【対象商品は】アサガオちゃん特製ミニ団扇【ソイカラ】
2012年7月3日 日常 コメント (1)
「団扇」と書いて「ダンセン」と読むのはFFXIでの常識でしたが、最近のウルガラン山脈はどうなんでしょうね?まだ寒いですかね?
今日、たまたま午後から雨が降ると聞いたので朝、新宿線に乗って出勤してきたのですが、、、来ましたね、、、メルシーの新萌えキャラが!
昨年の「ヒマワリちゃん」に何処と無く似ていなくも無いですが、やや涼しげなアサガオをモチーフにした「アサガオちゃん」の登場です。
「花の名前」+「ちゃん」という名付けの法則があるのに対し、二転三転するのが「○○の妖精」というサブネームですが今回は「フェアリー」シリーズという新しい呼び方にシフトしたようです、、、なんとなく某有名アンダーグラウンドアニメシリーズの制作会社の名前のようで俺的にはアレですが、、、まぁ、普通のヒトにはあまり響かない部分ですね。←俺だけ、、なのか?
とりあえず、今回もこの景品を貰うのにはメルシーでの買い物が条件となります。
で、車ポ(車内吊りポスターの略、昔はアニメージュとかニュータイプとかのを他の乗客や車掌・駅員に見咎められずに回収すると仲間内で「勇者」の称号を送られたものだ)に載っている商品なら何でもいいのかと思い軽い気持ちで菊川駅のメルシーへ、、、、。
俺:あ、すみません、、、「アサガオちゃんの団扇」って入荷ってますか?
店:んあ?、、、ああ、団扇ね!入ってるよ~
俺:んじゃあ、、、ポカリ買うんでください!
店:ん?、、、ポカリじゃあダメだねぇ、、、
俺:、、、へ?
店:今回の対象商品はぁ、、、ごそごそ、、、
この拭くと涼しくなるハンカチ(?)とぉ、、、
そ い か ら ?
俺:、、、、
安 い 方 で お 願 い し ま す 、、、。
見つめられると涼しくなるそうですが、ソイカラは無ェだろォ、、、、。
今日、たまたま午後から雨が降ると聞いたので朝、新宿線に乗って出勤してきたのですが、、、来ましたね、、、メルシーの新萌えキャラが!
昨年の「ヒマワリちゃん」に何処と無く似ていなくも無いですが、やや涼しげなアサガオをモチーフにした「アサガオちゃん」の登場です。
「花の名前」+「ちゃん」という名付けの法則があるのに対し、二転三転するのが「○○の妖精」というサブネームですが今回は「フェアリー」シリーズという新しい呼び方にシフトしたようです、、、なんとなく某有名アンダーグラウンドアニメシリーズの制作会社の名前のようで俺的にはアレですが、、、まぁ、普通のヒトにはあまり響かない部分ですね。←俺だけ、、なのか?
とりあえず、今回もこの景品を貰うのにはメルシーでの買い物が条件となります。
で、車ポ(車内吊りポスターの略、昔はアニメージュとかニュータイプとかのを他の乗客や車掌・駅員に見咎められずに回収すると仲間内で「勇者」の称号を送られたものだ)に載っている商品なら何でもいいのかと思い軽い気持ちで菊川駅のメルシーへ、、、、。
俺:あ、すみません、、、「アサガオちゃんの団扇」って入荷ってますか?
店:んあ?、、、ああ、団扇ね!入ってるよ~
俺:んじゃあ、、、ポカリ買うんでください!
店:ん?、、、ポカリじゃあダメだねぇ、、、
俺:、、、へ?
店:今回の対象商品はぁ、、、ごそごそ、、、
この拭くと涼しくなるハンカチ(?)とぉ、、、
そ い か ら ?
俺:、、、、
安 い 方 で お 願 い し ま す 、、、。
見つめられると涼しくなるそうですが、ソイカラは無ェだろォ、、、、。
【帝国の】Skyrim【弔辞】
2012年6月22日 日常 コメント (2)
、、、続き。
薄く靄が掛かったような古代ノルドの埋葬室に金属の擦れあう様な音が反響する、、、明らかに数を増し、幾つもの音源が重なり合うようにして近づいてきた。
「、、、あなた、、!?」
リディアの目線の先、通路の奥には青白い燐光が無数の蛍が舞うように見えていた、、、。
「危険よ!数が、、、多過ぎるわ!!」
「、、、耳を塞げッ!」
「!」
まだ、、もう少し、、、俺は通路の真ん中に腰を落として両足を踏ん張り、タイミングを計るようにしながら息を、、、そして周囲の霊気を吸い込み、自らの体内に取り込まれている龍の魂とを練り上げてゆく。
...Fus
...Ro
. . . D a h ! !
この薄汚い泥棒猫めに怨嗟の鉄槌を!
そう、思っていたかどうかは分から無いが、俺の目前まで迫っていたドラウグルの一団は嵐に吹き飛ばされる干草の山の様に重なり合ったまま荒れ狂う見えざる力に押し戻された。
俺は取っておきの切り札を使った、、、それはドラゴンボーンたる所以、、、龍の魂を用いたシャウトと呼ばれる技だ。
三つの「揺ぎ無き力」という古代龍語は全ての立ちはだかるものを引き裂き、押し通す「暴力」を意味している。
ドラウグル達は龍咆哮とも言える魂の作り出した暴風に巻き込まれて吹き飛ばされたのだ。
吹き飛ばされたドラウグル達は埋葬室の石壁にぶつかりそのまま動かなくなるもの、互いに絡み合って動けなくなるもの、衝撃で手足が不自由になったものの再び起き上がろうとするものなどが居るが、この隙を嫁が逃すはずも無かった。
「うぉぉおおおッ!」
雄叫びを上げてドラウグルの一団が倒れこむ所へ嫁が碧水晶の斧を叩き込んでゆく、、、ほぼ一方的な殺戮だ。
俺はその場で弓を構え、起き上がろうとするドラウグルを狙い撃ちにする、、、嫁が殴られないようにするのも夫の務めだからな、、、。
「、、、思ったより大したことありませんでしたね、、、」
肩で息をしながらリディアが振り向いた。
通路にはもう数え切れないほどのドラウグルの死体(?)が転がっている、、、俺は嫁が見た目よりも消耗しているのを声の調子で感じていた。
「よくやった、、、だが、今は少し休もう、、、」
俺はドラウグルの死体から自分の撃ち込んだエルフの矢を選んで抜き取りながら言った。
「どうやらこの先が、、、」
俺の目線を追って嫁が奥の鉄扉の方を見据えた。
「”ルア様”とやらのいらっしゃる場所のようだから、な」
俺達は通路の少し広くなっている場所まで後退ると、シカ皮で出来た薄いマットを敷いて座り込んだ。
「これは、、、ちょっと潰れちゃったけど、、、」
嫁が背負い袋から取り出したのは今朝エルダーグリームの野営地で作っていた弁当だった、、、そう言えば今は何時ごろなんだろう?
「なんだかんだで昼もいい加減だったし、、、夜は食事をする前にここに入り込んじゃったでしょう?」
「ああ、、確かに腹ペコだ、、、いただきます!」
蝋燭の仄かな灯の中で黴と樟脳の匂いに包まれての食事はどうかと思うが、今はこれが有難かった。
遅い夕食(?)をハチミツ酒に生姜を擦り入れたもので締める、、、さぁ、もうひと働きしなきゃ、な!
油断していた?、、、そう言われればそうなのかもしれない。
だが、俺はそこに悪意を感じた、、、羨望・嫉妬、、、自らが永遠に失ってしまったモノに対する強烈な悪意を、だ。
「、、、ッ!? 」
「、、、リディアッ!」
俺が通過した直後、嫁を乗せたリフトフロアは恐るべき勢いでせり上がった!
咄嗟に横に転げるように逃げた嫁の左足が、厭な音を立てて床と天井の間に噛み込まれた。
「、、、~ッ!!!」
嫁の噛み殺しきれずに音にならない悲鳴が石室に反響する!
、、、やがて、リフトフロアが静かに下がり始め、挟まった足が抜けて嫁がずり落ちてくる。
俺が嫁を受け止め、抱きかかえる様にして通路の壁際に座らせる。
「、、、ちくしょう!やられた!、、、くそっ!くそっ!!」
痛みを堪え、真っ青な顔をして荒い息で呪詛を唱える嫁の左足はブーツを脱がせるまでも無くありえない方向へ折れ曲がっている。
「少し、、、黙ってろ」
俺は自分の迂闊さを呪いながらも背負い袋から手当ての道具を引っ張り出した。
「、、、コレを咥えて、、、早く!」
比較的清潔な布を取り出し、嫁に渡す、、、それをがっちり咥えたところでナイフを抜いた。
革製のブーツにナイフを入れ、半ば分解するようにして左足を出す、、、左足の脛は床と天井に挟まれた際に骨が折れて「くの字」に曲がってしまっていた。
「いいか?今から痛い目に合わすからな?」
嫁が恐怖のこもった瞳で俺を見た、、、戦場に出たこともある戦士だ、俺がナニをやろうとしているのかは理解はしているが痛みと恐ろしさが先に立つのだろう、、、無理からぬ事だ。
「いいからうつ伏せになれ!、、、そうだ、いい子だ、、、」
俺は嫁の膝の裏に自分の足を乗せると、嫁の左足首を両手で持って全力で引っ張り上げた。
「・・・・-ッ!!!」
ミシミシと音を立てる嫁の左足、、、メチャクチャに暴れられないだけマシかな、、、力比べじゃどうにも分が悪いもんな、、、。
(俺は嫁よりだいぶん背が低いのだ)
両足を並べて膝からくるぶしの長さが同じくらいになったのを確認すると、沼の群生キノコと山の青い花で出来た腫れ止めの水薬を布に滲み込ませて折れた脛に当て、短剣の鞘を二つ、、、脛の外側と裏側に添えて包帯を巻く。
最後に足先の爪を指で押して色の戻りを確認すると、ぐったりしている嫁を鹿皮のマットの上に仰向けに寝かせ、左足が少し高くなるように嫁の背負い袋を下に差し込んだ。
「、、、気分はどうだ?」
「、、、最悪ね、、、骨を折るのがこんなに痛いって知ってたら、もう少し手加減してやったのに、、、」
一体、、誰のことを言ってるのだろう?
「痺れたり、ズキンズキンと脈打つようには痛まないか?」
「痛みはあるけど、、、それほどではないわ、、、いっそ痺れちゃったら楽かもね、、、」
「痺れてきたらすぐに教えろ、、、切り落とさなきゃならなくなる前に、な」
俺はまだ少しあった清潔な布に少し水を含ませ、涙と汗でぐちゃぐちゃな嫁の顔を拭ってやった。
「、、、もう、、、行くの?」
「うむ、、、今のは意図的な攻撃だと思うから、な」
俺は嫁の方を向かずに答えながら背負い袋から「畏怖」の巻物を2本と「使い魔召喚」の杖、封を切ってないアルトワインのボトルを取り出し、、、一口飲んでからムーンシュガーを溶かし込んだ。
「さぁ!いい子だからちょっとだけ待っててくれ、、、このとっておきが無くなるまでには必ず戻るからな?」
向き直った俺を、、、、嫁がじっと見ていた。
俺は鎧の篭手を外すと嫁を抱き起こし、その髪に触れた。
「ねぇ、、、私、悪い予感がするの、、、必ず、戻ってきてくださいね?」
「ああ、約束する、、、家に帰ったらいっぱいシよう、な?」
あ、ちょっと!、、、ヒゲやめて!引っ張らないで!!それイタイイタイイタイ!!!
