【死霊術の】Skyrim【研究室】
2012年6月19日 日常 コメント (4)
、、、続き。
「、、、壊れた玩具のことで心を痛めるなんて、、、」
金髪のノルドがアルケイン付呪器の前でふぅっとため息をつき、顔にかかった髪を片手ですくいあげながら言った。
「ルア様はお優しいわね、、、私なら使役している死体がどうなろうと気にも留めないわ」
調理串の架けてある焚き火の周囲にはアルトワインの空き瓶や食器が散らばり、壁際で作業中のアルケイン付呪器の上にも書物や飲みかけのハチミツ酒の壜が並んでいる。
「しかし、、、古代ノルドの不死の兵団をもって帝国やストームクロークまでをも標的にしたテロとは、な、、、」
焚き火の前には木製の椅子が三脚あり、その一つに足を組んで座っているエルフの男が、大げさな身振りで隣の黒いローブの女性に向かって話しかけている。
「まったく、恐れ入るな、、、我がアルドメリ自治領の司法高官殿もこの計画には興味を示された、、、」
「私にはこのスカイリムがどうなろうと大した問題じゃないわ、、、」
焚き火の周りの椅子に浅く腰掛けた黒いローブの女性はエルフらしい切れ長の目を細めて答えた。
「秩序の破壊と欲望のままに生きる、、、混沌こそ我が望み、、、」
「この計画は私にとって実に好都合よ、、、反対する理由は無いわ」
「さぁ、終わったわ、、、」
アルケイン付呪作業が一段落したのか、金髪のノルド女性が二人の方に振り向こうと腰を伸ばした瞬間
「ッ!!」
、、、激しい横殴りの衝撃にそのまま意識が消失した。
「とりあえず、一匹生け捕りにしてみたわ、、、」
えーっと、、、「生け捕り」って言うけど半分死んでるよ?それ、、、。
常人なら即死級のパワーバッシュを顔面に受けて糸の切れた操り人形の様にぐったりとしている金髪のノルド女性を無造作に床に放りつけ、自身の碧水晶の盾に着いた血をそのローブで拭いながら嫁が言った、、、ブルル、、コイツと夫婦喧嘩したら俺もアレ喰らうのかね?
エルフの死霊術士達は二人とも俺の矢を頭に受けて焚き火の前の椅子に座った形のまま即死していた、、、これだから俺は諜報には向かないんだよなぁ、、、。
、、、意識不明の金髪さんを椅子に縛りつけた嫁は、俺に向き直ってこう聞いてきた。
「、、、どうやって口を割らせます?」
俺は背負い袋から紫色の小瓶を幾つか取り出して、嫁に渡した。
「コレを使え、、、鼻をつまんで3本も飲ませれば何でも言うことを聞いてくれる魔法の”クスリ”だ」
「、、、コレ!、、です、、か、、」
嫁は受け取ったスクゥーマの小瓶と俺の顔とを交互に見比べ、眼を眇めた、、、。
自分で使うこともオマエに使ったことも無いから安心しろよ、、、ただ、ならず者との交渉には役に立つことが多いんで、ね。
「一応、、、信じておきます」
「、、、一応なのね、、、」
(拷問シーンはヒミツに高速移動)
「、、、なるほどねェ、、、」
俺は呼吸と脈が不規則になってきている金髪ノルド女性にその辺に沢山あったリネンラップを広げて掛けると、これ以上の聴取は無理と判断してその場を離れた。
「大筋ではあなたの推論に合致しますね、、、」
歩きながら嫁が呟く。
「肝心の方法が解らないのが不安要素ではありますけど、、、」
「うむ、、、残念だが俺もおまえも神秘的あるいは魔法的な技術にはいささか不案内だからな、、、」
もっとも、俺は付呪に関してだけは相当詳しいので呪文を唱えるなどの実践は兎も角、理論と魔力回路の設計にだけは定評がある、、、ルールにゃ詳しいがスポーツがへたくそなプレイヤーみたいなモンさ。←言ってて悲しいぞ、、、
金髪さんの自発的(?)なご協力によりルア=アル=スカベンという女性の首魁が何らかの秘術(こればかりは秘中の秘とされていて高弟にも明かされていないという)を用い、ドラウグル達の主従する「王」として彼らを統率しているらしい。
ありがたいことにここまでの情報にはまったくデイドラ的な要素が感じられない、、、まぁ、ここだけは本当に救いだ。
とはいえ、問題が解決したワケではない、、、むしろ俺にとってはより一層本腰を入れて進めなければならぬ案件と化している。
