【アンシルヴァンドの】Skyrim【穴】
2012年6月18日 日常 コメント (2)
~続き。
「、、、ところでコイツはどうします?」
嫁が喉元を矢が貫通して即死しているローブの男を見て言った。
「このままにしておくと面倒なことになりますよ?」
「うーん、、、とりあえず何者なのか調べておくか、、、」
俺は焚き火の傍にあった石組みの小屋やテーブル、死体の持ち物などを順番に見て回った。
どうやらローブの男は駆け出しの死霊術士らしかった。
「死霊術」と言うだけで既にマトモな連中では無いのが確定的に明らかだが、残されたメモやノートによれば建物の焚き火を挟んで反対側(山側)にある一見鉱山風の木戸の奥には首領格の「ルア様」以下数名の死霊術士団が巣食っているらしい、、、。
「、、、どうするかね?」
俺は念のため嫁に意見を求めた、、、いや、だってホラ、、、バカンスの帰りなのに「穴があるから入りたい」とかはマズいだろう?
「あら!”悪の芽を摘むのもドヴァキンの仕事”じゃなかったかしら?」
リディアは、嫁はこういうときに頼りになるなぁ、、、まぁ否定はされないと確信があって聞く俺も俺だけどな。
「よし!じゃあちょいと一仕事して行こうかね」
嫁はこくりと頷くと戦闘用の荷物を降ろしにシャドウメアの待っている処へ走っていった。
木戸の奥はまるで坑道のような土や岩が剥き出しの細い通路だった。
所々に松明やカンテラが挿してあるので足元が危ないということは無かったが、なんとも素人臭い「穴」だ。
少し下り坂になっているその先は急に開けていて木組みの梁が天井を支えているような部屋になっていた、、、
「!」
俺が急に腰を落として歩みを止めたので、背中に嫁が構えていた盾が軽くぶつかった。
俺は無言のまま少し広くなっている部屋の奥、、、木組みの櫓の二階部分を指差した。
嫁がはっと息を呑む。
(、、、ドラウグルだ!)
ゆらゆらとうごめく松明の炎に照らされて、怨嗟の表情もそのままにのそりのそりと一定のコースを巡回する不死の番人、、、現代の死霊術では解明出来ぬその製法は古代ノルドの秘法なのか、この世に未練を残した魂の付呪なのか?
俺たちに出来るのはその魂をソブンガルデに還すべく「砕く」ことのみである。
俺は音も立てずに素早く背中の弓を取り出すと、エルフの矢を一本番えた。
「、、、いきなり”デス・ロード”か、、、」
「、、、いきなり”デス・ロード”ですね、、、」
俺たちは動かなくなった骸を前にお互いが感じた違和感を呟いていた。
、、、少なくとも今迄はドラウグルは自分のテリトリーである古代ノルドの墳墓から出張して来たり、誰かに頼まれて警備に当たるなんてコトは無かったと思う。
しかも「デス・ロード」や「オーバーロード」などの名前こそ残っていないものの土地の郷士・豪族がその素体であるものや、現在の首長クラスで固有の名前で区別されている「ネームド」と呼ばれる特に強力な個体はシャウトを使う者も居る、、、言わば「遺跡のボス」的な存在だ、、、こんな急造ダンジョンの入ってすぐの警備を担当するのはかなり不自然だ。
「仮に、、、」
俺は他のドラウグルが出てくる気配の無いのを確かめながら、通路の奥を見据えて言った。
「仮にこの急造の穴が、古代の遺跡に繋がっていたとしても、だ」
「彼らはそのテリトリーから理由無く離れたりはしないだろう?、、、やっぱりこの穴はおかしい、、、何かがヘンだ、、、」
「それに、、、さっきから聴こえているあの音は何かしら?」
「うむ、、、槌音?、、、ぃゃ、あれは掘削音だな、、、」
嫁は肩をすくめて「私にはなんとも、、、」と首を振った。
「、、、厭な予感がするけど確かめてみるしか無いわね」
俺は軽く頷くと弓を片手に忍び足で奥への通路に向かった。