嫁を少し明るくて乾いた廊下の壁際に移動させて座らせると、巻物と杖を手渡して使い方を教えた。
そして、軽く接吻するとさっきのワインボトルを持たせた。
「一気に飲むなよ?酔いが回ると足が腫れて後で苦しむからな?」
嫁は気丈にも笑顔を見せて言った。
「慌てなくても少しくらい残しておいてあげるわ」
俺はもう一度装備を確かめる、、、今使わない全ての装備品、予備の武装、背負い袋、、、そして矢筒から禍々しいオーラを湛えた宵闇色のデイドラの矢を引き抜くと、鉄の扉に向かって歩き出した。
扉の前まで音も立てずに忍び寄った俺は、小瓶に分けてあった精油を取り出すと扉の蝶番と鍵穴にそれを注した。
しばらく待ってから先程階下で手に入れた鍵を扉に挿す、、、音も無く鍵を捻り、薄く扉を開いて様子を伺う、、、。
(よし、大丈夫だ、、、)
俺はそう判断し、扉の中に滑り込む、、、扉の中は高い天井のホールだった。
(広い、、な)
奥行きで30mはあるか?横幅も同じくらいありそうだ、、、所々に篝火と天井から吊るした大型のランプが設置されていて十分な明るさがある。
俺の入った入り口から見て正面奥に何かが祭ってある祭壇があり、その左右に二つの棺が立ててある、、、ここが伝説の王墓ならばあの左右の棺はそれぞれフョリとホルゲールのもののはずだ。
俺の居る場所からは見え辛いが、左右に木組みの階段が有って二階部分もある造りらしい。
(さて、、と、、、)
俺は薄く舌を出し、自分の唇を舐めた。
(何処から手をつけたモンか、、ね?)
、、、やっと来たわね?
「!!」
部屋全体に響く、、、決して大きくないが何処から発せられているのか分からないくぐもった女性の声だ。
大人しく引き下がっていれば、、、
こんなことにはならなかったのに、、、、度し難い愚か者ね!!
バクッ!バクン!
祭壇の左右にあった棺の蓋が音を立てて外れ、床に転がった、、、そして左の棺からは剣と盾で武装した髪を後ろで編み上げている女性のドラウグルが、右の棺からはグレートソードを握り締めた全身鎧で武装した大柄な男性のドラウグルがのそりと足を踏み出した。
はっとして正面の祭壇を見ると、いつの間にか黒いローブを着た褐色の肌の死霊術士が両手で祭壇の左側と正面手前に倒れていたスケルトンに仮初めの生命を吹き込んでいるところだった。
「貴様が”ルア・アル・スカベン”かッ!?」
俺はそう咆哮ながら弓を構え、デイドラの矢を放った!
瞬間!壇上の黒いローブの死霊術士は信じられないような速さで右に移動し、デイドラの矢は祭壇の奥の壁に当たって乾いた音を立てた。
(俺の矢を避けた、、、だと!?)
正直、死霊術士のような常に戦闘を他人任せにしているような慢性的な運動不足の連中を的にしているのに外すなんて、、、ショックだぜ、、、。
死霊術士は酔ったようなおぼつかない足取りで祭壇からこちらに向かってきた、、、そして定まらぬ目線のまま口角に泡を浮かべてわめき散らしている、、、
彼は、、、彼はもう甦らないのッ!!
(!?、、、何のことだ?)
身体を、、、身体を焼かれてしまったのッ!
、、、何も解らない帝国の馬鹿共めッ!!
この、、、この私に返還されるべき夫の身体を、、、よくもッ!
俺はとりあえず迫り来る2体のスケルトンを撃ち抜き、床にぶちまける、、、が、すぐさま死霊術により新たなるスケルトンとして甦らせてしまう!
(クッソ!、、、反則だぜ!)
俺は追いすがってくるスケルトンを避わし、左手の階段を駆け上がる。
そして崩れそうな二階部分から直接、死霊術士を狙って矢を放った!
キンッ!
瞬間、死霊術士の前に男女のドラウグルが割り込み、ホルゲールであろう大柄な男ドラウグルが死霊術士を庇って立ちはだかり、フョリであろう女ドラウグルが盾で俺の矢を防いだ、、、なんだよそれ、、、ホントに仲良しなんだな、、、!?
ふふふ、、、無駄よ、、、もうあなたに勝ち目は無いわ、、、
無意味に戦争を引き起こすストームクロークも、力で押さえつけるしか能の無い帝国もみんな同じよッ!
黒いローブのフードが後ろに落ちて顔が露わになる、、、白髪の混じったレッドガードの女だ、、、!
血走った眼は狂気をはらみ、一瞬気圧されそうになる、、、
私の研究を邪魔しに来たおまえも、、、全部殺してやるわッ!!
(言ってることがメチャクチャだ、、、正気の沙汰じゃないッ、、、!!)
階段を登ってきたスケルトンを相次いで撃ち抜いた俺は、最早正攻法で倒せる相手ではないと悟り、素早く腰を落とした、、、。
俺はそのまま弓の狙いを天井から吊ってある大型のランプに向け、順番に撃ち抜いて行く、、、。
デイドラの矢が貫通したランプは一つ、また一つと床の上に落下して爆炎を上げ、、、すぐに巨大なホールの中に闇が充満する、、、。
(ノクターナルの加護よ、、、!)
俺の周囲に纏わり付くような闇のオーラが噴出した。
クソッ!このコソ泥めがッ!
何処だ!?隠れても無駄だぞッ!
死霊術士は闇の中に俺の姿を見失ったのか、動揺を隠せない様子だ、、、。
フョリとホルゲールにしても死霊術士の前後を固めるようにして身じろぎもしない。
「完全に立場は逆転した、、、な」
死霊術士は「ひっ!」と声を上げる、、、
「俺にはオマエは丸見えだが、オマエは俺に触れることはおろか見出すことすら出来ない、、、」
ほ、、ホルゲール!フョリ!!や、、奴を近寄らせないでッ!!
死霊術士は叫ぶようにドラウグルに命令すると、暗闇に半ば転げるようにして祭壇へと駆け上がった。
そして慌てて祭壇の上に供えてある薬や材料をかき集めようと這いつくばり、、、そのまま動けなくなった。
「おかえり、、、必ずここへ来ると思っていたよ、、、大事なナニかのあるここへ、な!」
「ひっ!」という息の音もしなかった。
闇と同化した俺が死霊術士を後ろから優しく抱きしめていた、、、
(シシスの御許に、、、)
祈りは一瞬だった、、、死霊術士の喉が潰され、頚椎が前下方へ外れるのと同時に四肢がびくん!と痙攣し、やがて全身の力が抜け、、、
ドサッ、、、ガラ、、ガラン!
暫くの間棒立ちだったスケルトン達が魔力の繋がりを失い、バラバラになって床に散らばった。
フョリとホルゲールはパチッ!とナニかが弾ける様な音がした後、青白い霊魂が薄くたなびく尾を引きながらその肉体を離れてゆく、、、同時に二人の肉体は膝をつき、前のめりに倒れこんだ。
しかし、、、俺は祭壇の前を動くことが出来なかった。
フョリとホルゲールの霊魂はゆらゆらと揺れながら青い燐光を放ち、、、俺の目の前で半透明のうっすらと光る人型になると、俺のアタマの中に直接語りかけてきていた。
(、、、すまないドヴァキンよ、、、私が至らぬばかりに面倒をかけてしまったな、、、)
「、、、どういうコトだ?」
(ル・アハ、、、いや、ルア・アル・スカベンの呪縛が解かれるまで、彼女は私そのものとしてドヴァキンに敵対していたのだ、、、)
「操られていた、、とでも?」
ホルゲールの霊魂は薄い透き通った姿のまま頷いた。
(彼女の伴侶を失った悲しみに哀れみを覚えなかったと言えば嘘になる、、、ただ、それは間違いだった、、、)
ホルゲールの霊魂は少し悲しそうに遠くを見ているような風だった、、、そしてその後を続けるように今度はフョリの霊魂が語りかけてきた。
(ともあれ、ドヴァキンよ、、、あなたのおかげで私は夫と再び合間見えることが出来ました、、、本当にありがとう)
フョリの霊魂は虚空より一振りのおぼろげな燐光を放つ剣を取り出すと、俺にそれを差し出した。
「、、、これ、、は!?」
ほとんど重さを感じない、、、向こう側が透けて見える剣だ!?
(切れ味はいまひとつでしょうが、、、アストラル体、、、そう、例えば私達の様な霊体にも十分な効果が見込めるはずです、、、あなたの旅路ではいづれ役に立つこともありましょう、、、)
(、、、そろそろお別れの刻だ、、、愛しいフョリ、、、こちらへ、、、そして現代のドヴァキンよ、、定まらぬ刻の行く末を担う者よ、、、汝の歩む道に闇と光の加護のあらんことを、、、)
そして二人は手と手を取り合って薄くたなびく煙の如く、、、渦巻き、広がり、、、見えなくなった。
「、、、、。」
俺は暫くその場に立ち尽くしていたが、やがてふうぅ、、と息を吐いた。
なんだか一気にイロイロな事が起こったので俺の中でも混乱しているな、、、とりあえず、、、。
俺は足元に崩れ落ちているルア・アル・スカベンの亡骸を検め、一本の鍵を手に入れた、、、どうやらここから左手二階部分に見える扉の鍵のようだ。
(何か手掛かりがあるかも、な、、、だが、、、)
最後にホルゲールの言っていたコトから察するに、ドラウグルを操っていたのはルア個人の力量によるものでは無いらしい、、、つまり、何かの偶然によってたまたまそうなっていただけならば、サルモールや帝国によって二次的に使われる可能性は極めて低いだろう。
これで一安心か、、、嫁に事の次第を伝えるためにも早く戻らなくっちゃ、な、、、伝説の幽霊と話をしただけじゃなく、ご褒美まで貰うとは!
俺はその場に居合わせないのを残念がる嫁の姿を想像し、それもちょっと可愛いかも?と独りでにやけてしまっていた。
ーおしまい。
薄く靄が掛かったような古代ノルドの埋葬室に金属の擦れあう様な音が反響する、、、明らかに数を増し、幾つもの音源が重なり合うようにして近づいてきた。
「、、、あなた、、!?」
リディアの目線の先、通路の奥には青白い燐光が無数の蛍が舞うように見えていた、、、。
「危険よ!数が、、、多過ぎるわ!!」
「、、、耳を塞げッ!」
「!」
まだ、、もう少し、、、俺は通路の真ん中に腰を落として両足を踏ん張り、タイミングを計るようにしながら息を、、、そして周囲の霊気を吸い込み、自らの体内に取り込まれている龍の魂とを練り上げてゆく。
...Fus
...Ro
. . . D a h ! !