「、、、昔話に出てくる”支配の王錫”の様な特殊な条件によってのみ効果を発揮するユニークアイテムによるものだったらイイんだ、、、だって、ソレを奪うなり壊すなりすれば済む話だろう?」
「俺が危惧しているのはその”秘法”とやらが文字通り術法の類で、習い憶えればそれこそ誰にでも使えるような”術”だった場合だ、、、」
俺は先程の三人の死霊術士の会話を盗み聞きしているときのことを思い出していた、、、以前にも言ったとおり俺はノルドにも帝国にも組しない。
だが、アルドメリ自治領の鼻持ちならぬエルフ共にこの世の覇権を握られるのは我慢ならないのだ。
「、、、確かに彼らは”この計画にサルモールも興味を持っている”と言っていましたが、、、」
「うむ、サルモールの興味は彼等の言う”計画”の部分じゃないな、、、」
リディアははっとした顔をしてその場に立ち止まり、俺の方に向き直った。
「奴等はこの計画の”方法”そのものを狙っているのね!?」
死者を弔い、死後の繁栄と永久の安寧を願う儀式はここスカイリムのノルド達だけの特殊な風習ではない、、、帝国の本拠シロディールでも古代の王達は細かい様式こそ違えど同様に葬られている、いや言うなればタムリエル全土で様々な種族がそれぞれの土地に似たような祖先の墳墓を抱えているのだ。
もし、仮にこれらの古代の墳墓に眠るそれぞれの土着の民の祖霊たちが一斉に蜂起し、埋葬場所からそれほど離れていない都市部に雪崩れ込んだら、、、、。
嫁はこんな商売をしている位だからそれほど信心深い方ではないが、街の住民たちが自身の祖先の霊に敵対しそれを打ち破れるだろうか?と考えたのだろう、、、ブルッと軽く身震いした。
「、、、確かにこれは潰す必要があるわね、、!」
俺達は焚き火のある部屋をざっと捜索し、必要なものだけをかき集めると再び奥へ向かう通路を進んだ。
しばらく道なりに進むと澱んだ黴臭い空気の見慣れた遺跡風の部屋に出た、、、そして、、、
侵入者よ、、、再三の警告にも耳を貸さぬ愚か者よ、、、
「!?」
何処から聴こえるのか、、、低くくぐもった女性の声が遺跡内を反響する。
我が子らよ、、、迎え撃て!墓よ甦れ!、、、この虫ケラどもを叩き潰せッ!!
ビュォォォォオオオオオオオオオオオ!!
遺跡の奥から薄青白色の死者の霊魂が渦巻き、囁き、嘆きながら噴出してくる!
(、、、来るぞッ!)
俺は素早く物陰に身を屈めた、、、極限まで鍛え上げた穏凝術とノクターナルの加護による漆黒のオーラによって、特殊な探知方法を使わなければ認識することすら出来ないだろう。
流れるような動作で弓を構え、矢を番える。
この部屋は無数の古代ノルド人の埋葬してある言うなればドラウグルの巣だ、、、主の命により墓所より封印の解かれた古代人の霊が再び防腐処理され完全武装している肉体に宿り、次々に起き上がってくる!
「、、、ここで起きて来るべきじゃなかったわね!」
嫁が通路の真ん中に進み出て碧水晶の盾と斧を何度か鉢合わせると、青白い火花と魔力のオーラが残像を残しながら飛び散る。
「ちゃんと全員きっちりソブンガルデに送りつけてやるわ、、、掛かってらっしゃい!」
ォゴッ!!
グァガッ!
こういう挑発ってドラウグルにはちゃんと通じてるみたいなんだよね、、、彼らにも「思うところ」ってのがあるのかも知れないな、、、。
肩を怒らせたドラウグル達が俺の隠れている角を次々と通過し、そのほとんどが嫁に辿り着く前に横合いから撃ち出される魔導弓「メドローア」によって奥の壁に叩きつけられてゆく。
僅かに俺の弓を逃れた者にはもっと残酷な仕打ちが待っている、、、今度はあの恐ろしいゴリ・バッシュ!によって棒立ちになった所を必殺の斧「ライフスティーラー」を撃ち込まれ、折角宿した魂もろとも体力とスタミナを同時に搾り取られて崩れ落ちてゆく、、、ああ、やっぱり嫁は大事にしなくちゃね、、、。
「!!」
「危ないッ!」
急激な縦方向の加速を感じたのはその時だった、、、嫁の声に反応して横っ飛びに避けなかったらもう少しで巻き込まれる所だったぜ、、、。
すぐに起き上がり自分が今迄居た場所を見ると、床がそのまま5mばかりせり上がっていた、、、天井から無数に生えている槍衾との間に挟まれていたら、、、!