通路は少し広くなっていたり、屈まないと通れないくらい狭い場所もあってますます素人臭い造りだ、、、そもそも居住性や物資の出し入れなどをあまり念頭に置いていない構造は別の出入り口の存在を臭わせる。
奥に進むと最初は幽かに聞こえていた音が「カン!・・・カン!」とやや不規則ながらもはっきりと聞き取れるようになった。
(二組、、、は居るな)
、、、やがて行く手に木の板で仕切られた部屋が見えた。
部屋の中は灯があるらしく明かりが漏れる板の隙間から椅子に座って監督しているらしい黒いローブの人影と、武器を使って横穴を掘っているドラウグル達が見て取れた。
俺は黒いローブの男をひとしきり調べてため息をついた。
「、、、なんとも解せぬ、な」
この男は恐らくそこそこ出来る死霊術士には違いないだろう、、、だが、こんな連中はスカイリムにはそれこそごまんと居る。
だが、いくら魔法には疎い俺でもこんなレベルの魔法使いにドラウグルを永続的に使役する事が出来るとは到底信じられなかった。
「こんなことなら生かして捕らえるべきでしたね、、、」
痛いところを突くな、、、確かに嫁の言うとおりだ。
苦い顔をしているのが解ったのだろう、、、嫁は「冗談ですよ」と言って笑った。
「魔法使いの類に交渉は禁物です、、、奴等はヒトの心と魂を奪う、、、」
「何も喋らせないうちにソブンガルデに送りつけるべきでしょう!」
嫁は武器を握ったまま動かなくなったドラウグル達に目をやった。
「こいつらは死霊術士を即死させた後も普通に襲い掛かってきました、、、」
「つまり、”彼らによって創造されたり再起動させられたワケじゃない”ってコトだな?」
俺が後を続けると嫁はこくりと頷いた。
「単なる死霊術の応用なら手に負えない相手ではないと思います、、、」
「でも、もし、、、”超常の存在”が介入しているのだったら、、、」
「、、、デイドラ、、か」
ダンジョンやクエストの途中で引き返したくなる瞬間だ、、、まったく、奴等が絡むと話はややこしくなる上に理不尽な結末に至る場合がほとんどだ!
俺は盛大にため息をつくと、「もし奴等絡みの一件だったら途中で引き返すぞ?」と嫁に念を押してその先に続く横穴に向かった。
「ルア」率いる死霊術士の一党がナニを目指して地下道を掘り進んでいるのかは定かではないが、彼(彼女)らがなんらかの方法で地下に眠っていたドラウグルを手懐け(?)て作業を進めているらしい。
目的によっては俺がとやかく言うことではないかもしれない、、、例えば、何処かで聞いたような話だが、、、半永久的に稼動するドラウグルを利用して大規模な土木工事をさせたり、木材の斬り出し等の比較的単純作業に従事させることで生産コストを極限まで圧縮する事が出来るだろう?
アンデッドが賃金を求めてストライキするような事態も考えられないので、どんな産業にせよ受注額は常識外に安くすることが出来る、、、信用さえ得られればスカイリムでのシェアは確実に一社独占状態になるに違いない。
そんな下世話なことを考えていたら少しは気が楽になった、、、その時はその時で、どこぞの首長の補佐官宛てにでも投書してやればいい。
「アンタらの先祖を無理やり働かせている不道徳な奴等が居る」
そこまでで俺の仕事はおしまいだ、、、後は当事者同士が話し合いなり殺し合いなりで決着すればいいだけの話だ。
そもそも、俺はノルドじゃねェし、な。
「!」
おっと、、、何も無いかと思ったら結構大掛かりな罠が仕掛けてあるじゃないか、、、。
これだけ警戒しているってコトは、正直言って「えへw悪いことやってますよwww」ってコトだよねぇ、、、。
(プレッシャープレートだ、踏むと天井が落ちてくるぞ、、、)
俺は後ろに居る嫁に身振りで伝え、罠のスイッチを避けて大回りする。
罠の仕掛けてある部屋の先は、床一面に菌類がびっしりと生えた天井の高い部屋だった。
やれやれ、、、やっと腰を伸ばして歩けるか!