この薄汚い泥棒猫めに怨嗟の鉄槌を!
そう、思っていたかどうかは分から無いが、俺の目前まで迫っていたドラウグルの一団は嵐に吹き飛ばされる干草の山の様に重なり合ったまま荒れ狂う見えざる力に押し戻された。
俺は取っておきの切り札を使った、、、それはドラゴンボーンたる所以、、、龍の魂を用いたシャウトと呼ばれる技だ。
三つの「揺ぎ無き力」という古代龍語は全ての立ちはだかるものを引き裂き、押し通す「暴力」を意味している。
ドラウグル達は龍咆哮とも言える魂の作り出した暴風に巻き込まれて吹き飛ばされたのだ。
吹き飛ばされたドラウグル達は埋葬室の石壁にぶつかりそのまま動かなくなるもの、互いに絡み合って動けなくなるもの、衝撃で手足が不自由になったものの再び起き上がろうとするものなどが居るが、この隙を嫁が逃すはずも無かった。
「うぉぉおおおッ!」
雄叫びを上げてドラウグルの一団が倒れこむ所へ嫁が碧水晶の斧を叩き込んでゆく、、、ほぼ一方的な殺戮だ。
俺はその場で弓を構え、起き上がろうとするドラウグルを狙い撃ちにする、、、嫁が殴られないようにするのも夫の務めだからな、、、。
「、、、思ったより大したことありませんでしたね、、、」
肩で息をしながらリディアが振り向いた。
通路にはもう数え切れないほどのドラウグルの死体(?)が転がっている、、、俺は嫁が見た目よりも消耗しているのを声の調子で感じていた。
「よくやった、、、だが、今は少し休もう、、、」
俺はドラウグルの死体から自分の撃ち込んだエルフの矢を選んで抜き取りながら言った。
「どうやらこの先が、、、」
俺の目線を追って嫁が奥の鉄扉の方を見据えた。
「”ルア様”とやらのいらっしゃる場所のようだから、な」
俺達は通路の少し広くなっている場所まで後退ると、シカ皮で出来た薄いマットを敷いて座り込んだ。
「これは、、、ちょっと潰れちゃったけど、、、」
嫁が背負い袋から取り出したのは今朝エルダーグリームの野営地で作っていた弁当だった、、、そう言えば今は何時ごろなんだろう?
「なんだかんだで昼もいい加減だったし、、、夜は食事をする前にここに入り込んじゃったでしょう?」
「ああ、、確かに腹ペコだ、、、いただきます!」
蝋燭の仄かな灯の中で黴と樟脳の匂いに包まれての食事はどうかと思うが、今はこれが有難かった。
遅い夕食(?)をハチミツ酒に生姜を擦り入れたもので締める、、、さぁ、もうひと働きしなきゃ、な!
油断していた?、、、そう言われればそうなのかもしれない。
だが、俺はそこに悪意を感じた、、、羨望・嫉妬、、、自らが永遠に失ってしまったモノに対する強烈な悪意を、だ。
「、、、ッ!? 」
「、、、リディアッ!」
俺が通過した直後、嫁を乗せたリフトフロアは恐るべき勢いでせり上がった!
咄嗟に横に転げるように逃げた嫁の左足が、厭な音を立てて床と天井の間に噛み込まれた。
「、、、~ッ!!!」
嫁の噛み殺しきれずに音にならない悲鳴が石室に反響する!
、、、やがて、リフトフロアが静かに下がり始め、挟まった足が抜けて嫁がずり落ちてくる。
俺が嫁を受け止め、抱きかかえる様にして通路の壁際に座らせる。
「、、、ちくしょう!やられた!、、、くそっ!くそっ!!」
痛みを堪え、真っ青な顔をして荒い息で呪詛を唱える嫁の左足はブーツを脱がせるまでも無くありえない方向へ折れ曲がっている。
「少し、、、黙ってろ」
俺は自分の迂闊さを呪いながらも背負い袋から手当ての道具を引っ張り出した。
「、、、コレを咥えて、、、早く!」
比較的清潔な布を取り出し、嫁に渡す、、、それをがっちり咥えたところでナイフを抜いた。
革製のブーツにナイフを入れ、半ば分解するようにして左足を出す、、、左足の脛は床と天井に挟まれた際に骨が折れて「くの字」に曲がってしまっていた。
「いいか?今から痛い目に合わすからな?」
嫁が恐怖のこもった瞳で俺を見た、、、戦場に出たこともある戦士だ、俺がナニをやろうとしているのかは理解はしているが痛みと恐ろしさが先に立つのだろう、、、無理からぬ事だ。
「いいからうつ伏せになれ!、、、そうだ、いい子だ、、、」
俺は嫁の膝の裏に自分の足を乗せると、嫁の左足首を両手で持って全力で引っ張り上げた。
「・・・・-ッ!!!」
ミシミシと音を立てる嫁の左足、、、メチャクチャに暴れられないだけマシかな、、、力比べじゃどうにも分が悪いもんな、、、。
(俺は嫁よりだいぶん背が低いのだ)
両足を並べて膝からくるぶしの長さが同じくらいになったのを確認すると、沼の群生キノコと山の青い花で出来た腫れ止めの水薬を布に滲み込ませて折れた脛に当て、短剣の鞘を二つ、、、脛の外側と裏側に添えて包帯を巻く。
最後に足先の爪を指で押して色の戻りを確認すると、ぐったりしている嫁を鹿皮のマットの上に仰向けに寝かせ、左足が少し高くなるように嫁の背負い袋を下に差し込んだ。
「、、、気分はどうだ?」
「、、、最悪ね、、、骨を折るのがこんなに痛いって知ってたら、もう少し手加減してやったのに、、、」
一体、、誰のことを言ってるのだろう?
「痺れたり、ズキンズキンと脈打つようには痛まないか?」
「痛みはあるけど、、、それほどではないわ、、、いっそ痺れちゃったら楽かもね、、、」
「痺れてきたらすぐに教えろ、、、切り落とさなきゃならなくなる前に、な」
俺はまだ少しあった清潔な布に少し水を含ませ、涙と汗でぐちゃぐちゃな嫁の顔を拭ってやった。
「、、、もう、、、行くの?」
「うむ、、、今のは意図的な攻撃だと思うから、な」
俺は嫁の方を向かずに答えながら背負い袋から「畏怖」の巻物を2本と「使い魔召喚」の杖、封を切ってないアルトワインのボトルを取り出し、、、一口飲んでからムーンシュガーを溶かし込んだ。
「さぁ!いい子だからちょっとだけ待っててくれ、、、このとっておきが無くなるまでには必ず戻るからな?」
向き直った俺を、、、、嫁がじっと見ていた。
俺は鎧の篭手を外すと嫁を抱き起こし、その髪に触れた。
「ねぇ、、、私、悪い予感がするの、、、必ず、戻ってきてくださいね?」
「ああ、約束する、、、家に帰ったらいっぱいシよう、な?」
あ、ちょっと!、、、ヒゲやめて!引っ張らないで!!それイタイイタイイタイ!!!
嫁を少し明るくて乾いた廊下の壁際に移動させて座らせると、巻物と杖を手渡して使い方を教えた。
そして、軽く接吻するとさっきのワインボトルを持たせた。
「一気に飲むなよ?酔いが回ると足が腫れて後で苦しむからな?」
嫁は気丈にも笑顔を見せて言った。
「慌てなくても少しくらい残しておいてあげるわ」
俺はもう一度装備を確かめる、、、今使わない全ての装備品、予備の武装、背負い袋、、、そして矢筒から禍々しいオーラを湛えた宵闇色のデイドラの矢を引き抜くと、鉄の扉に向かって歩き出した。
扉の前まで音も立てずに忍び寄った俺は、小瓶に分けてあった精油を取り出すと扉の蝶番と鍵穴にそれを注した。
しばらく待ってから先程階下で手に入れた鍵を扉に挿す、、、音も無く鍵を捻り、薄く扉を開いて様子を伺う、、、。
(よし、大丈夫だ、、、)
俺はそう判断し、扉の中に滑り込む、、、扉の中は高い天井のホールだった。
(広い、、な)
奥行きで30mはあるか?横幅も同じくらいありそうだ、、、所々に篝火と天井から吊るした大型のランプが設置されていて十分な明るさがある。
俺の入った入り口から見て正面奥に何かが祭ってある祭壇があり、その左右に二つの棺が立ててある、、、ここが伝説の王墓ならばあの左右の棺はそれぞれフョリとホルゲールのもののはずだ。
俺の居る場所からは見え辛いが、左右に木組みの階段が有って二階部分もある造りらしい。
(さて、、と、、、)
俺は薄く舌を出し、自分の唇を舐めた。
(何処から手をつけたモンか、、ね?)
、、、やっと来たわね?
「!!」
部屋全体に響く、、、決して大きくないが何処から発せられているのか分からないくぐもった女性の声だ。
大人しく引き下がっていれば、、、
こんなことにはならなかったのに、、、、度し難い愚か者ね!!
バクッ!バクン!
祭壇の左右にあった棺の蓋が音を立てて外れ、床に転がった、、、そして左の棺からは剣と盾で武装した髪を後ろで編み上げている女性のドラウグルが、右の棺からはグレートソードを握り締めた全身鎧で武装した大柄な男性のドラウグルがのそりと足を踏み出した。
はっとして正面の祭壇を見ると、いつの間にか黒いローブを着た褐色の肌の死霊術士が両手で祭壇の左側と正面手前に倒れていたスケルトンに仮初めの生命を吹き込んでいるところだった。
「貴様が”ルア・アル・スカベン”かッ!?」
俺はそう咆哮ながら弓を構え、デイドラの矢を放った!
瞬間!壇上の黒いローブの死霊術士は信じられないような速さで右に移動し、デイドラの矢は祭壇の奥の壁に当たって乾いた音を立てた。
(俺の矢を避けた、、、だと!?)
正直、死霊術士のような常に戦闘を他人任せにしているような慢性的な運動不足の連中を的にしているのに外すなんて、、、ショックだぜ、、、。
死霊術士は酔ったようなおぼつかない足取りで祭壇からこちらに向かってきた、、、そして定まらぬ目線のまま口角に泡を浮かべてわめき散らしている、、、
彼は、、、彼はもう甦らないのッ!!
(!?、、、何のことだ?)
身体を、、、身体を焼かれてしまったのッ!
、、、何も解らない帝国の馬鹿共めッ!!
この、、、この私に返還されるべき夫の身体を、、、よくもッ!
俺はとりあえず迫り来る2体のスケルトンを撃ち抜き、床にぶちまける、、、が、すぐさま死霊術により新たなるスケルトンとして甦らせてしまう!
(クッソ!、、、反則だぜ!)
俺は追いすがってくるスケルトンを避わし、左手の階段を駆け上がる。
そして崩れそうな二階部分から直接、死霊術士を狙って矢を放った!
キンッ!
瞬間、死霊術士の前に男女のドラウグルが割り込み、ホルゲールであろう大柄な男ドラウグルが死霊術士を庇って立ちはだかり、フョリであろう女ドラウグルが盾で俺の矢を防いだ、、、なんだよそれ、、、ホントに仲良しなんだな、、、!?
