【猫耳の】FFXI【天使様】
・・・あれはもう一月以上前のコトになるのか?



年末から続いていたワイルドキーパーレイヴキャンペーンもそろそろ終わろうとしていた頃だ。

ワイルドキーパーレイヴってのはアレだ、字面を追えば「野性とか自然の守護者から強奪っつーか略奪しちゃう?」的なイベントだ。



普通に考えたら

「擬少女化された七支公が暴力によってイロイロ奪われちゃう系の薄い本」

みたいな内容を想像してしまいがちだ。



が、しかし実際はでっかいハチとかサカナとかディアブロスだとか何の木?だとかトリだとかクリスタルライオンだとかを冒険者達が寄ってたかってフルボッコにするだけだ、誤解するなよ?←しねーよ



その参加費として支払う戦績(ベヤルド)がWKRキャンペーン中は異様に安い(1/6だっけ?)のと、通常は前回討伐から3時間ほど経たないと発生しない七支公(HNM・・・でいいのか?)が10分ほどでリポップするという大変オトクなイベントなのだ。

オトクと言えばコレに参加してある程度頑張ってると戦績や特殊なオーグメントを付与出来る武器・防具、果ては何故か全く関係の無いバトルコンテンツ用の強化素材・ジョブ専用アクセ・AF強化素材等がポロポロと落ちる・・・俺の知らない間にFFXIは随分ヌルい・・・いや、サービスの行き届いたゲームなっていたなぁおい。



だがまぁなんだ?

俺の様な年末からようやっとアドリンに足を踏み入れたなんて素人ちゃんにはこのヌル・・・優しさはありがたい。

二線級とはいえ便利な武器や防具が割と簡単に手に入るのは後発には嬉しい措置だもんな。



もっとも、当時の俺は暮れから年始にかけての忙しさもあって、キャンペーン終期にようやく参加し始めた・・・波に乗り遅れちゃってる感が否めない残念な冒険者だった。

それでもなんとかシャウト(いまはエールか)に乗って次々と七支公を征し、時に征されながら「七宝」とアイテムを集めていった。



そんなありがたいキャンペーンも残り2日という辺りだったか・・・そろそろシャウトも少なくなり、俺も残すところ@2つの「七宝」を手に入れるのに焦りが出てきた頃だった。

俺はどういう理屈でそうなってるのかは知らんが、キャンペーン終盤はやたらとサカナだのディアブロスだのといった弱い七支公のシャウトばかりが飛び交っていた。

アレかね?

戦績稼ぎとか素材目的なのかね?


その辺の事情は皆目見当が付かないが、俺がその時点で取れていなかった「七宝」であるフルカンだのクムハウだのといった「ちょっと面倒な奴」のシャウトがほとんど無かったんだ。


--------------------------------------------------------------------------------------------------------

俺は数少なくなったシャウトに乗っかってもう欲しいモノなど無い、今日何度目かのアチュカを倒し終わり街へと帰る・・・いつもの様に東アドリン#1前でスシを握りながら待機しているが、目的のシャウトは流れない。


「む!?」


諦めきれずにいる俺は数分おきにマリアミ渓谷やカミール山麓をサーチしていた・・・するとちょっとした動きがあった。

数人、いや十数人の冒険者達がまとまって移動している。


「・・・駄目元でも・・・!」


俺は矢も盾もたまらず目の前の水晶柱(HP)を起動し、マリアミ渓谷へと飛んだ。




「・・・・。」


仄かな光を内包した水晶柱の前に転送された俺の前には、切り立った岩肌に囲まれた狭い草地に所在無げに佇むミスラとタルタルが居た。


俺は思わず天を仰ぎ見ると、盛大に溜息をついた。


その時点で参加したことは無かったが、マリアミ渓谷にはインカージョンという高難度バトルコンテンツの入り口があるらしいことは知っていた・・・知識としては、ね。

俺がサーチの結果を早合点したのを誰が責められよう?・・・いや、誰も責めないよ、誰も知らないし、俺の脳内だし。




それでも諦めきれない未練がましい俺は、一人でWKRの侵入口を調べる。


よし、フルカンのHP100%!5分前も10分前も15分前も!!


一人頷き、強化魔法を掛ける・・・誰にだ?自分にだよ、オンンリーワン!


するとそこに居たタルタルがすっと動いてきて侵入口を調べている・・よし!乗ってきたな?





