【今の話】FFXI【昔の話】
『~試練No.4974を達成しました~』

「む!?」

詩人デーモンを倒した瞬間、脳裏に流れるアナウンスに一瞬眉をひそめる。

「・・・便利になったもんだな、前はこんなの(アナウンス)あったっけ?」

交換したばかりの短剣と慣れ親しんだ蒼い細剣を軽く振って血糊を払うと、俺は踏み締められた雪の上にどっかりと座り込んだ。

「休憩?」

「ああ、やっと終わったらしいから、な」

「そう」

猫は少しほっとしたような表情を浮かべると、自分も手にしていた虹杖を足元の雪の上に無造作に放り、コートの裾を気にしながらそれに器用に腰掛けた。

都合2日間かけてどうにか目標の2万expを稼いだ俺達は、次はお隣のフォルガンディで同じく2万expを稼ぐ予定だ・・・そう考えるとほっとするよりうんざりしてきたけど、な。

「それにしても、沢山出るモンだな・・・」

先程まで激しい戦闘を繰り返していた場所・・・通常エリアではウルガラン山脈へと続く急勾配の狭い通路には、数枚の裏貨幣・紙幣と共にデーモン族のドロップした大量のレリック装備が散乱していた。

「知らん間に弱点とやらを突いていたらしいな」

コズには意識的に狙うようにアドバイスされていたが、俺自身にはそういうつもりは無かった・・・と、言うより戦闘自体が久し振り過ぎてそんな余裕が無かったというのが正直なところだ。

「スキル上げのつもりで色々撃ち込んでたからね」と返してきた猫にしても似たようなものだろう、バイオ>ポイズン>バーン>チョーク>ショックと規則的に入れる他はブレイクとスタンを適当に撃っていたように思う。

「・・・随分沢山在るけど、必要な物あるか?」

猫は黙って首を横に振る。

「あ、貨幣は要るよ!まだ売れるかも知れないから」

そういうトコはしっかりしているな、うん。


昔、裏LSなるものでそれこそ年単位で欲しいレリック装備を取っていた頃なら卒倒ものの光景だ。

俺にしても今頭にかぶっているDLシャポー+2の他に、一式で預けてあるのとは別にもう一つデュエルシャポーを持っているもんな・・・店で売れるのなら持てるだけ抱えて帰るんだが、そうもいかん。

「勿体無いが土に返すか・・・」

無言で肯定する猫と二人でつと空を見上げると、そこには星の無い闇夜がどこまでも広がっていた。




俺も猫も元々はPS2でFFXIを始めた。

そして2010年12月のあのVUが切欠で慣れ親しんだヴァナディールを離れた・・・それについては今更どうもこうも無い。

日常的だったログインからある意味開放され、喪失感と同時に何か肩の荷が下りたようなほっとした感じがしたのを憶えている。


2年の後、興味本位で手持ちのネットブック(仕事用にと大手家電量販店で100円で買った)でFFベンチを回してみた。

「『楽』表示か・・・」

スコア1000にやっと届くという結果はハードなエンドコンテンツはもとより、ジュノ下層でも処理落ちが発生するというお粗末なレベルだった。

この時の気持ちは正直自分でもよく解らない・・・俺は何を思ったのだろう?

だが、その後の俺の行動は滑稽なくらい真っ直ぐだ。

俺はすぐさまフリートライアル版をDLし、ぶつぶつ文句を言いながら別アカウントを仮登録してプレイ日記を書いた。

実際のゲーム進行が可能かどうかを確かめたかったのだ。

そしてそこで感じた不満を元にコンフィグを調整し、PCのメモリーを増設、ゲームパッドを購入・・・課金手続きをした。





なんだ、ただFFXIが好きだったんじゃないか。





当たり前の様な結論だった。

それから暫く、FFXIVが発売されるまでそれは続いた。

FFXIVは良くも悪くも今風(?)の日本製ゲームだった。

良い知人に恵まれ、楽しくゲームを進める事ができた。

ビョウやガルベスが居たのも大きかった。

直接、一緒に何かすることこそ少なかったが、見知った顔がある世界にどこか安堵感を覚えていたのだろう。

FFXIVへの不満は少なかった。




・・・言い直そう、一つしか無かった。


PS3環境に独特の問題なのかも知れない・・・少なくともPC版のプレイヤーからはそういう声を聞いたことは無いが、彼らの多くがスカイプを併用していることを考えると文字通り「問題外」だった可能性もあるな。