ふふふ、、、無駄よ、、、もうあなたに勝ち目は無いわ、、、
無意味に戦争を引き起こすストームクロークも、力で押さえつけるしか能の無い帝国もみんな同じよッ!
黒いローブのフードが後ろに落ちて顔が露わになる、、、白髪の混じったレッドガードの女だ、、、!
血走った眼は狂気をはらみ、一瞬気圧されそうになる、、、
私の研究を邪魔しに来たおまえも、、、全部殺してやるわッ!!
(言ってることがメチャクチャだ、、、正気の沙汰じゃないッ、、、!!)
階段を登ってきたスケルトンを相次いで撃ち抜いた俺は、最早正攻法で倒せる相手ではないと悟り、素早く腰を落とした、、、。
俺はそのまま弓の狙いを天井から吊ってある大型のランプに向け、順番に撃ち抜いて行く、、、。
デイドラの矢が貫通したランプは一つ、また一つと床の上に落下して爆炎を上げ、、、すぐに巨大なホールの中に闇が充満する、、、。
(ノクターナルの加護よ、、、!)
俺の周囲に纏わり付くような闇のオーラが噴出した。
クソッ!このコソ泥めがッ!
何処だ!?隠れても無駄だぞッ!
死霊術士は闇の中に俺の姿を見失ったのか、動揺を隠せない様子だ、、、。
フョリとホルゲールにしても死霊術士の前後を固めるようにして身じろぎもしない。
「完全に立場は逆転した、、、な」
死霊術士は「ひっ!」と声を上げる、、、
「俺にはオマエは丸見えだが、オマエは俺に触れることはおろか見出すことすら出来ない、、、」
ほ、、ホルゲール!フョリ!!や、、奴を近寄らせないでッ!!
死霊術士は叫ぶようにドラウグルに命令すると、暗闇に半ば転げるようにして祭壇へと駆け上がった。
そして慌てて祭壇の上に供えてある薬や材料をかき集めようと這いつくばり、、、そのまま動けなくなった。
「おかえり、、、必ずここへ来ると思っていたよ、、、大事なナニかのあるここへ、な!」
「ひっ!」という息の音もしなかった。
闇と同化した俺が死霊術士を後ろから優しく抱きしめていた、、、
(シシスの御許に、、、)
祈りは一瞬だった、、、死霊術士の喉が潰され、頚椎が前下方へ外れるのと同時に四肢がびくん!と痙攣し、やがて全身の力が抜け、、、
ドサッ、、、ガラ、、ガラン!
暫くの間棒立ちだったスケルトン達が魔力の繋がりを失い、バラバラになって床に散らばった。
フョリとホルゲールはパチッ!とナニかが弾ける様な音がした後、青白い霊魂が薄くたなびく尾を引きながらその肉体を離れてゆく、、、同時に二人の肉体は膝をつき、前のめりに倒れこんだ。
しかし、、、俺は祭壇の前を動くことが出来なかった。
フョリとホルゲールの霊魂はゆらゆらと揺れながら青い燐光を放ち、、、俺の目の前で半透明のうっすらと光る人型になると、俺のアタマの中に直接語りかけてきていた。
(、、、すまないドヴァキンよ、、、私が至らぬばかりに面倒をかけてしまったな、、、)
「、、、どういうコトだ?」
(ル・アハ、、、いや、ルア・アル・スカベンの呪縛が解かれるまで、彼女は私そのものとしてドヴァキンに敵対していたのだ、、、)
「操られていた、、とでも?」
ホルゲールの霊魂は薄い透き通った姿のまま頷いた。
(彼女の伴侶を失った悲しみに哀れみを覚えなかったと言えば嘘になる、、、ただ、それは間違いだった、、、)
ホルゲールの霊魂は少し悲しそうに遠くを見ているような風だった、、、そしてその後を続けるように今度はフョリの霊魂が語りかけてきた。
(ともあれ、ドヴァキンよ、、、あなたのおかげで私は夫と再び合間見えることが出来ました、、、本当にありがとう)
フョリの霊魂は虚空より一振りのおぼろげな燐光を放つ剣を取り出すと、俺にそれを差し出した。
「、、、これ、、は!?」
ほとんど重さを感じない、、、向こう側が透けて見える剣だ!?
(切れ味はいまひとつでしょうが、、、アストラル体、、、そう、例えば私達の様な霊体にも十分な効果が見込めるはずです、、、あなたの旅路ではいづれ役に立つこともありましょう、、、)
(、、、そろそろお別れの刻だ、、、愛しいフョリ、、、こちらへ、、、そして現代のドヴァキンよ、、定まらぬ刻の行く末を担う者よ、、、汝の歩む道に闇と光の加護のあらんことを、、、)
そして二人は手と手を取り合って薄くたなびく煙の如く、、、渦巻き、広がり、、、見えなくなった。
「、、、、。」
俺は暫くその場に立ち尽くしていたが、やがてふうぅ、、と息を吐いた。
なんだか一気にイロイロな事が起こったので俺の中でも混乱しているな、、、とりあえず、、、。
俺は足元に崩れ落ちているルア・アル・スカベンの亡骸を検め、一本の鍵を手に入れた、、、どうやらここから左手二階部分に見える扉の鍵のようだ。
(何か手掛かりがあるかも、な、、、だが、、、)
最後にホルゲールの言っていたコトから察するに、ドラウグルを操っていたのはルア個人の力量によるものでは無いらしい、、、つまり、何かの偶然によってたまたまそうなっていただけならば、サルモールや帝国によって二次的に使われる可能性は極めて低いだろう。
これで一安心か、、、嫁に事の次第を伝えるためにも早く戻らなくっちゃ、な、、、伝説の幽霊と話をしただけじゃなく、ご褒美まで貰うとは!
俺はその場に居合わせないのを残念がる嫁の姿を想像し、それもちょっと可愛いかも?と独りでにやけてしまっていた。
ーおしまい。
【ル・アハの】Skyrim【日記】
2012年6月20日 日常 コメント (2)
、、、続き。
左手を血の滲んだ包帯でグルグル巻きにした若いブレトンの召喚士は困惑していた、、、。
死霊術の師であるルア・アル・スカベンに手渡された資料のことである。
彼女に「研究に値する」と言われた二冊の本は若い娘が読むような甘いロマンスと悲劇の伝説、そしてその伝説に絡むある死霊術士の日記だった。
「ふぅ、、、何度読みなおしても、な、、、」
正直言ってこういうロマンスは苦手だったし物語の中に隠された寓意やアナグラムを読み解く研究よりも、実際の召喚技術やマジ力の集中や拡散といったパワーコントロールこそが得意分野である、、、つまり実践派なのだ。
「、、、今日はここまでにすっか、、、」
彼は机の上に与えられた資料を置くと椅子を引いて立ち上がり、伸びをした。
その動きに一瞬、ドラウグルが鈍い燐光を放つ虚ろな視線を投げかけたが、すぐに関心を失ったかのように元の姿勢に戻った「、、、この職場環境もどうにかならないものかね?」思わず呟きが洩れる、、、オブリビオンからの召喚生物を使役するのが本職である彼も、古代技術で永遠の生命を吹き込まれているドラウグルは理解が及ばない分、職場の同僚としてもあまり馴染めずに居た。
彼はため息をつきヤレヤレといった風に首を振ると、今度は部屋の奥にあるスロープを歩き出した。
スロープを登った先には、内から洩れる炎のオーラがその姿を薄暗い石室の闇に浮かび上がらせる炎の精霊が佇んでいた。
「フラン、、そろそろ時間だよ?」
若いブレトンの召喚士は炎の精霊に愛しむ様な柔らかい表情で語りかけていた。
彼は書物の様な伝説の二人のロマンスには理解が無かったが、フランに対して抱く感情はたぶん特別なものだと自分自身では理解していた。
彼が9歳のときに親に隠れて読みふけっていた魔導書を参考に初めて呼び出した掌の中の小さな炎、、、また、その後の血の滲む様な鍛錬によって今や自在に呼び出せるようになった炎の精霊は、異郷で暮らす彼とその家族を迫害の対象としてしか見ていないノルドの連中と違い、互いに信頼しあえる特別な存在だった。
フランと呼ばれた炎の精霊は幽かに頷くと、片手をそっと彼に伸ばした。
オブリビオンより呼び出された精霊たちは、どんなに強力な術者の召喚であってもある程度の時間を経過すると消滅してしまう、、、いや、正確には消滅するのではなく異世界と現世を繋ぐ魔力による導路が失われてしまうことで、その姿を保てなくなってしまうのだ。
ただ、彼等の場合は特別だった、、、フランは召喚されたまま彼にその身体に直接触れられて魔力の導路を繋ぎなおす。
その儀式の度に指尖を火傷してしまうので彼の左手の指はもう満足に物を掴むこともできなかったが、彼はその痛みさえをも愛おしいと感じていた。
シュ、、カッ!
召喚士は我が目を疑った。
今まさに手を取ろうとしたフランの胸元に一本の金色の矢が深々と突き刺さり、矢の周囲から青白い凍気のオーラが広がって、、、。
「フラン!!」
若いブレトンの召喚士が叫ぶのと、崩れるように膝をついた炎の精霊の身体が内からあふれ出る魔力の奔流に耐え切れず大爆発するのとは同時だった。
黒いローブに身を包んだ召喚士の身体は吹き荒れる炎の嵐に巻き込まれ、一瞬で体表面や四肢の末端が炭化する、、、。
薄れ行く意識の中でフランの声が聴こえる、、、肉体を棄て、オブリビオンでの彼女との再会を確信した彼は、「師匠、、、今ならわか、、、」と呟き、こと切れた。
「ビックリしたなぁ、、、」
「たまにありますよね」
石室の入り口から狙い撃った炎の精霊が突然大爆発し、たまたま近くに居たドラウグルと召喚士を巻き添えにしてしまったのだ。
「、、、地下に居るからな、、、生き埋めとかは勘弁して欲しいぜ」
「次からは呼び出した術者の方を狙ってくださいね、、、」
「うむ、、、気をつけよう」
俺はヘルメットを脱いで、未だに良く聞こえない耳を片手でわしわしと揉みながら隠れていた通路から這い出した。
「他にお出迎えが出てこないところを見ると、扉の奥には聴こえなかったのかね?」
「、、、今のところは大丈夫みたいですね」
俺達は這い出した通路から一旦石橋の下をくぐり、石橋の奥にあるスロープを登って部屋の右奥、、、少し高くなった台座とその真ん中に設置されているレバーのある場所に来た。
爆発により壁奥に置いてあったテーブルや椅子、机の上にあったであろう書類や本の類が辺りに散乱していた。
「、、、?」
俺は散乱する書類の中からタイトルのついていない革紐で綴じてある一冊のノートを拾い上げた。
少し読み進むと(それは決して読みやすいものでは無かったが)それがどうやら「ル・アハ」という女性死霊術士が書いた日記で、伴侶を失った悲しみと狂気から次第にドラウグルの製法の研究に没頭してゆくさまが脈絡の無い文章で書き綴られていた。
俺はざっと飛ばし読みしていったなかで最後の方のページに思わず眼の留まる記述を見つけた、、、ホルゲールだと、、?
