一飯の恩を着る事よりも「ここに来るべきじゃなかったな、、、!」というお決まりの文句で棍棒や手斧を振り回す山賊に追い回される可能性のほうが断然高いのだ。
「、、、ダメ元で行ってみるか?」
「ええ」
嫁は碧水晶の斧を素早く構えると、薄く笑みを浮かべた。
「必要があれば、殺せばいいし、ね」
夕闇迫る森の中で見つけた仄かな炎の揺らめきは、実際にはちょっとした渓谷を挟んだ向かい側の斜面だった。
たっぷり一時間ほどかけて沢を迂回してゆくと、古い街道らしき比較的しっかりしている馬車の通れそうな道路から少し山側へ入ったところに石を切り出して組み合わせたような古代遺跡の入り口めいたものがある。
「、、、ここか、、、」
俺は念のため街道沿いの遺跡の入り口にシャドウメアと嫁を置き、一人で焚き火に向かって歩いていった。
俺はわざと足音を立てて歩き、害意の無いことを示すために両手を自由にしながら焚き火の周りでなにやらせわしなく動いているローブを身にまとった人影に向かって声をかけた。
「、、、こんばんは!」
俺から見て焚き火の向こう側に居た人影が一瞬、ビクッと緊張した。
「夜分に申し訳ないが、ちょいと道に迷っちまってねェ、、、」
「動くなッ!!」
人影の声から察するにまだ若い男のようだった。
弾かれるように焚き火近くのテーブルに立て掛けてあった杖を手に取ると、男は焚き火の向こうからでは俺のことが良く見えないらしく(俺からは焚き火に照らされて男が良く見えるのだが)、眉間にしわを寄せて厳しい目つきで俺の声がしたほうを油断無く見据えて言った。
「、、、ここはお前等のような山賊共にくれてやるものは一つしかないぞッ!」
「ちょっ、、、ちょっと待て!待ってって!!」
俺は慌てて男にも見えるように焚き火の明かりの届く範囲に歩み出た。
「いいか?、、、撃つなよ、、、頼むから、撃つなよ?」
俺が何も持たずに両手を挙げているのを見て、男は少しは安心したのかいきなり俺に電撃を食らわすようなことはしなかったが、依然として厳しい目線を送ってくる。
「停まれ!、、、一体何者だ!?」
「何者って言われても、、、まぁ、リフテンからの旅行者ですよ」
「、、、街道を歩いていたらちょいと道を逸れちまったみたいでしてね、、、」
俺が解り易く答えようとするのを遮って、男は言った。
「残念だが、ここはオマエみたいな怪しい旅行者もお断りだ」
男はぴしゃりと会話を打ち切った、、、取り付く島も無ェなぁ、、、そして
「死ねッ!オマエはここへ来るべきじゃ、、、あッ!」
男がローブの裾を翻して杖を振り上げると、急に身体を「く」の字に折り曲げて弾ける様に後方へすっ飛んでいった、、、俺が振り返ると街道で待たせておいた嫁が何時の間にか二の矢を番えた弓を構えて立っていた。
「、、、助かったよ、ありがとう」
「思ったとおり、、、悪党だったわね」
まぁね、、、半ば予想された展開だったが、ね。
「、、、まったく、何時からこの世はこんな散歩してるとその都度悪党の巣窟に踏み込んじゃうようになっちゃったのかしら?」
嫁が呆れるのももっともだと思いつつ、俺はここもまたいつもの様な山賊の住処ではないかと思い始めていた。
、、、眠いので、また後で。
コメント
やっぱ萌えは家内制手工業ですなぁ~
シンデリオンさん前作にもニルンルート絡みで出てきたんですよ。
200年前の話ですけどね。
致し方無かろう、、、途中なんやし、、
かーちゃんが~夜なべをしてぇ~手袋 and crater
死んでリオンさんは何時から死んでおるん?
、、、てゆーかみんな長生きし過ぎだろう?デルフィンおばさんも軽く200年くらい生きそうだぞ?