「チャット機能が大変にお粗末であること」



非常にもっさりとした操作感は俺ごときの入力速度にすら従いて来れず脱字の嵐、賢過ぎて想定の斜め上にすっ飛ぶ変換は『馬鳥』レベル。

加えて誤字を訂正しようとBSキーを押す際に隣のPSキーを触ってしまうと、数秒間スタン状態な上に突如日本語変換機能が失われ英語あるいはローマ字会話を余儀なくされてしまう。←それはチャット機能とは関係が・・・



ある日、俺はFFXIVを辞めてしまう。



「俺はこんな無言PTで初見殺しのスーパーワンダーボーイ(「高橋名人の冒険島」への変換可)をやりたいんじゃない・・・MMOがしたいんだッ!!」



揺れる乳が見たくてPS4を買った上での心の叫びである・・・いや、乳は関係無いけどさ。←ステータス派




「・・・あの時に決断していりゃリディルが貰えたのに・・・」

「何ブツブツ言ってるのよ?キモイよ?」

以前の継続ログインキャンペーンで配られた飴に比べると今回のそれは少々微妙ではある・・・まぁ、今回のも悪くは無いけどね、前のが良過ぎただけで。

PCの処理能力的にも俺の操作ストレス的にもサンドリアでの隠遁生活は心地良い。

俺達はこの所、一日一回の福引(箱ゴブ)を楽しみにしているのだ。

『ナニが出るかな~、お宝出るかな~?』

巨大なサイコロを放る小男の様なノリで港競売前の箱ゴブが魔法の金箱を開けると・・・

「・・・テレポヴァズのスクロール!」

「ヴァズ・・・」

猫の表情は優れない。

受け取ったスクロールに眼を眇めている・・・どうもお気に召さなかったようだが、なかなかどうして大当たりじゃないのか?それは?

「もっとヘパテゾインゴットみたいなのが出ればいいのに!」

「いや、それ出ないだろ?出るんだっけ?」

「知らない」

既に興味を失った様子の猫を引っ張ってお向かいの競売カウンターまで行くと、係員に頼んでスクロールの取引履歴を閲覧させてもらう。

「ヴァズ・・ヴァズ・・・50万ギル!?」

「・・・な?思った通りだ」

三国名声が起点のものや長い連続クエストなどの報酬は新規や倉庫キャラでは手が出しにくいし、移動系魔法は現状必須条件では無いが魔法リストにある虫食いを無視出来るゲーマーは少ない。

「そういう連中は金で解決を図ると相場が決まっているからな」

「ふぅーん」

以前からそういう傾向はあったので、暇人が「空蝉の術:壱」や「テレポホラ」を高額で出品しているのを見たことがあったんだ。

嬉しそうに両手でスクロールを抱きしめる猫の肩をそっと抱く。

「良かったな、いいのが出て」

すると猫は顎をしゃくるようにこちらを睨み、こう言った。

「アンタがこの一週間に100万ギル以上、福引で稼いでるの知ってるんだから!・・・何をしたの?買収、賄賂なの!?」

「えっ!?・・・ど、どうかな・・・カーバンクルの紅玉なら何度か渡したけど?」

「・・・ちょっと監獄行ってkる!!」

いや、お前も一緒に行っただろ、そこ。

コメント

お気に入り日記の更新

この日記について

日記内を検索