「フョリとホルゲール」という伝説を基にした物語は俺も読んだことがある。
部族間の戦争中に敵同士として実力伯仲の男女が出会い、互いに認め合い信頼し愛し合うようになるというラブロマンスだ、、、だが、確か最後は一方を助けるために犠牲になった女性を悼み、折角助かった男が来世での再会を願い自害するという内容だ。
「、、、報われない話ですね、、、」
粗筋を語って聞かせた嫁の感想である。
「ああ、、、助けた方もきっとソブンガルデでガッカリしたろうな」
戦いにおいて勇敢だった戦士はノルド伝説の楽園たるソブンガルデに召され、誇り高きその魂は永遠に生き続ける、、、しかし、卑怯な振る舞いや騙し討ちなど戦士の魂を汚すような行為に手を染めるものには決して楽園の扉は開かない。
俺の見たところ気高きフョリの愛と献身は戦士としての評価とも相まってソブンガルデ行きは確実だろうが、ホルゲールの行為はノルド戦士としても部族を率いる首長としてもどうかと思うね、、、まぁ、暗殺者で盗賊の俺が言えた義理じゃないけど、な。
「、、、で、何かわかりましたか?」
「うむ、、、」
断片的な情報の上に比喩表現や暗示が多過ぎて読み辛い狂人日記だが、最終的には「ホルゲールに召喚され」てアンデッドを使い土に埋もれて行方がわからなくなっていた古墳を発掘し、何らかの取引か交換条件を経て「ドラウグルを使役」するようになったらしい。
「ホルゲールに呼ばれて、、、って文字通りの意味なのかしら?」
リディアが首を傾げる。
「だって、、、何世紀も前に死んでしまっているんでしょう?」
「ソレを言ったら始まらないさ、、、動く死体が問答無用で襲い掛かってくるこの世界にどんな常識を求めてるんだ?」
嫁は隣で首をすくめ、ちろっと舌を出して見せた。
「こういう超常の世で一般論というのもヘンだが、ル・アハとホルゲールは共に伴侶を失い悲嘆と狂気の果てに合い通じるものがあったのかも知れんな」
日記のなかでル・アハはドラウグルの製法に触れている、、、死体の鮮度を保つ技法に優れている古代ノルド人の知恵や死後の復活について特に熱心に調べていたようだ。
、、、これは俺の憶測に過ぎないが、ホルゲールは愛するフョリと共に現世に復活する手段を求め、似たような境遇にある強力な術者に協力を求めると同時に見返りをも示したのではないだろうか?
「、、、一応、話の筋は通ってますね、、、」
「そうと決まったワケじゃないさ、、、可能性のひとつって奴だ」
俺は日記を背負い袋に仕舞いこむとレバーと石柱を調べてみることにした。
今までの経験からすれば明らかにトラップが仕掛けてある、、、事実部屋の奥の石壁には散々痛い目を見てきた矢の飛び出す穴が無数にある。
「これは4本の石柱を定められた組み合わせに揃えた上でレバーを引く必要があるな、、、」
「、、、とすると何処か近くにヒントって言うか答えが、、、」
ふと部屋奥の壁の蔓草が気になって引き剥がしてみる、、、よし!これか、、!
「リディア!上に登って石柱を回してくれないか?」
「はい」
嫁が石柱の所に着いたのを確認して指示を出す。
「いくぞ?先ずそいつはトリ、次がヘビ、、、」
次々と石柱を回転させて奥の壁際に隠された「正解」に合わせてゆく。
「、、、そうだ、そして最後がまたヘビ」
嫁が最後の一本を回し終えるとそこで待つように声をかけ、俺は穴の開いた壁の前にしゃがみこんでレバーを狙って弓を引いた。
カッ!
金色の矢がレバーの先端部分に当たって弾かれ、、、同時にレバーが向こう側に倒れ、キリキリキリ、、、と何かを巻き上げるような音がして俺の居る場所からは正面に見える石橋の先の格子戸が開いた。
「上手くいきましたね」
スロープを降りてきた嫁は壁際の荷物を持って傍にやってきた。
俺は荷物を受け取るとそれを肩にかけ、石橋の先、、、恐らくは伝説のフョリとホルゲールが眠る古代の墳墓へと向かった。
格子戸の先は観音開きの大きな鉄扉だった。
扉の上にはプレートが貼り付けてあり、そこには「アンシルヴァンドの埋葬室」と読める、、、まぁ、予想していたとはいえ本当に古代の王墓とは、な、、、。
石造りの埋葬室に足を踏み入れると、何処からとも無くくぐもった女の声が遺跡に響き渡った。
死んだ、、、死んだ夫の恨み、、、恨みを晴らしてやるッ!
遺跡の奥から青白い光が流れ込み、そこかしこでドラウグル達が目を覚ます。
俺と嫁はもう待ってなど居ない、、、最初からそのつもりならやることは決まっているのだ。
俺は視界に入った死体を全て撃ち抜き、ほとんどのドラウグル達は起き上がることなく棺の中に崩れ落ちた。
背中を護るのは無論嫁の仕事だ、、、彼女に必要性を認められればソブンガルデ逝きの片道切符をもらったも同然だから、な。
二人で次々と襲い掛かるドラウグルを片付けながらほぼ一本道を遺跡の奥へと突き進み、何度目かのトラップ通路を走り抜けると松明や篝火がそこかしこに設置された高い天井のホールに出た。
早速警備に当たっていた二体のドラウグルに発見されるが、俺の方に向かって来る途中で床にあったスイッチを作動させてしまい、突然床の穴から吹き上がった炎によって焼死してしまう、、、なんだか憐れになってきたな、、、。
ホールの奥を見ると左手の壁に沿って二階への階段があり、一階の突き当りには2つの玉座と8つの黒い棺が設置されており、玉座の間の祭壇にはよく見ると鍵のようなものが納めてある。
俺と嫁は顔を見合わせた。
「、、、取ったらバクン!、、だな?」
「取ったらバクン!ですね、、、」
祭壇から鍵を取り上げた途端、周囲の棺が「バクン!」と開いてドラウグル達に囲まれてフルボッコにされるだろうね?という確認である。
俺達は少し相談し、安全を確認してから嫁は二階への階段に登った。
俺は祭壇の周りを注意深く観察し、他のトラップが認められないのを確かめると、いきなり鍵を奪って入り口の方へ逃げ出した!
バクン!、、バクン!バクンッ!
一斉に棺の蓋が跳ね上がり、ドラウグルが起き上がる!
ォガァッ!
グォガァッ!
叫び声を上げて俺を追いかけてくるドラウグルを部屋の中央付近に誘導すると、ドラウグル達は床のスイッチを踏んで次々と炎に包まれた。
生き残ったドラウグルには階段の上からリディアが弓を射掛け、次々と止めを刺してゆく、、、ほんの一瞬の戦いだった。
二階には奥に木製の扉があり、その先には掘削作業中のドラウグルとダークエルフの召喚士が居たが、気付かれること無く射殺する、、、問答無用で押し通る俺達こそ悪鬼の如き侵略者だよな、、、。
地下に流れる小川を越えて道なりに坂道を登ると、また木製の扉が、、、その先は先程の広いホールの三階部分、、、と言っても人一人がやっと通れる幅の手すりも何も無い通路だ。
(、、、落ちたら無事では済まんな、、、)
注意深く細い通路を進む。
丁度真ん中の辺りにフットスイッチが設置してあるのが見えた、、、そして天井にはこれ見よがしに無数のトゲが生えている格子が付いている。
俺と嫁は通路でお互いの顔を見合わせた。
「、、、どうしたモンかね?、、、ありゃどう見ても踏んだら横薙ぎにされんぞ?」
「、、、ですよね、、、通路の縁にでもぶら下がって、、」
その時突然!通路の反対側に見えていた鉄扉が開きグレートソードを構えたドラウグル・デスロードが雄叫びを上げてまっすぐこちらに走りこんできた!!
「!!」
「ちょっ!?」
他に逃げ場の無い細い通路での奇襲攻撃に思わず身構えるが、引くも避けるもかなわない、、、どうするッ!?
ォグォアァッ!!
(大剣を横薙ぎに振るわれたらマズい!)
カチャ!
ブゥン、、ガッ!!
ゴォッ!?アアァァァァァァァ・・・
グシャッ・・・
フットスイッチを思いっきり踏んでしまったデスロードは、大剣を構えたまま天井から振り子の様に横薙ぎに降りてきた槍衾に上半身を払われて、はるか階下まで落下して絶命してしまった、、、、。
俺達は細い通路から階下を覗き込んでため息をついた。
「、、、屈んで通れば大丈夫みたいだな?」
「ええ、身をもって証明してくれた彼に感謝しましょう」
鉄扉の先には下りの階段が続き、その奥には再びノルドの埋葬棚が並んでいる暗い石室が広がっているのが見える、、、と
「そこに居るのは誰!?」
突然、女の声が響いた、、、しまった!こっちが明るいから影で見つかったか!
階段の下は十字路になっていたので、その角の部分に誰か居たらしい、、、ええい!ままよ!!
俺と嫁は武器を構えたまま階段を駆け下り、角を曲がった。
「ここに来るべきじゃなかったわね!」
そう叫んだ女は死霊術士だった。
彼女は手近な古代ノルドの死体を操り、襲い掛かってきたが、、、嫁のバッシュ!一発で膝をつき、俺がノルドの死体を撃ち抜くのと同時に止めを刺されていた、、、。
何か手がかりは無いかと死霊術士を調べようと近づいたときだ。
突然!またくぐもった女の声が石室全体をびりびりと振動させるように響き渡った!!
、、、彼は、、、彼はもう、生き返らない、、、ッ!
悲嘆にくれる、、、怨嗟のような響きだ、、、。
、、だけど、、、だから、、、軍を挙げてこの汚辱に報いてやるッ、、!!