乱戦の最中だったので本当に間一髪だったな、、、厭な汗が流れる、、、。
「、、、さっきの声が”ルア様”でしょうか?」
ドラウグルの群れを完全に沈黙させ、流石に無傷という訳にもいかなかったので一応の応急手当をしているときに嫁が言った。
「恐らく、な」
リディアの鎧は俺の趣味で露出性能を極限まで追求している、、、故に擦り傷や露出部分への小さなダメージを受けがちだ。
ただ、これは見た目はただのビキニアーマーだが、防御性能は市販無改造のスティールプレートメイルを凌ぎ、付呪強化によりドラゴンブレスや魔法への耐性・体力・スタミナ・片手武器スキル・弓術スキルなどが極限まで強化されているフルオーダーアイテム、、、作ってプレゼントしたのは俺だがスカイフォージ製の武具と比べたって見劣りしないね。
そんな気合の入った逸品なんだが結婚するまでは絶対に袖を通してもらえなかった、、、(あの頃は「露出」が問題だと言っていたな、、、)が、指輪の交換後は二つ返事で着てくれた、、、女心ってのは解らないモンだねェ、、、。
もっとも嫁はアーマーとしての性能面よりも、俺が付け加えた
「ビキニアーマーの女戦士は護りたくなっちゃうから、な」
という一言の効果に心惹かれたのかもしれない。←ナニこのノロケ、、、
(その辺は定かではないし、追求されても困る)
イワムシクイの卵とブリスターワートをすり合わせた化膿止めの軟膏を傷口に塗ると、嫁は滲みたのか眉根をぎゅっとよせて見せた。
「、、、気になるか?」
包帯を巻きながら問うと
「見られているかも知れないのは気になりますね、、、」
「そういう魔法が無いわけじゃないから、な」
俺は手当ての道具を背負い袋に仕舞いながら続けた。
「ダンジョン全域にわたって知覚が張り巡らされている、、、なんてのは聞いたことが無い」
「恐らくは限られた範囲か、あらかじめ用意されたシンボルなどを通じて監視しているのだろうな、、、」
そう言うと嫁はちょっと不安そうな顔をしてキョロキョロと周囲を見回した。
「その辺は気にしなくてもいいさ、、、最初から全部見ているのなら気付かれる前にこちらの不意討ちが上手く行く訳無いだろう?」
「、、、それもそうですね、、、」
「どういう理屈かは知らぬが、相手にとってもかなり使い勝手が悪そうだ、、、だから”そういう可能性もある”くらいの認識でいいだろう」
「はい」
うーん、我が嫁ながらこの素直な返事がなんとも可愛いな、、、ギュー!したるわ!ギューッ!
、、ちょ、、なんで両手を突っ張って拒否ってるワケ?