そう思って立ち上がりかけた俺は、そのまま動きを止めた。
この先はどうやら何らかの遺跡になっているようで明らかに素人が作った急造のトンネルと違い、墳墓にありがちな古びたカビ臭い空気と古代人による滑らかな石造りだった。
、、、そして、幸いまだ気がつかれてはいないようだが、中二階になっているバルコニーの上に虚ろな目をした武装したドラウグルが徘徊していた。
俺は素早く矢を放ち、ドラウグルは叫ぶことも無くその場に崩れた、、、しかし
「誰か、、、そこに居るの!?」
「!!」
女の声が俺の居る場所の頭の上から聞こえた!
(チッ!死霊術士かッ!)
俺は片目を瞑るとそのままの場所から天井に吊るしてあった大型のランプに狙いをつける。
矢が命中して地上に落ちたランプがボンッ!と音を立てて燃え上がり、周囲を一瞬明るく照らす、、、そしてすぐに炎が消えて周囲は暗闇に包まれた。
俺は瞑っていた目を開くとそのまま斜め前にでんぐり返しをするように通路から部屋の真ん中に躍り出ると、声の聞こえた場所から見当をつけて女の居るであろう方へ向き直った。
女は俺が居た場所の真上に作ってあった木造のバルコニーの上で防護魔法を唱えていたのだろう、、、全身にチリチリとオーラが見て取れたが、急に訪れた暗闇に俺を見失っているようだった。
俺は女の輪郭を浮かび上がらせる魔法のオーラを頼りに矢を放った。
バルコニーの上は女の研究室だったようだ。
テーブルには様々な資料や参考文献が乱雑に詰まれており、いくつかの錬金試料と共に作業台の上にはまだリネンラップに包まれているドラウグル達が並べてあった、、、。
「、、、コレだけじゃ心得の無い俺には解らんが、、、」
俺は作業台の上で虚ろな半目を開けている簀巻きのドラウグルを横目に嫁に話しかけていた。
「どうやら結構真面目に研究してるみたいだな、、、彼らを使役させる方法を編み出したという線も案外大当たりかも知れないぜ?」
「、、、そういや何処かのダンジョンで見つけた書物にドラウグルと意思の疎通を試みたってハナシが載っていたな、、、」
「本当に?、、、あんなに凶暴な奴等と話し合いをしてみようなんて物好きね、、、」
「ああ、確か相当な時間をかけて”自分は無害な存在です”って、アピールするって言うより慣らすって言う方が適切じゃないかな?、、、兎も角、そんな方法でお互いに干渉しなければ一緒に生活できるようになったって書いてあったなァ」
「ソレが事実ならば、今回の件も単なる共生なのかも知れないが、、、」
「あら!それじゃさっきの部屋のドラウグルの鉱夫達は誰にあの作業を命じられていたのかしら?」
嫁はふん!と鼻を鳴らして言った。
「作業が自発的なものでないなら指示した奴が居るはずよ!」
ふむ、、、確かに、な。
俺は何かがチリッとアタマの中を掠めるように閃いた。
「そうか、、、自発的にしていたのかも知れないな、、、」
「なんですって?」
「ドラウグル達は何のために侵入者を襲うんだ?」
嫁は「はぁ?」と言うなり眉根を寄せてこちらを睨みつけた。
「そりゃ、、、やっぱり眠りを邪魔された、、から?」
「半分正解、、、恐らくは”主人の眠りを妨げようとする侵入者”だからじゃないかな?」
「これは半分は想像だが、彼ら、、、ドラウグル達は主人への忠誠がその行動原理の大部分なんだと思う、、、」
「つまり、死霊術士達はドラウグルに”それが合目的的である”と暗示する方法を編み出したんじゃないかな?」
「、、、なるほど、、、”この行動が主人の為になる”と思わせるってコトね?」
「あるいは、、、死霊術士自体が”主人に成りすます”か、だな」
「ノウハウが書物にまとまっていたら高く売れるかも知れないわね、、、」
こんなヘンな会話なのに悪戯っぽく微笑む嫁を可愛いと思ってしまう俺は、やっぱり趣味が悪いのだろうか?