「軍だ、、と!?」
「!?」
、、、そして埋葬室の奥からガチャガチャと金属鎧のこすれあう音が次第に迫って来るのだった。
、、、もう少し続くんじゃYO
左手を血の滲んだ包帯でグルグル巻きにした若いブレトンの召喚士は困惑していた、、、。
死霊術の師であるルア・アル・スカベンに手渡された資料のことである。
彼女に「研究に値する」と言われた二冊の本は若い娘が読むような甘いロマンスと悲劇の伝説、そしてその伝説に絡むある死霊術士の日記だった。
「ふぅ、、、何度読みなおしても、な、、、」
正直言ってこういうロマンスは苦手だったし物語の中に隠された寓意やアナグラムを読み解く研究よりも、実際の召喚技術やマジ力の集中や拡散といったパワーコントロールこそが得意分野である、、、つまり実践派なのだ。
「、、、今日はここまでにすっか、、、」
彼は机の上に与えられた資料を置くと椅子を引いて立ち上がり、伸びをした。
その動きに一瞬、ドラウグルが鈍い燐光を放つ虚ろな視線を投げかけたが、すぐに関心を失ったかのように元の姿勢に戻った「、、、この職場環境もどうにかならないものかね?」思わず呟きが洩れる、、、オブリビオンからの召喚生物を使役するのが本職である彼も、古代技術で永遠の生命を吹き込まれているドラウグルは理解が及ばない分、職場の同僚としてもあまり馴染めずに居た。
彼はため息をつきヤレヤレといった風に首を振ると、今度は部屋の奥にあるスロープを歩き出した。
スロープを登った先には、内から洩れる炎のオーラがその姿を薄暗い石室の闇に浮かび上がらせる炎の精霊が佇んでいた。
「フラン、、そろそろ時間だよ?」
若いブレトンの召喚士は炎の精霊に愛しむ様な柔らかい表情で語りかけていた。
彼は書物の様な伝説の二人のロマンスには理解が無かったが、フランに対して抱く感情はたぶん特別なものだと自分自身では理解していた。
彼が9歳のときに親に隠れて読みふけっていた魔導書を参考に初めて呼び出した掌の中の小さな炎、、、また、その後の血の滲む様な鍛錬によって今や自在に呼び出せるようになった炎の精霊は、異郷で暮らす彼とその家族を迫害の対象としてしか見ていないノルドの連中と違い、互いに信頼しあえる特別な存在だった。
フランと呼ばれた炎の精霊は幽かに頷くと、片手をそっと彼に伸ばした。
オブリビオンより呼び出された精霊たちは、どんなに強力な術者の召喚であってもある程度の時間を経過すると消滅してしまう、、、いや、正確には消滅するのではなく異世界と現世を繋ぐ魔力による導路が失われてしまうことで、その姿を保てなくなってしまうのだ。
ただ、彼等の場合は特別だった、、、フランは召喚されたまま彼にその身体に直接触れられて魔力の導路を繋ぎなおす。
その儀式の度に指尖を火傷してしまうので彼の左手の指はもう満足に物を掴むこともできなかったが、彼はその痛みさえをも愛おしいと感じていた。
シュ、、カッ!
召喚士は我が目を疑った。
今まさに手を取ろうとしたフランの胸元に一本の金色の矢が深々と突き刺さり、矢の周囲から青白い凍気のオーラが広がって、、、。
「フラン!!」
若いブレトンの召喚士が叫ぶのと、崩れるように膝をついた炎の精霊の身体が内からあふれ出る魔力の奔流に耐え切れず大爆発するのとは同時だった。
黒いローブに身を包んだ召喚士の身体は吹き荒れる炎の嵐に巻き込まれ、一瞬で体表面や四肢の末端が炭化する、、、。
薄れ行く意識の中でフランの声が聴こえる、、、肉体を棄て、オブリビオンでの彼女との再会を確信した彼は、「師匠、、、今ならわか、、、」と呟き、こと切れた。
「ビックリしたなぁ、、、」
「たまにありますよね」
石室の入り口から狙い撃った炎の精霊が突然大爆発し、たまたま近くに居たドラウグルと召喚士を巻き添えにしてしまったのだ。
「、、、地下に居るからな、、、生き埋めとかは勘弁して欲しいぜ」
「次からは呼び出した術者の方を狙ってくださいね、、、」
「うむ、、、気をつけよう」
俺はヘルメットを脱いで、未だに良く聞こえない耳を片手でわしわしと揉みながら隠れていた通路から這い出した。
「他にお出迎えが出てこないところを見ると、扉の奥には聴こえなかったのかね?」
「、、、今のところは大丈夫みたいですね」
俺達は這い出した通路から一旦石橋の下をくぐり、石橋の奥にあるスロープを登って部屋の右奥、、、少し高くなった台座とその真ん中に設置されているレバーのある場所に来た。
爆発により壁奥に置いてあったテーブルや椅子、机の上にあったであろう書類や本の類が辺りに散乱していた。
「、、、?」
俺は散乱する書類の中からタイトルのついていない革紐で綴じてある一冊のノートを拾い上げた。
少し読み進むと(それは決して読みやすいものでは無かったが)それがどうやら「ル・アハ」という女性死霊術士が書いた日記で、伴侶を失った悲しみと狂気から次第にドラウグルの製法の研究に没頭してゆくさまが脈絡の無い文章で書き綴られていた。
俺はざっと飛ばし読みしていったなかで最後の方のページに思わず眼の留まる記述を見つけた、、、ホルゲールだと、、?
「フョリとホルゲール」という伝説を基にした物語は俺も読んだことがある。
部族間の戦争中に敵同士として実力伯仲の男女が出会い、互いに認め合い信頼し愛し合うようになるというラブロマンスだ、、、だが、確か最後は一方を助けるために犠牲になった女性を悼み、折角助かった男が来世での再会を願い自害するという内容だ。
「、、、報われない話ですね、、、」
粗筋を語って聞かせた嫁の感想である。
「ああ、、、助けた方もきっとソブンガルデでガッカリしたろうな」
戦いにおいて勇敢だった戦士はノルド伝説の楽園たるソブンガルデに召され、誇り高きその魂は永遠に生き続ける、、、しかし、卑怯な振る舞いや騙し討ちなど戦士の魂を汚すような行為に手を染めるものには決して楽園の扉は開かない。
俺の見たところ気高きフョリの愛と献身は戦士としての評価とも相まってソブンガルデ行きは確実だろうが、ホルゲールの行為はノルド戦士としても部族を率いる首長としてもどうかと思うね、、、まぁ、暗殺者で盗賊の俺が言えた義理じゃないけど、な。
「、、、で、何かわかりましたか?」
「うむ、、、」
断片的な情報の上に比喩表現や暗示が多過ぎて読み辛い狂人日記だが、最終的には「ホルゲールに召喚され」てアンデッドを使い土に埋もれて行方がわからなくなっていた古墳を発掘し、何らかの取引か交換条件を経て「ドラウグルを使役」するようになったらしい。
「ホルゲールに呼ばれて、、、って文字通りの意味なのかしら?」
リディアが首を傾げる。
「だって、、、何世紀も前に死んでしまっているんでしょう?」
「ソレを言ったら始まらないさ、、、動く死体が問答無用で襲い掛かってくるこの世界にどんな常識を求めてるんだ?」
嫁は隣で首をすくめ、ちろっと舌を出して見せた。
「こういう超常の世で一般論というのもヘンだが、ル・アハとホルゲールは共に伴侶を失い悲嘆と狂気の果てに合い通じるものがあったのかも知れんな」
日記のなかでル・アハはドラウグルの製法に触れている、、、死体の鮮度を保つ技法に優れている古代ノルド人の知恵や死後の復活について特に熱心に調べていたようだ。
、、、これは俺の憶測に過ぎないが、ホルゲールは愛するフョリと共に現世に復活する手段を求め、似たような境遇にある強力な術者に協力を求めると同時に見返りをも示したのではないだろうか?
「、、、一応、話の筋は通ってますね、、、」
「そうと決まったワケじゃないさ、、、可能性のひとつって奴だ」
俺は日記を背負い袋に仕舞いこむとレバーと石柱を調べてみることにした。
今までの経験からすれば明らかにトラップが仕掛けてある、、、事実部屋の奥の石壁には散々痛い目を見てきた矢の飛び出す穴が無数にある。
「これは4本の石柱を定められた組み合わせに揃えた上でレバーを引く必要があるな、、、」
「、、、とすると何処か近くにヒントって言うか答えが、、、」
ふと部屋奥の壁の蔓草が気になって引き剥がしてみる、、、よし!これか、、!
「リディア!上に登って石柱を回してくれないか?」
「はい」
嫁が石柱の所に着いたのを確認して指示を出す。
「いくぞ?先ずそいつはトリ、次がヘビ、、、」
次々と石柱を回転させて奥の壁際に隠された「正解」に合わせてゆく。
「、、、そうだ、そして最後がまたヘビ」
嫁が最後の一本を回し終えるとそこで待つように声をかけ、俺は穴の開いた壁の前にしゃがみこんでレバーを狙って弓を引いた。
カッ!
金色の矢がレバーの先端部分に当たって弾かれ、、、同時にレバーが向こう側に倒れ、キリキリキリ、、、と何かを巻き上げるような音がして俺の居る場所からは正面に見える石橋の先の格子戸が開いた。
「上手くいきましたね」
スロープを降りてきた嫁は壁際の荷物を持って傍にやってきた。
俺は荷物を受け取るとそれを肩にかけ、石橋の先、、、恐らくは伝説のフョリとホルゲールが眠る古代の墳墓へと向かった。
格子戸の先は観音開きの大きな鉄扉だった。
扉の上にはプレートが貼り付けてあり、そこには「アンシルヴァンドの埋葬室」と読める、、、まぁ、予想していたとはいえ本当に古代の王墓とは、な、、、。
石造りの埋葬室に足を踏み入れると、何処からとも無くくぐもった女の声が遺跡に響き渡った。
死んだ、、、死んだ夫の恨み、、、恨みを晴らしてやるッ!
遺跡の奥から青白い光が流れ込み、そこかしこでドラウグル達が目を覚ます。
俺と嫁はもう待ってなど居ない、、、最初からそのつもりならやることは決まっているのだ。
俺は視界に入った死体を全て撃ち抜き、ほとんどのドラウグル達は起き上がることなく棺の中に崩れ落ちた。
背中を護るのは無論嫁の仕事だ、、、彼女に必要性を認められればソブンガルデ逝きの片道切符をもらったも同然だから、な。
二人で次々と襲い掛かるドラウグルを片付けながらほぼ一本道を遺跡の奥へと突き進み、何度目かのトラップ通路を走り抜けると松明や篝火がそこかしこに設置された高い天井のホールに出た。
早速警備に当たっていた二体のドラウグルに発見されるが、俺の方に向かって来る途中で床にあったスイッチを作動させてしまい、突然床の穴から吹き上がった炎によって焼死してしまう、、、なんだか憐れになってきたな、、、。
ホールの奥を見ると左手の壁に沿って二階への階段があり、一階の突き当りには2つの玉座と8つの黒い棺が設置されており、玉座の間の祭壇にはよく見ると鍵のようなものが納めてある。
俺と嫁は顔を見合わせた。
「、、、取ったらバクン!、、だな?」
「取ったらバクン!ですね、、、」
祭壇から鍵を取り上げた途端、周囲の棺が「バクン!」と開いてドラウグル達に囲まれてフルボッコにされるだろうね?という確認である。
俺達は少し相談し、安全を確認してから嫁は二階への階段に登った。
俺は祭壇の周りを注意深く観察し、他のトラップが認められないのを確かめると、いきなり鍵を奪って入り口の方へ逃げ出した!
バクン!、、バクン!バクンッ!
一斉に棺の蓋が跳ね上がり、ドラウグルが起き上がる!
ォガァッ!
グォガァッ!