「だって、、、」
リディアは唇をアヒルみたいに尖がらせて言った。
「見られているかも、です!」
ぁ、、、、そこなんだ、、、。
「!」
(踏み板だ、、、そこの枠の中の岩が崩れてくるぞ)
何度目かのトラップを避けたところで少し広いフロアに出た。
少し開けた天井の高い岩屋で、正面に自然石を切り出して掛けられた橋がかけられている。
右手の奥には少し高くなっている場所が有り、古代ノルドの遺跡にはお決まりのギミックである石柱が4つ並んでいた。
(、、、とすると、、、)
通路から注意深く部屋の左手を見ると、橋の掛けてある反対側には鉄の格子が嵌められて通ることの出来ないドアがある、、、あの右奥の石柱を操作しないと通れないってワケか、、、しかし、、。
部屋の右奥にある石柱の前には一段高くなった台座が有り、中央にいかにも怪しいレバーが設置してある。
その周りを武装したドラウグルと黒いローブの死霊術士、そしてそいつが呼び出したのであろう炎の精霊が油断無く警戒していた。
まだまだ続く、、、
「、、、壊れた玩具のことで心を痛めるなんて、、、」
金髪のノルドがアルケイン付呪器の前でふぅっとため息をつき、顔にかかった髪を片手ですくいあげながら言った。
「ルア様はお優しいわね、、、私なら使役している死体がどうなろうと気にも留めないわ」
調理串の架けてある焚き火の周囲にはアルトワインの空き瓶や食器が散らばり、壁際で作業中のアルケイン付呪器の上にも書物や飲みかけのハチミツ酒の壜が並んでいる。
「しかし、、、古代ノルドの不死の兵団をもって帝国やストームクロークまでをも標的にしたテロとは、な、、、」
焚き火の前には木製の椅子が三脚あり、その一つに足を組んで座っているエルフの男が、大げさな身振りで隣の黒いローブの女性に向かって話しかけている。
「まったく、恐れ入るな、、、我がアルドメリ自治領の司法高官殿もこの計画には興味を示された、、、」
「私にはこのスカイリムがどうなろうと大した問題じゃないわ、、、」
焚き火の周りの椅子に浅く腰掛けた黒いローブの女性はエルフらしい切れ長の目を細めて答えた。
「秩序の破壊と欲望のままに生きる、、、混沌こそ我が望み、、、」
「この計画は私にとって実に好都合よ、、、反対する理由は無いわ」
「さぁ、終わったわ、、、」
アルケイン付呪作業が一段落したのか、金髪のノルド女性が二人の方に振り向こうと腰を伸ばした瞬間
「ッ!!」
、、、激しい横殴りの衝撃にそのまま意識が消失した。
「とりあえず、一匹生け捕りにしてみたわ、、、」
えーっと、、、「生け捕り」って言うけど半分死んでるよ?それ、、、。
常人なら即死級のパワーバッシュを顔面に受けて糸の切れた操り人形の様にぐったりとしている金髪のノルド女性を無造作に床に放りつけ、自身の碧水晶の盾に着いた血をそのローブで拭いながら嫁が言った、、、ブルル、、コイツと夫婦喧嘩したら俺もアレ喰らうのかね?
エルフの死霊術士達は二人とも俺の矢を頭に受けて焚き火の前の椅子に座った形のまま即死していた、、、これだから俺は諜報には向かないんだよなぁ、、、。
、、、意識不明の金髪さんを椅子に縛りつけた嫁は、俺に向き直ってこう聞いてきた。
「、、、どうやって口を割らせます?」
俺は背負い袋から紫色の小瓶を幾つか取り出して、嫁に渡した。
「コレを使え、、、鼻をつまんで3本も飲ませれば何でも言うことを聞いてくれる魔法の”クスリ”だ」
「、、、コレ!、、です、、か、、」
嫁は受け取ったスクゥーマの小瓶と俺の顔とを交互に見比べ、眼を眇めた、、、。
自分で使うこともオマエに使ったことも無いから安心しろよ、、、ただ、ならず者との交渉には役に立つことが多いんで、ね。
「一応、、、信じておきます」
「、、、一応なのね、、、」
(拷問シーンはヒミツに高速移動)
「、、、なるほどねェ、、、」
俺は呼吸と脈が不規則になってきている金髪ノルド女性にその辺に沢山あったリネンラップを広げて掛けると、これ以上の聴取は無理と判断してその場を離れた。
「大筋ではあなたの推論に合致しますね、、、」
歩きながら嫁が呟く。
「肝心の方法が解らないのが不安要素ではありますけど、、、」
「うむ、、、残念だが俺もおまえも神秘的あるいは魔法的な技術にはいささか不案内だからな、、、」
もっとも、俺は付呪に関してだけは相当詳しいので呪文を唱えるなどの実践は兎も角、理論と魔力回路の設計にだけは定評がある、、、ルールにゃ詳しいがスポーツがへたくそなプレイヤーみたいなモンさ。←言ってて悲しいぞ、、、
