最近、驚いたことがある。
先日来、秘密日記につらつらと近況を記していたんだが、この中である人物を医者にかからせるにあたって猫が付き添いに付いたという話があったと思う。
内容的には俺の個人的なナニを含むので敢えて省かせてもらうが、ある種の事情で通院・加療の必要を生じたのだが、一向にこれが良くならず(むしろ少し悪くなったりしつつ)只ひたすらに医者通いせねばならぬという現状にあって、俺がある種の苛立ちと疑問を感じずにはおれぬということはご理解いただきたい。
その日も俺は帰宅後に猫に状況を確認したところから話は始まる。
「・・・で、どうだって?良くなってるのか?」
猫は小さくため息をついて疲れたような表情を見せる。
「全然・・・」
「全然良くなってないよ・・・むしろ少し悪くなってるって・・・」
猫は眉根にしわを寄せながら答えた、医者の言ったことを反芻しているのだろうか?
「そうか・・・で、ナニが悪かったんだって?」
「ナニがって・・・ナニよ?」
猫が聞き返す。
「だから・・・なんで”悪く”なったんだろう?って聞いてるのさ」
「そんなの私が判る訳ないじゃないッ!」
俺を見る眼を眇め苛立ちも隠さずに猫は答えた。
無論、俺だって猫にそんなものの回答を求めたりはしない。
俺が聞きたいのは「医者がどう考えていたのか?」だ。
瞬間湯沸かし器的な側面を持つ猫は今のやり取りですっかり茹で上がってしまったようだ・・・まぁ、冷めるのも速いし別の物事に飛び火して収拾がつかなくなるようなぽんぽこぴーでは無いし最後まで理屈が通じるという部分が大変に優れたところではあるが、な。
「・・・たとえ話をしよう・・・」
猫はあからさまに厭な顔をする。
「・・・アンタの話、解り辛い」
「ぐっ・・・」
俺の話は往々にして何時しか別の次元へと飛躍しがちと言うか、ベクトルを違えてあさっての方角へと向かいがちである・・・しかも、長い。
「か・・簡単に話す、から・・・聞いてください、お願いします」
「・・・」
じっと俺を見つめる両眼はあくまでも懐疑的である。
「あー・・・例えば、そうだな・・・俺がぎっくり腰になったとしよう」
「?」
「ナニを言い出したんだ?コイツ?」という顔であるが、敢えてそれは無視して話を続ける・・・考えたら負けだ。
「すげー痛いし満足に立てないので近所の接骨院に行くとしよう・・・そこで一通りの説明と治療を受けた」
「・・・それで?」
猫は全然別の話が始まって、そこにある俺の真意を推し量ろうとしている・・・故に先程までの茹で上がったアタマはちゃんと常温に戻っているようだ。
(・・・計画通り!)
「そこで俺にはこの接骨院の施術者に聞きたいことがいくつか発生するワケだ・・・何だか判るか?」
「アンタも接骨院だから?」
「いや、それはこの際ちょっとこう・・・脇に置いておこうか」
猫は椅子の上に”L”みたいな格好に座りなおして考えているが、その格好になって思考力が30%上昇するかどうかは甚だ疑問だ。
暫く考えた後で猫は答えた。
「・・・わかんない、別に何も聞くこと無い・・・お会計とか?次に行く日とか?」
・・・この答えにはいささかガッカリしなくもないが、逆にこれならば猫の先程の回答にも合点が行くところだ。
俺は盛大にため息をついてしまいそうになるのを堪え、言った。
「大概、”何処がどうして悪くなったのか”と、だから”どうやって治すのか”と”どの位の期間で治るのか”くらいについての説明はあるはずだろう?」
「いや、むしろこの三つの事柄に一切触れていなかったり、曖昧な表現をする医療機関は極めて怪しい・・・というか駄目だろ、普通に考えて・・・」
猫がぴくん!と眉を上げる。
「その上で患者の立場で必ず聞くべきなのは”どうしたらより早く、確実に治せるのか?”という自助努力の方向性と、”何が症状を悪化させるので避けるべきなのか?”という忌避すべき事柄への理解だろう?」
「・・・」
「そもそも医療機関で受ける治療や施術なんて一日のうちのほんの僅かな時間に過ぎない・・・違うか?」
「圧倒的に長い”その他のことをしている時間”の過ごし方のほうが傷や病気に与える影響が大きいと思わないか?」
猫は神妙な顔をして小さく頷いた・・・こういう仕草が萌えるんだよなぁ・・。
医者に「安静にしていなさい」と言われた際に俺なら「何故そうしていた方が良いのか?」と同時に「安静」の言葉に含まれる本質が知りたいと思う。
単に「大人しくして」いればいいのか?座っていてもいいのか?TVを観たりPCを座っていじるのは「安静」の範疇なのか?振動がよくないなら自動車で出掛けるのは駄目なのか?携帯ゲームは「眼の安静」には悪いんじゃないのか?