・・・が、そこまでだった。

タルタルはすぐに元の場所に戻り、後には一人強化を続ける俺だけが残った・・・俺は肩をすくめるとそこに座っていたミスラの方に向き直って声を掛ける。



・・・なんでミスラかって?どうせお話しするなら女の子がいいじゃねーか!



「・・・こうやって侵入する気満々のトコ見せたらご一緒出来ないかしら?と、思ったんだけど」


「なかなか上手くいかないモンだね?」


ミスラちゃんはちらとこちらに目線を投げかけると、意外にもお返事を返してくれた。

ミスラちゃんマジ天使!


「ここはある程度数が揃わないと大変だからね・・・アンタ召喚士に心当たりはない?」


「・・・知り合いが召喚も出来たな、Lv75だけど」


「話にならないわ・・・」


ミスラちゃんは呆れたような声を漏らす。

俺は折角得た話し相手を逃してはならじと、続けて質問を投げかけていた。


「なぁ、俺はここには未だ入ったことが無いんだが・・・どんな敵が出るんだ?」


「へぇ!・・・アンタ初心者かなんかなの?」


驚くとシッポがピン!って立つのは万国共通なんだなぁなんて実にどうでもいい感想を抱いてる場合じゃないな。


「ああ、先週くらいにやっとアドリンに着たんだよ・・・冒険者は随分前からやってるけどね」


「アド『ゥ』リン、ね」


訂正された・・・お姉さん系美人ってのもいいねぇ・・・。

そこからもずっとSayだったけど暫くしゃべっていたな・・・聞けば彼女は青魔道士で七支公からしかラーニング出来ない魔法を求めて何度と無く挑戦を繰り返しているらしい。

考えてみたら彼女は俺の質問を「ググレカス」とか一言で片付けても良かったんだろうけど、ありがたいことに懇切丁寧に教えてくれる・・・流石天使、俺の中でのジブリール様だ。

ここに居る七支公フルカンは雷属性の鳥類NMでキツい範囲攻撃があること、お供のモブがバトルフィールド全域に沸くのでその処理もあって安全地帯が極めて少ないということ、故に召喚士とナイトでの攻略が一般的であるということ・・・。


「・・・はぁ、ますます倒せる気がしない・・・」


俺は赤魔道士だから魔法系属性攻撃に高い耐性がある。

率直に言えば即死系攻撃さえ無ければサカナやディアブロス相手に瞬殺される・・・なんてコトは無い、一人で戦いを挑んだら15分くらいで倒されたけど。(笑)

でも、それだけだ・・・赤はキープ程度には使えてもターゲットを維持しながらは戦えない。

・・・手詰まりだ。



俺の落胆を珍しいモノでも見るかのようにぱっちりと開いた目で見つめていた彼女は、ややあってこう言った。


「じゃ、シャウトしよっか?」


「・・・はい?」


思わず胡乱な目を向けてしまう俺に悪戯っぽく目を細める。


「ダイスを振ってアタシとアナタ、どっちが街で叫ぶか勝負しましょ?」

「定型文で言えば【ワイルドキーパーレイヴ】【マリアミ渓谷】【集まってください】っていうアレよ・・・何度も街で聞いたでしょ?」


そう言うネコミミの天使様は何処からとも無く二組のダイスを取り出すと、その一組を俺に放って寄越した。


「じゃあ、ダイスの目が・・・「986」」


彼女の言葉を途中で遮ったのは、勝手にフライングダイスしている俺だ。


「・・・986だ」


俺がやる気に満ち溢れ過ぎる数字を読み上げる・・・ネコミミの天使様は一瞬驚きの表情を見せたが、すぐににぃっと笑顔を見せると


「・・・大きい人が行くのが普通よね、アタシは振るまでも無いわね・・・いいわアンタが叫んでらっしゃい」


そう言ってひらひらと手を振った。


「ああ、ありがとう・・・行って来る」



そうだよな・・・なんかちょっと離れていたせいか、ここでの流儀って奴を忘れてたんだ。

欲しいモノを手に入れる為の最初の一歩・・・誰かに何かを頼むその一言って奴をさ!


何もしないでいて色々諦めたり他人のおこぼれを頂戴するだけじゃ、なんだか残念過ぎるじゃないか?


俺は俺のしたいことをするために自ら働きかけることを思い出させてくれた彼女にそっと感謝しながら薄水色の移送水晶柱を起動させ、東アドゥリンへと向かった。

---------------------------------------------------------------------------------------------------------

追記:Gカップ無理だから!

コメント

お気に入り日記の更新

この日記について

日記内を検索