続く、、、
「、、、ところでコイツはどうします?」
嫁が喉元を矢が貫通して即死しているローブの男を見て言った。
「このままにしておくと面倒なことになりますよ?」
「うーん、、、とりあえず何者なのか調べておくか、、、」
俺は焚き火の傍にあった石組みの小屋やテーブル、死体の持ち物などを順番に見て回った。
どうやらローブの男は駆け出しの死霊術士らしかった。
「死霊術」と言うだけで既にマトモな連中では無いのが確定的に明らかだが、残されたメモやノートによれば建物の焚き火を挟んで反対側(山側)にある一見鉱山風の木戸の奥には首領格の「ルア様」以下数名の死霊術士団が巣食っているらしい、、、。
「、、、どうするかね?」
俺は念のため嫁に意見を求めた、、、いや、だってホラ、、、バカンスの帰りなのに「穴があるから入りたい」とかはマズいだろう?
「あら!”悪の芽を摘むのもドヴァキンの仕事”じゃなかったかしら?」
リディアは、嫁はこういうときに頼りになるなぁ、、、まぁ否定はされないと確信があって聞く俺も俺だけどな。
「よし!じゃあちょいと一仕事して行こうかね」
嫁はこくりと頷くと戦闘用の荷物を降ろしにシャドウメアの待っている処へ走っていった。
木戸の奥はまるで坑道のような土や岩が剥き出しの細い通路だった。
所々に松明やカンテラが挿してあるので足元が危ないということは無かったが、なんとも素人臭い「穴」だ。
少し下り坂になっているその先は急に開けていて木組みの梁が天井を支えているような部屋になっていた、、、
「!」
俺が急に腰を落として歩みを止めたので、背中に嫁が構えていた盾が軽くぶつかった。
俺は無言のまま少し広くなっている部屋の奥、、、木組みの櫓の二階部分を指差した。
嫁がはっと息を呑む。
(、、、ドラウグルだ!)
ゆらゆらとうごめく松明の炎に照らされて、怨嗟の表情もそのままにのそりのそりと一定のコースを巡回する不死の番人、、、現代の死霊術では解明出来ぬその製法は古代ノルドの秘法なのか、この世に未練を残した魂の付呪なのか?
俺たちに出来るのはその魂をソブンガルデに還すべく「砕く」ことのみである。
俺は音も立てずに素早く背中の弓を取り出すと、エルフの矢を一本番えた。
「、、、いきなり”デス・ロード”か、、、」
「、、、いきなり”デス・ロード”ですね、、、」
俺たちは動かなくなった骸を前にお互いが感じた違和感を呟いていた。
、、、少なくとも今迄はドラウグルは自分のテリトリーである古代ノルドの墳墓から出張して来たり、誰かに頼まれて警備に当たるなんてコトは無かったと思う。
しかも「デス・ロード」や「オーバーロード」などの名前こそ残っていないものの土地の郷士・豪族がその素体であるものや、現在の首長クラスで固有の名前で区別されている「ネームド」と呼ばれる特に強力な個体はシャウトを使う者も居る、、、言わば「遺跡のボス」的な存在だ、、、こんな急造ダンジョンの入ってすぐの警備を担当するのはかなり不自然だ。
「仮に、、、」
俺は他のドラウグルが出てくる気配の無いのを確かめながら、通路の奥を見据えて言った。
「仮にこの急造の穴が、古代の遺跡に繋がっていたとしても、だ」
「彼らはそのテリトリーから理由無く離れたりはしないだろう?、、、やっぱりこの穴はおかしい、、、何かがヘンだ、、、」
「それに、、、さっきから聴こえているあの音は何かしら?」
「うむ、、、槌音?、、、ぃゃ、あれは掘削音だな、、、」
嫁は肩をすくめて「私にはなんとも、、、」と首を振った。
「、、、厭な予感がするけど確かめてみるしか無いわね」
俺は軽く頷くと弓を片手に忍び足で奥への通路に向かった。
通路は少し広くなっていたり、屈まないと通れないくらい狭い場所もあってますます素人臭い造りだ、、、そもそも居住性や物資の出し入れなどをあまり念頭に置いていない構造は別の出入り口の存在を臭わせる。
奥に進むと最初は幽かに聞こえていた音が「カン!・・・カン!」とやや不規則ながらもはっきりと聞き取れるようになった。
(二組、、、は居るな)
、、、やがて行く手に木の板で仕切られた部屋が見えた。