一言「安静にしていなさい」と言うのも聞くのも簡単だが、その言葉の意味する本質を捉えねば・・・・言い換えれば「何のためにそうするのか?」が解っていない指示など全くの無意味だとすら言える。
「・・・んで、さっきの話に戻るんだけど、ね」
「今度病院にいったら”そういうこと”を聞いてきて欲しいんだよ・・・早く良くなって欲しいからね」
「・・・わかった、でも、聞くことはアンタが考えて紙に書いておいてよね!」
猫は少しだけ唇を尖らせてみせたあと、そう答えた。
実際、患者さんに聞いてみたんだけど・・・あんましこういうこと意識している人は居ないみたいだね。
ちょっと愕いたわ・・・。
先日来、秘密日記につらつらと近況を記していたんだが、この中である人物を医者にかからせるにあたって猫が付き添いに付いたという話があったと思う。
内容的には俺の個人的なナニを含むので敢えて省かせてもらうが、ある種の事情で通院・加療の必要を生じたのだが、一向にこれが良くならず(むしろ少し悪くなったりしつつ)只ひたすらに医者通いせねばならぬという現状にあって、俺がある種の苛立ちと疑問を感じずにはおれぬということはご理解いただきたい。
その日も俺は帰宅後に猫に状況を確認したところから話は始まる。
「・・・で、どうだって?良くなってるのか?」
猫は小さくため息をついて疲れたような表情を見せる。
「全然・・・」
「全然良くなってないよ・・・むしろ少し悪くなってるって・・・」
猫は眉根にしわを寄せながら答えた、医者の言ったことを反芻しているのだろうか?
「そうか・・・で、ナニが悪かったんだって?」
「ナニがって・・・ナニよ?」
猫が聞き返す。
「だから・・・なんで”悪く”なったんだろう?って聞いてるのさ」
「そんなの私が判る訳ないじゃないッ!」
俺を見る眼を眇め苛立ちも隠さずに猫は答えた。
無論、俺だって猫にそんなものの回答を求めたりはしない。
俺が聞きたいのは「医者がどう考えていたのか?」だ。
瞬間湯沸かし器的な側面を持つ猫は今のやり取りですっかり茹で上がってしまったようだ・・・まぁ、冷めるのも速いし別の物事に飛び火して収拾がつかなくなるようなぽんぽこぴーでは無いし最後まで理屈が通じるという部分が大変に優れたところではあるが、な。
「・・・たとえ話をしよう・・・」
猫はあからさまに厭な顔をする。
「・・・アンタの話、解り辛い」
「ぐっ・・・」
俺の話は往々にして何時しか別の次元へと飛躍しがちと言うか、ベクトルを違えてあさっての方角へと向かいがちである・・・しかも、長い。
「か・・簡単に話す、から・・・聞いてください、お願いします」
「・・・」
じっと俺を見つめる両眼はあくまでも懐疑的である。
「あー・・・例えば、そうだな・・・俺がぎっくり腰になったとしよう」
「?」
「ナニを言い出したんだ?コイツ?」という顔であるが、敢えてそれは無視して話を続ける・・・考えたら負けだ。
「すげー痛いし満足に立てないので近所の接骨院に行くとしよう・・・そこで一通りの説明と治療を受けた」
「・・・それで?」
猫は全然別の話が始まって、そこにある俺の真意を推し量ろうとしている・・・故に先程までの茹で上がったアタマはちゃんと常温に戻っているようだ。
(・・・計画通り!)