叫び声を上げて俺を追いかけてくるドラウグルを部屋の中央付近に誘導すると、ドラウグル達は床のスイッチを踏んで次々と炎に包まれた。
生き残ったドラウグルには階段の上からリディアが弓を射掛け、次々と止めを刺してゆく、、、ほんの一瞬の戦いだった。
二階には奥に木製の扉があり、その先には掘削作業中のドラウグルとダークエルフの召喚士が居たが、気付かれること無く射殺する、、、問答無用で押し通る俺達こそ悪鬼の如き侵略者だよな、、、。
地下に流れる小川を越えて道なりに坂道を登ると、また木製の扉が、、、その先は先程の広いホールの三階部分、、、と言っても人一人がやっと通れる幅の手すりも何も無い通路だ。
(、、、落ちたら無事では済まんな、、、)
注意深く細い通路を進む。
丁度真ん中の辺りにフットスイッチが設置してあるのが見えた、、、そして天井にはこれ見よがしに無数のトゲが生えている格子が付いている。
俺と嫁は通路でお互いの顔を見合わせた。
「、、、どうしたモンかね?、、、ありゃどう見ても踏んだら横薙ぎにされんぞ?」
「、、、ですよね、、、通路の縁にでもぶら下がって、、」
その時突然!通路の反対側に見えていた鉄扉が開きグレートソードを構えたドラウグル・デスロードが雄叫びを上げてまっすぐこちらに走りこんできた!!
「!!」
「ちょっ!?」
他に逃げ場の無い細い通路での奇襲攻撃に思わず身構えるが、引くも避けるもかなわない、、、どうするッ!?
ォグォアァッ!!
(大剣を横薙ぎに振るわれたらマズい!)
カチャ!
ブゥン、、ガッ!!
ゴォッ!?アアァァァァァァァ・・・
グシャッ・・・
フットスイッチを思いっきり踏んでしまったデスロードは、大剣を構えたまま天井から振り子の様に横薙ぎに降りてきた槍衾に上半身を払われて、はるか階下まで落下して絶命してしまった、、、、。
俺達は細い通路から階下を覗き込んでため息をついた。
「、、、屈んで通れば大丈夫みたいだな?」
「ええ、身をもって証明してくれた彼に感謝しましょう」
鉄扉の先には下りの階段が続き、その奥には再びノルドの埋葬棚が並んでいる暗い石室が広がっているのが見える、、、と
「そこに居るのは誰!?」
突然、女の声が響いた、、、しまった!こっちが明るいから影で見つかったか!
階段の下は十字路になっていたので、その角の部分に誰か居たらしい、、、ええい!ままよ!!
俺と嫁は武器を構えたまま階段を駆け下り、角を曲がった。
「ここに来るべきじゃなかったわね!」
そう叫んだ女は死霊術士だった。
彼女は手近な古代ノルドの死体を操り、襲い掛かってきたが、、、嫁のバッシュ!一発で膝をつき、俺がノルドの死体を撃ち抜くのと同時に止めを刺されていた、、、。
何か手がかりは無いかと死霊術士を調べようと近づいたときだ。
突然!またくぐもった女の声が石室全体をびりびりと振動させるように響き渡った!!
、、、彼は、、、彼はもう、生き返らない、、、ッ!
悲嘆にくれる、、、怨嗟のような響きだ、、、。
、、だけど、、、だから、、、軍を挙げてこの汚辱に報いてやるッ、、!!
「軍だ、、と!?」
「!?」
、、、そして埋葬室の奥からガチャガチャと金属鎧のこすれあう音が次第に迫って来るのだった。
、、、もう少し続くんじゃYO
【死霊術の】Skyrim【研究室】
2012年6月19日 日常 コメント (4)
、、、続き。
「、、、壊れた玩具のことで心を痛めるなんて、、、」
金髪のノルドがアルケイン付呪器の前でふぅっとため息をつき、顔にかかった髪を片手ですくいあげながら言った。
「ルア様はお優しいわね、、、私なら使役している死体がどうなろうと気にも留めないわ」
調理串の架けてある焚き火の周囲にはアルトワインの空き瓶や食器が散らばり、壁際で作業中のアルケイン付呪器の上にも書物や飲みかけのハチミツ酒の壜が並んでいる。
「しかし、、、古代ノルドの不死の兵団をもって帝国やストームクロークまでをも標的にしたテロとは、な、、、」
焚き火の前には木製の椅子が三脚あり、その一つに足を組んで座っているエルフの男が、大げさな身振りで隣の黒いローブの女性に向かって話しかけている。
「まったく、恐れ入るな、、、我がアルドメリ自治領の司法高官殿もこの計画には興味を示された、、、」
「私にはこのスカイリムがどうなろうと大した問題じゃないわ、、、」
焚き火の周りの椅子に浅く腰掛けた黒いローブの女性はエルフらしい切れ長の目を細めて答えた。
「秩序の破壊と欲望のままに生きる、、、混沌こそ我が望み、、、」
「この計画は私にとって実に好都合よ、、、反対する理由は無いわ」
「さぁ、終わったわ、、、」
アルケイン付呪作業が一段落したのか、金髪のノルド女性が二人の方に振り向こうと腰を伸ばした瞬間
「ッ!!」
、、、激しい横殴りの衝撃にそのまま意識が消失した。
「とりあえず、一匹生け捕りにしてみたわ、、、」
えーっと、、、「生け捕り」って言うけど半分死んでるよ?それ、、、。
常人なら即死級のパワーバッシュを顔面に受けて糸の切れた操り人形の様にぐったりとしている金髪のノルド女性を無造作に床に放りつけ、自身の碧水晶の盾に着いた血をそのローブで拭いながら嫁が言った、、、ブルル、、コイツと夫婦喧嘩したら俺もアレ喰らうのかね?
エルフの死霊術士達は二人とも俺の矢を頭に受けて焚き火の前の椅子に座った形のまま即死していた、、、これだから俺は諜報には向かないんだよなぁ、、、。
、、、意識不明の金髪さんを椅子に縛りつけた嫁は、俺に向き直ってこう聞いてきた。
「、、、どうやって口を割らせます?」
俺は背負い袋から紫色の小瓶を幾つか取り出して、嫁に渡した。
「コレを使え、、、鼻をつまんで3本も飲ませれば何でも言うことを聞いてくれる魔法の”クスリ”だ」
「、、、コレ!、、です、、か、、」
嫁は受け取ったスクゥーマの小瓶と俺の顔とを交互に見比べ、眼を眇めた、、、。
自分で使うこともオマエに使ったことも無いから安心しろよ、、、ただ、ならず者との交渉には役に立つことが多いんで、ね。
「一応、、、信じておきます」
「、、、一応なのね、、、」
(拷問シーンはヒミツに高速移動)
「、、、なるほどねェ、、、」
俺は呼吸と脈が不規則になってきている金髪ノルド女性にその辺に沢山あったリネンラップを広げて掛けると、これ以上の聴取は無理と判断してその場を離れた。
「大筋ではあなたの推論に合致しますね、、、」
歩きながら嫁が呟く。
「肝心の方法が解らないのが不安要素ではありますけど、、、」
「うむ、、、残念だが俺もおまえも神秘的あるいは魔法的な技術にはいささか不案内だからな、、、」
もっとも、俺は付呪に関してだけは相当詳しいので呪文を唱えるなどの実践は兎も角、理論と魔力回路の設計にだけは定評がある、、、ルールにゃ詳しいがスポーツがへたくそなプレイヤーみたいなモンさ。←言ってて悲しいぞ、、、
金髪さんの自発的(?)なご協力によりルア=アル=スカベンという女性の首魁が何らかの秘術(こればかりは秘中の秘とされていて高弟にも明かされていないという)を用い、ドラウグル達の主従する「王」として彼らを統率しているらしい。
ありがたいことにここまでの情報にはまったくデイドラ的な要素が感じられない、、、まぁ、ここだけは本当に救いだ。
とはいえ、問題が解決したワケではない、、、むしろ俺にとってはより一層本腰を入れて進めなければならぬ案件と化している。
「、、、昔話に出てくる”支配の王錫”の様な特殊な条件によってのみ効果を発揮するユニークアイテムによるものだったらイイんだ、、、だって、ソレを奪うなり壊すなりすれば済む話だろう?」
「俺が危惧しているのはその”秘法”とやらが文字通り術法の類で、習い憶えればそれこそ誰にでも使えるような”術”だった場合だ、、、」
俺は先程の三人の死霊術士の会話を盗み聞きしているときのことを思い出していた、、、以前にも言ったとおり俺はノルドにも帝国にも組しない。
だが、アルドメリ自治領の鼻持ちならぬエルフ共にこの世の覇権を握られるのは我慢ならないのだ。
「、、、確かに彼らは”この計画にサルモールも興味を持っている”と言っていましたが、、、」
「うむ、サルモールの興味は彼等の言う”計画”の部分じゃないな、、、」
リディアははっとした顔をしてその場に立ち止まり、俺の方に向き直った。
「奴等はこの計画の”方法”そのものを狙っているのね!?」
死者を弔い、死後の繁栄と永久の安寧を願う儀式はここスカイリムのノルド達だけの特殊な風習ではない、、、帝国の本拠シロディールでも古代の王達は細かい様式こそ違えど同様に葬られている、いや言うなればタムリエル全土で様々な種族がそれぞれの土地に似たような祖先の墳墓を抱えているのだ。
もし、仮にこれらの古代の墳墓に眠るそれぞれの土着の民の祖霊たちが一斉に蜂起し、埋葬場所からそれほど離れていない都市部に雪崩れ込んだら、、、、。
嫁はこんな商売をしている位だからそれほど信心深い方ではないが、街の住民たちが自身の祖先の霊に敵対しそれを打ち破れるだろうか?と考えたのだろう、、、ブルッと軽く身震いした。
「、、、確かにこれは潰す必要があるわね、、!」
俺達は焚き火のある部屋をざっと捜索し、必要なものだけをかき集めると再び奥へ向かう通路を進んだ。
しばらく道なりに進むと澱んだ黴臭い空気の見慣れた遺跡風の部屋に出た、、、そして、、、
侵入者よ、、、再三の警告にも耳を貸さぬ愚か者よ、、、
「!?」
何処から聴こえるのか、、、低くくぐもった女性の声が遺跡内を反響する。
我が子らよ、、、迎え撃て!墓よ甦れ!、、、この虫ケラどもを叩き潰せッ!!
ビュォォォォオオオオオオオオオオオ!!
遺跡の奥から薄青白色の死者の霊魂が渦巻き、囁き、嘆きながら噴出してくる!
(、、、来るぞッ!)
俺は素早く物陰に身を屈めた、、、極限まで鍛え上げた穏凝術とノクターナルの加護による漆黒のオーラによって、特殊な探知方法を使わなければ認識することすら出来ないだろう。
流れるような動作で弓を構え、矢を番える。
この部屋は無数の古代ノルド人の埋葬してある言うなればドラウグルの巣だ、、、主の命により墓所より封印の解かれた古代人の霊が再び防腐処理され完全武装している肉体に宿り、次々に起き上がってくる!
「、、、ここで起きて来るべきじゃなかったわね!」
嫁が通路の真ん中に進み出て碧水晶の盾と斧を何度か鉢合わせると、青白い火花と魔力のオーラが残像を残しながら飛び散る。
「ちゃんと全員きっちりソブンガルデに送りつけてやるわ、、、掛かってらっしゃい!」
ォゴッ!!
グァガッ!