部屋の中は灯があるらしく明かりが漏れる板の隙間から椅子に座って監督しているらしい黒いローブの人影と、武器を使って横穴を掘っているドラウグル達が見て取れた。
俺は黒いローブの男をひとしきり調べてため息をついた。
「、、、なんとも解せぬ、な」
この男は恐らくそこそこ出来る死霊術士には違いないだろう、、、だが、こんな連中はスカイリムにはそれこそごまんと居る。
だが、いくら魔法には疎い俺でもこんなレベルの魔法使いにドラウグルを永続的に使役する事が出来るとは到底信じられなかった。
「こんなことなら生かして捕らえるべきでしたね、、、」
痛いところを突くな、、、確かに嫁の言うとおりだ。
苦い顔をしているのが解ったのだろう、、、嫁は「冗談ですよ」と言って笑った。
「魔法使いの類に交渉は禁物です、、、奴等はヒトの心と魂を奪う、、、」
「何も喋らせないうちにソブンガルデに送りつけるべきでしょう!」
嫁は武器を握ったまま動かなくなったドラウグル達に目をやった。
「こいつらは死霊術士を即死させた後も普通に襲い掛かってきました、、、」
「つまり、”彼らによって創造されたり再起動させられたワケじゃない”ってコトだな?」
俺が後を続けると嫁はこくりと頷いた。
「単なる死霊術の応用なら手に負えない相手ではないと思います、、、」
「でも、もし、、、”超常の存在”が介入しているのだったら、、、」
「、、、デイドラ、、か」
ダンジョンやクエストの途中で引き返したくなる瞬間だ、、、まったく、奴等が絡むと話はややこしくなる上に理不尽な結末に至る場合がほとんどだ!
俺は盛大にため息をつくと、「もし奴等絡みの一件だったら途中で引き返すぞ?」と嫁に念を押してその先に続く横穴に向かった。
「ルア」率いる死霊術士の一党がナニを目指して地下道を掘り進んでいるのかは定かではないが、彼(彼女)らがなんらかの方法で地下に眠っていたドラウグルを手懐け(?)て作業を進めているらしい。
目的によっては俺がとやかく言うことではないかもしれない、、、例えば、何処かで聞いたような話だが、、、半永久的に稼動するドラウグルを利用して大規模な土木工事をさせたり、木材の斬り出し等の比較的単純作業に従事させることで生産コストを極限まで圧縮する事が出来るだろう?
アンデッドが賃金を求めてストライキするような事態も考えられないので、どんな産業にせよ受注額は常識外に安くすることが出来る、、、信用さえ得られればスカイリムでのシェアは確実に一社独占状態になるに違いない。
そんな下世話なことを考えていたら少しは気が楽になった、、、その時はその時で、どこぞの首長の補佐官宛てにでも投書してやればいい。
「アンタらの先祖を無理やり働かせている不道徳な奴等が居る」
そこまでで俺の仕事はおしまいだ、、、後は当事者同士が話し合いなり殺し合いなりで決着すればいいだけの話だ。
そもそも、俺はノルドじゃねェし、な。
「!」
おっと、、、何も無いかと思ったら結構大掛かりな罠が仕掛けてあるじゃないか、、、。
これだけ警戒しているってコトは、正直言って「えへw悪いことやってますよwww」ってコトだよねぇ、、、。
(プレッシャープレートだ、踏むと天井が落ちてくるぞ、、、)
俺は後ろに居る嫁に身振りで伝え、罠のスイッチを避けて大回りする。
罠の仕掛けてある部屋の先は、床一面に菌類がびっしりと生えた天井の高い部屋だった。
やれやれ、、、やっと腰を伸ばして歩けるか!
そう思って立ち上がりかけた俺は、そのまま動きを止めた。
この先はどうやら何らかの遺跡になっているようで明らかに素人が作った急造のトンネルと違い、墳墓にありがちな古びたカビ臭い空気と古代人による滑らかな石造りだった。
、、、そして、幸いまだ気がつかれてはいないようだが、中二階になっているバルコニーの上に虚ろな目をした武装したドラウグルが徘徊していた。
俺は素早く矢を放ち、ドラウグルは叫ぶことも無くその場に崩れた、、、しかし
「誰か、、、そこに居るの!?」
「!!」
女の声が俺の居る場所の頭の上から聞こえた!