「そこで俺にはこの接骨院の施術者に聞きたいことがいくつか発生するワケだ・・・何だか判るか?」
「アンタも接骨院だから?」
「いや、それはこの際ちょっとこう・・・脇に置いておこうか」
猫は椅子の上に”L”みたいな格好に座りなおして考えているが、その格好になって思考力が30%上昇するかどうかは甚だ疑問だ。
暫く考えた後で猫は答えた。
「・・・わかんない、別に何も聞くこと無い・・・お会計とか?次に行く日とか?」
・・・この答えにはいささかガッカリしなくもないが、逆にこれならば猫の先程の回答にも合点が行くところだ。
俺は盛大にため息をついてしまいそうになるのを堪え、言った。
「大概、”何処がどうして悪くなったのか”と、だから”どうやって治すのか”と”どの位の期間で治るのか”くらいについての説明はあるはずだろう?」
「いや、むしろこの三つの事柄に一切触れていなかったり、曖昧な表現をする医療機関は極めて怪しい・・・というか駄目だろ、普通に考えて・・・」
猫がぴくん!と眉を上げる。
「その上で患者の立場で必ず聞くべきなのは”どうしたらより早く、確実に治せるのか?”という自助努力の方向性と、”何が症状を悪化させるので避けるべきなのか?”という忌避すべき事柄への理解だろう?」
「・・・」
「そもそも医療機関で受ける治療や施術なんて一日のうちのほんの僅かな時間に過ぎない・・・違うか?」
「圧倒的に長い”その他のことをしている時間”の過ごし方のほうが傷や病気に与える影響が大きいと思わないか?」
猫は神妙な顔をして小さく頷いた・・・こういう仕草が萌えるんだよなぁ・・。
医者に「安静にしていなさい」と言われた際に俺なら「何故そうしていた方が良いのか?」と同時に「安静」の言葉に含まれる本質が知りたいと思う。
単に「大人しくして」いればいいのか?座っていてもいいのか?TVを観たりPCを座っていじるのは「安静」の範疇なのか?振動がよくないなら自動車で出掛けるのは駄目なのか?携帯ゲームは「眼の安静」には悪いんじゃないのか?
一言「安静にしていなさい」と言うのも聞くのも簡単だが、その言葉の意味する本質を捉えねば・・・・言い換えれば「何のためにそうするのか?」が解っていない指示など全くの無意味だとすら言える。
「・・・んで、さっきの話に戻るんだけど、ね」
「今度病院にいったら”そういうこと”を聞いてきて欲しいんだよ・・・早く良くなって欲しいからね」
「・・・わかった、でも、聞くことはアンタが考えて紙に書いておいてよね!」
猫は少しだけ唇を尖らせてみせたあと、そう答えた。
実際、患者さんに聞いてみたんだけど・・・あんましこういうこと意識している人は居ないみたいだね。
ちょっと愕いたわ・・・。
コメント
政情不安の国じゃ新聞は都合の良い政府公報で
医者も先生も支払った額の中でサービスを提供する
警察、役人はあからさまに賄賂を要求するしで誰もなにも信用していない
なにも信じられないものアレだが、何にもかにも信じるのもアレだわ
世界レベルの鵜呑みストだった猫に正直ガッカリしなくもないが、考えようによっては素直で従順と言えなくも無い・・・
物事は表裏一体であるなぁ
まぁ、普通ならそういう流れになるところですよねェ・・・
通院の手間さえ考えなければ近所に三井記念病院とか井上眼科とか有名どこがあるんですしおすし・・・
あくまでも「手間」レベルの問題ですけどね