金髪さんの自発的(?)なご協力によりルア=アル=スカベンという女性の首魁が何らかの秘術(こればかりは秘中の秘とされていて高弟にも明かされていないという)を用い、ドラウグル達の主従する「王」として彼らを統率しているらしい。
ありがたいことにここまでの情報にはまったくデイドラ的な要素が感じられない、、、まぁ、ここだけは本当に救いだ。
とはいえ、問題が解決したワケではない、、、むしろ俺にとってはより一層本腰を入れて進めなければならぬ案件と化している。
「、、、昔話に出てくる”支配の王錫”の様な特殊な条件によってのみ効果を発揮するユニークアイテムによるものだったらイイんだ、、、だって、ソレを奪うなり壊すなりすれば済む話だろう?」
「俺が危惧しているのはその”秘法”とやらが文字通り術法の類で、習い憶えればそれこそ誰にでも使えるような”術”だった場合だ、、、」
俺は先程の三人の死霊術士の会話を盗み聞きしているときのことを思い出していた、、、以前にも言ったとおり俺はノルドにも帝国にも組しない。
だが、アルドメリ自治領の鼻持ちならぬエルフ共にこの世の覇権を握られるのは我慢ならないのだ。
「、、、確かに彼らは”この計画にサルモールも興味を持っている”と言っていましたが、、、」
「うむ、サルモールの興味は彼等の言う”計画”の部分じゃないな、、、」
リディアははっとした顔をしてその場に立ち止まり、俺の方に向き直った。
「奴等はこの計画の”方法”そのものを狙っているのね!?」
死者を弔い、死後の繁栄と永久の安寧を願う儀式はここスカイリムのノルド達だけの特殊な風習ではない、、、帝国の本拠シロディールでも古代の王達は細かい様式こそ違えど同様に葬られている、いや言うなればタムリエル全土で様々な種族がそれぞれの土地に似たような祖先の墳墓を抱えているのだ。
もし、仮にこれらの古代の墳墓に眠るそれぞれの土着の民の祖霊たちが一斉に蜂起し、埋葬場所からそれほど離れていない都市部に雪崩れ込んだら、、、、。
嫁はこんな商売をしている位だからそれほど信心深い方ではないが、街の住民たちが自身の祖先の霊に敵対しそれを打ち破れるだろうか?と考えたのだろう、、、ブルッと軽く身震いした。
「、、、確かにこれは潰す必要があるわね、、!」
俺達は焚き火のある部屋をざっと捜索し、必要なものだけをかき集めると再び奥へ向かう通路を進んだ。
しばらく道なりに進むと澱んだ黴臭い空気の見慣れた遺跡風の部屋に出た、、、そして、、、
侵入者よ、、、再三の警告にも耳を貸さぬ愚か者よ、、、
「!?」
何処から聴こえるのか、、、低くくぐもった女性の声が遺跡内を反響する。
我が子らよ、、、迎え撃て!墓よ甦れ!、、、この虫ケラどもを叩き潰せッ!!
ビュォォォォオオオオオオオオオオオ!!
遺跡の奥から薄青白色の死者の霊魂が渦巻き、囁き、嘆きながら噴出してくる!
(、、、来るぞッ!)
俺は素早く物陰に身を屈めた、、、極限まで鍛え上げた穏凝術とノクターナルの加護による漆黒のオーラによって、特殊な探知方法を使わなければ認識することすら出来ないだろう。
流れるような動作で弓を構え、矢を番える。
この部屋は無数の古代ノルド人の埋葬してある言うなればドラウグルの巣だ、、、主の命により墓所より封印の解かれた古代人の霊が再び防腐処理され完全武装している肉体に宿り、次々に起き上がってくる!
「、、、ここで起きて来るべきじゃなかったわね!」
嫁が通路の真ん中に進み出て碧水晶の盾と斧を何度か鉢合わせると、青白い火花と魔力のオーラが残像を残しながら飛び散る。
「ちゃんと全員きっちりソブンガルデに送りつけてやるわ、、、掛かってらっしゃい!」
ォゴッ!!
グァガッ!
こういう挑発ってドラウグルにはちゃんと通じてるみたいなんだよね、、、彼らにも「思うところ」ってのがあるのかも知れないな、、、。
肩を怒らせたドラウグル達が俺の隠れている角を次々と通過し、そのほとんどが嫁に辿り着く前に横合いから撃ち出される魔導弓「メドローア」によって奥の壁に叩きつけられてゆく。
僅かに俺の弓を逃れた者にはもっと残酷な仕打ちが待っている、、、今度はあの恐ろしいゴリ・バッシュ!によって棒立ちになった所を必殺の斧「ライフスティーラー」を撃ち込まれ、折角宿した魂もろとも体力とスタミナを同時に搾り取られて崩れ落ちてゆく、、、ああ、やっぱり嫁は大事にしなくちゃね、、、。
「!!」
「危ないッ!」
急激な縦方向の加速を感じたのはその時だった、、、嫁の声に反応して横っ飛びに避けなかったらもう少しで巻き込まれる所だったぜ、、、。
すぐに起き上がり自分が今迄居た場所を見ると、床がそのまま5mばかりせり上がっていた、、、天井から無数に生えている槍衾との間に挟まれていたら、、、!