(チッ!死霊術士かッ!)
俺は片目を瞑るとそのままの場所から天井に吊るしてあった大型のランプに狙いをつける。
矢が命中して地上に落ちたランプがボンッ!と音を立てて燃え上がり、周囲を一瞬明るく照らす、、、そしてすぐに炎が消えて周囲は暗闇に包まれた。
俺は瞑っていた目を開くとそのまま斜め前にでんぐり返しをするように通路から部屋の真ん中に躍り出ると、声の聞こえた場所から見当をつけて女の居るであろう方へ向き直った。
女は俺が居た場所の真上に作ってあった木造のバルコニーの上で防護魔法を唱えていたのだろう、、、全身にチリチリとオーラが見て取れたが、急に訪れた暗闇に俺を見失っているようだった。
俺は女の輪郭を浮かび上がらせる魔法のオーラを頼りに矢を放った。
バルコニーの上は女の研究室だったようだ。
テーブルには様々な資料や参考文献が乱雑に詰まれており、いくつかの錬金試料と共に作業台の上にはまだリネンラップに包まれているドラウグル達が並べてあった、、、。
「、、、コレだけじゃ心得の無い俺には解らんが、、、」
俺は作業台の上で虚ろな半目を開けている簀巻きのドラウグルを横目に嫁に話しかけていた。
「どうやら結構真面目に研究してるみたいだな、、、彼らを使役させる方法を編み出したという線も案外大当たりかも知れないぜ?」
「、、、そういや何処かのダンジョンで見つけた書物にドラウグルと意思の疎通を試みたってハナシが載っていたな、、、」
「本当に?、、、あんなに凶暴な奴等と話し合いをしてみようなんて物好きね、、、」
「ああ、確か相当な時間をかけて”自分は無害な存在です”って、アピールするって言うより慣らすって言う方が適切じゃないかな?、、、兎も角、そんな方法でお互いに干渉しなければ一緒に生活できるようになったって書いてあったなァ」
「ソレが事実ならば、今回の件も単なる共生なのかも知れないが、、、」
「あら!それじゃさっきの部屋のドラウグルの鉱夫達は誰にあの作業を命じられていたのかしら?」
嫁はふん!と鼻を鳴らして言った。
「作業が自発的なものでないなら指示した奴が居るはずよ!」
ふむ、、、確かに、な。
俺は何かがチリッとアタマの中を掠めるように閃いた。
「そうか、、、自発的にしていたのかも知れないな、、、」
「なんですって?」
「ドラウグル達は何のために侵入者を襲うんだ?」
嫁は「はぁ?」と言うなり眉根を寄せてこちらを睨みつけた。
「そりゃ、、、やっぱり眠りを邪魔された、、から?」
「半分正解、、、恐らくは”主人の眠りを妨げようとする侵入者”だからじゃないかな?」
「これは半分は想像だが、彼ら、、、ドラウグル達は主人への忠誠がその行動原理の大部分なんだと思う、、、」
「つまり、死霊術士達はドラウグルに”それが合目的的である”と暗示する方法を編み出したんじゃないかな?」
「、、、なるほど、、、”この行動が主人の為になる”と思わせるってコトね?」
「あるいは、、、死霊術士自体が”主人に成りすます”か、だな」
「ノウハウが書物にまとまっていたら高く売れるかも知れないわね、、、」
こんなヘンな会話なのに悪戯っぽく微笑む嫁を可愛いと思ってしまう俺は、やっぱり趣味が悪いのだろうか?
続く、、、
コメント
『俺はPS3の底力を見せ付けられたと思ったらエロ画像を見ていた』
無修正だとかモザイク入りとかそんなチャチなもんじゃ断じてねえ
なんでブーツだけ残したとかもっと恐ろしいものの片鱗を味わったぜ…
いや、しかし、しっかり読み物だの
リプレイとか書いたら結構いけるんじゃないの?
次回のSSはここ一番のお気に入りですのでどうぞご期待下さい
何故って、、、ブーツを残さなかったら魅力が半減しちゃうだろ?