乱戦の最中だったので本当に間一髪だったな、、、厭な汗が流れる、、、。
「、、、さっきの声が”ルア様”でしょうか?」
ドラウグルの群れを完全に沈黙させ、流石に無傷という訳にもいかなかったので一応の応急手当をしているときに嫁が言った。
「恐らく、な」
リディアの鎧は俺の趣味で露出性能を極限まで追求している、、、故に擦り傷や露出部分への小さなダメージを受けがちだ。
ただ、これは見た目はただのビキニアーマーだが、防御性能は市販無改造のスティールプレートメイルを凌ぎ、付呪強化によりドラゴンブレスや魔法への耐性・体力・スタミナ・片手武器スキル・弓術スキルなどが極限まで強化されているフルオーダーアイテム、、、作ってプレゼントしたのは俺だがスカイフォージ製の武具と比べたって見劣りしないね。
そんな気合の入った逸品なんだが結婚するまでは絶対に袖を通してもらえなかった、、、(あの頃は「露出」が問題だと言っていたな、、、)が、指輪の交換後は二つ返事で着てくれた、、、女心ってのは解らないモンだねェ、、、。
もっとも嫁はアーマーとしての性能面よりも、俺が付け加えた
「ビキニアーマーの女戦士は護りたくなっちゃうから、な」
という一言の効果に心惹かれたのかもしれない。←ナニこのノロケ、、、
(その辺は定かではないし、追求されても困る)
イワムシクイの卵とブリスターワートをすり合わせた化膿止めの軟膏を傷口に塗ると、嫁は滲みたのか眉根をぎゅっとよせて見せた。
「、、、気になるか?」
包帯を巻きながら問うと
「見られているかも知れないのは気になりますね、、、」
「そういう魔法が無いわけじゃないから、な」
俺は手当ての道具を背負い袋に仕舞いながら続けた。
「ダンジョン全域にわたって知覚が張り巡らされている、、、なんてのは聞いたことが無い」
「恐らくは限られた範囲か、あらかじめ用意されたシンボルなどを通じて監視しているのだろうな、、、」
そう言うと嫁はちょっと不安そうな顔をしてキョロキョロと周囲を見回した。
「その辺は気にしなくてもいいさ、、、最初から全部見ているのなら気付かれる前にこちらの不意討ちが上手く行く訳無いだろう?」
「、、、それもそうですね、、、」
「どういう理屈かは知らぬが、相手にとってもかなり使い勝手が悪そうだ、、、だから”そういう可能性もある”くらいの認識でいいだろう」
「はい」
うーん、我が嫁ながらこの素直な返事がなんとも可愛いな、、、ギュー!したるわ!ギューッ!
、、ちょ、、なんで両手を突っ張って拒否ってるワケ?
「だって、、、」
リディアは唇をアヒルみたいに尖がらせて言った。
「見られているかも、です!」
ぁ、、、、そこなんだ、、、。
「!」
(踏み板だ、、、そこの枠の中の岩が崩れてくるぞ)
何度目かのトラップを避けたところで少し広いフロアに出た。
少し開けた天井の高い岩屋で、正面に自然石を切り出して掛けられた橋がかけられている。
右手の奥には少し高くなっている場所が有り、古代ノルドの遺跡にはお決まりのギミックである石柱が4つ並んでいた。
(、、、とすると、、、)
通路から注意深く部屋の左手を見ると、橋の掛けてある反対側には鉄の格子が嵌められて通ることの出来ないドアがある、、、あの右奥の石柱を操作しないと通れないってワケか、、、しかし、、。
部屋の右奥にある石柱の前には一段高くなった台座が有り、中央にいかにも怪しいレバーが設置してある。
その周りを武装したドラウグルと黒いローブの死霊術士、そしてそいつが呼び出したのであろう炎の精霊が油断無く警戒していた。
まだまだ続く、、、
コメント
うちのほのぼの殺戮SSとはレベルが違いますなw
そしてこのポーズが噛み合うまで何度も何度も何度も何度も何度も組み合わせ直しです、、、
PS3のSS作成は運と根気と偶然の産物なのです!
私なんて、昨日数週間ぶりに、うちのマー坊の素顔を見ましたわ。
ナニかさせようとして拒否られるときの
「、、、それはできません」
が萌えポイントですわー