こういう挑発ってドラウグルにはちゃんと通じてるみたいなんだよね、、、彼らにも「思うところ」ってのがあるのかも知れないな、、、。
肩を怒らせたドラウグル達が俺の隠れている角を次々と通過し、そのほとんどが嫁に辿り着く前に横合いから撃ち出される魔導弓「メドローア」によって奥の壁に叩きつけられてゆく。
僅かに俺の弓を逃れた者にはもっと残酷な仕打ちが待っている、、、今度はあの恐ろしいゴリ・バッシュ!によって棒立ちになった所を必殺の斧「ライフスティーラー」を撃ち込まれ、折角宿した魂もろとも体力とスタミナを同時に搾り取られて崩れ落ちてゆく、、、ああ、やっぱり嫁は大事にしなくちゃね、、、。
「!!」
「危ないッ!」
急激な縦方向の加速を感じたのはその時だった、、、嫁の声に反応して横っ飛びに避けなかったらもう少しで巻き込まれる所だったぜ、、、。
すぐに起き上がり自分が今迄居た場所を見ると、床がそのまま5mばかりせり上がっていた、、、天井から無数に生えている槍衾との間に挟まれていたら、、、!
乱戦の最中だったので本当に間一髪だったな、、、厭な汗が流れる、、、。
「、、、さっきの声が”ルア様”でしょうか?」
ドラウグルの群れを完全に沈黙させ、流石に無傷という訳にもいかなかったので一応の応急手当をしているときに嫁が言った。
「恐らく、な」
リディアの鎧は俺の趣味で露出性能を極限まで追求している、、、故に擦り傷や露出部分への小さなダメージを受けがちだ。
ただ、これは見た目はただのビキニアーマーだが、防御性能は市販無改造のスティールプレートメイルを凌ぎ、付呪強化によりドラゴンブレスや魔法への耐性・体力・スタミナ・片手武器スキル・弓術スキルなどが極限まで強化されているフルオーダーアイテム、、、作ってプレゼントしたのは俺だがスカイフォージ製の武具と比べたって見劣りしないね。
そんな気合の入った逸品なんだが結婚するまでは絶対に袖を通してもらえなかった、、、(あの頃は「露出」が問題だと言っていたな、、、)が、指輪の交換後は二つ返事で着てくれた、、、女心ってのは解らないモンだねェ、、、。
もっとも嫁はアーマーとしての性能面よりも、俺が付け加えた
「ビキニアーマーの女戦士は護りたくなっちゃうから、な」
という一言の効果に心惹かれたのかもしれない。←ナニこのノロケ、、、
(その辺は定かではないし、追求されても困る)
イワムシクイの卵とブリスターワートをすり合わせた化膿止めの軟膏を傷口に塗ると、嫁は滲みたのか眉根をぎゅっとよせて見せた。
「、、、気になるか?」
包帯を巻きながら問うと
「見られているかも知れないのは気になりますね、、、」
「そういう魔法が無いわけじゃないから、な」
俺は手当ての道具を背負い袋に仕舞いながら続けた。
「ダンジョン全域にわたって知覚が張り巡らされている、、、なんてのは聞いたことが無い」
「恐らくは限られた範囲か、あらかじめ用意されたシンボルなどを通じて監視しているのだろうな、、、」
そう言うと嫁はちょっと不安そうな顔をしてキョロキョロと周囲を見回した。
「その辺は気にしなくてもいいさ、、、最初から全部見ているのなら気付かれる前にこちらの不意討ちが上手く行く訳無いだろう?」
「、、、それもそうですね、、、」
「どういう理屈かは知らぬが、相手にとってもかなり使い勝手が悪そうだ、、、だから”そういう可能性もある”くらいの認識でいいだろう」
「はい」
うーん、我が嫁ながらこの素直な返事がなんとも可愛いな、、、ギュー!したるわ!ギューッ!
、、ちょ、、なんで両手を突っ張って拒否ってるワケ?
「だって、、、」
リディアは唇をアヒルみたいに尖がらせて言った。
「見られているかも、です!」
ぁ、、、、そこなんだ、、、。
「!」
(踏み板だ、、、そこの枠の中の岩が崩れてくるぞ)
何度目かのトラップを避けたところで少し広いフロアに出た。
少し開けた天井の高い岩屋で、正面に自然石を切り出して掛けられた橋がかけられている。
右手の奥には少し高くなっている場所が有り、古代ノルドの遺跡にはお決まりのギミックである石柱が4つ並んでいた。
(、、、とすると、、、)
通路から注意深く部屋の左手を見ると、橋の掛けてある反対側には鉄の格子が嵌められて通ることの出来ないドアがある、、、あの右奥の石柱を操作しないと通れないってワケか、、、しかし、、。
部屋の右奥にある石柱の前には一段高くなった台座が有り、中央にいかにも怪しいレバーが設置してある。
その周りを武装したドラウグルと黒いローブの死霊術士、そしてそいつが呼び出したのであろう炎の精霊が油断無く警戒していた。
まだまだ続く、、、
「、、、壊れた玩具のことで心を痛めるなんて、、、」
金髪のノルドがアルケイン付呪器の前でふぅっとため息をつき、顔にかかった髪を片手ですくいあげながら言った。
「ルア様はお優しいわね、、、私なら使役している死体がどうなろうと気にも留めないわ」
調理串の架けてある焚き火の周囲にはアルトワインの空き瓶や食器が散らばり、壁際で作業中のアルケイン付呪器の上にも書物や飲みかけのハチミツ酒の壜が並んでいる。
「しかし、、、古代ノルドの不死の兵団をもって帝国やストームクロークまでをも標的にしたテロとは、な、、、」
焚き火の前には木製の椅子が三脚あり、その一つに足を組んで座っているエルフの男が、大げさな身振りで隣の黒いローブの女性に向かって話しかけている。
「まったく、恐れ入るな、、、我がアルドメリ自治領の司法高官殿もこの計画には興味を示された、、、」
「私にはこのスカイリムがどうなろうと大した問題じゃないわ、、、」
焚き火の周りの椅子に浅く腰掛けた黒いローブの女性はエルフらしい切れ長の目を細めて答えた。
「秩序の破壊と欲望のままに生きる、、、混沌こそ我が望み、、、」
「この計画は私にとって実に好都合よ、、、反対する理由は無いわ」
「さぁ、終わったわ、、、」
アルケイン付呪作業が一段落したのか、金髪のノルド女性が二人の方に振り向こうと腰を伸ばした瞬間
「ッ!!」
、、、激しい横殴りの衝撃にそのまま意識が消失した。
「とりあえず、一匹生け捕りにしてみたわ、、、」
えーっと、、、「生け捕り」って言うけど半分死んでるよ?それ、、、。
常人なら即死級のパワーバッシュを顔面に受けて糸の切れた操り人形の様にぐったりとしている金髪のノルド女性を無造作に床に放りつけ、自身の碧水晶の盾に着いた血をそのローブで拭いながら嫁が言った、、、ブルル、、コイツと夫婦喧嘩したら俺もアレ喰らうのかね?
エルフの死霊術士達は二人とも俺の矢を頭に受けて焚き火の前の椅子に座った形のまま即死していた、、、これだから俺は諜報には向かないんだよなぁ、、、。
、、、意識不明の金髪さんを椅子に縛りつけた嫁は、俺に向き直ってこう聞いてきた。
「、、、どうやって口を割らせます?」
俺は背負い袋から紫色の小瓶を幾つか取り出して、嫁に渡した。
「コレを使え、、、鼻をつまんで3本も飲ませれば何でも言うことを聞いてくれる魔法の”クスリ”だ」
「、、、コレ!、、です、、か、、」
嫁は受け取ったスクゥーマの小瓶と俺の顔とを交互に見比べ、眼を眇めた、、、。
自分で使うこともオマエに使ったことも無いから安心しろよ、、、ただ、ならず者との交渉には役に立つことが多いんで、ね。
「一応、、、信じておきます」
「、、、一応なのね、、、」
(拷問シーンはヒミツに高速移動)
「、、、なるほどねェ、、、」
俺は呼吸と脈が不規則になってきている金髪ノルド女性にその辺に沢山あったリネンラップを広げて掛けると、これ以上の聴取は無理と判断してその場を離れた。
「大筋ではあなたの推論に合致しますね、、、」
歩きながら嫁が呟く。
「肝心の方法が解らないのが不安要素ではありますけど、、、」
「うむ、、、残念だが俺もおまえも神秘的あるいは魔法的な技術にはいささか不案内だからな、、、」
もっとも、俺は付呪に関してだけは相当詳しいので呪文を唱えるなどの実践は兎も角、理論と魔力回路の設計にだけは定評がある、、、ルールにゃ詳しいがスポーツがへたくそなプレイヤーみたいなモンさ。←言ってて悲しいぞ、、、
金髪さんの自発的(?)なご協力によりルア=アル=スカベンという女性の首魁が何らかの秘術(こればかりは秘中の秘とされていて高弟にも明かされていないという)を用い、ドラウグル達の主従する「王」として彼らを統率しているらしい。
ありがたいことにここまでの情報にはまったくデイドラ的な要素が感じられない、、、まぁ、ここだけは本当に救いだ。
とはいえ、問題が解決したワケではない、、、むしろ俺にとってはより一層本腰を入れて進めなければならぬ案件と化している。
「、、、昔話に出てくる”支配の王錫”の様な特殊な条件によってのみ効果を発揮するユニークアイテムによるものだったらイイんだ、、、だって、ソレを奪うなり壊すなりすれば済む話だろう?」
「俺が危惧しているのはその”秘法”とやらが文字通り術法の類で、習い憶えればそれこそ誰にでも使えるような”術”だった場合だ、、、」
俺は先程の三人の死霊術士の会話を盗み聞きしているときのことを思い出していた、、、以前にも言ったとおり俺はノルドにも帝国にも組しない。
だが、アルドメリ自治領の鼻持ちならぬエルフ共にこの世の覇権を握られるのは我慢ならないのだ。
「、、、確かに彼らは”この計画にサルモールも興味を持っている”と言っていましたが、、、」
「うむ、サルモールの興味は彼等の言う”計画”の部分じゃないな、、、」
リディアははっとした顔をしてその場に立ち止まり、俺の方に向き直った。
「奴等はこの計画の”方法”そのものを狙っているのね!?」
死者を弔い、死後の繁栄と永久の安寧を願う儀式はここスカイリムのノルド達だけの特殊な風習ではない、、、帝国の本拠シロディールでも古代の王達は細かい様式こそ違えど同様に葬られている、いや言うなればタムリエル全土で様々な種族がそれぞれの土地に似たような祖先の墳墓を抱えているのだ。
もし、仮にこれらの古代の墳墓に眠るそれぞれの土着の民の祖霊たちが一斉に蜂起し、埋葬場所からそれほど離れていない都市部に雪崩れ込んだら、、、、。
嫁はこんな商売をしている位だからそれほど信心深い方ではないが、街の住民たちが自身の祖先の霊に敵対しそれを打ち破れるだろうか?と考えたのだろう、、、ブルッと軽く身震いした。
「、、、確かにこれは潰す必要があるわね、、!」
俺達は焚き火のある部屋をざっと捜索し、必要なものだけをかき集めると再び奥へ向かう通路を進んだ。
しばらく道なりに進むと澱んだ黴臭い空気の見慣れた遺跡風の部屋に出た、、、そして、、、
侵入者よ、、、再三の警告にも耳を貸さぬ愚か者よ、、、
「!?」
何処から聴こえるのか、、、低くくぐもった女性の声が遺跡内を反響する。
我が子らよ、、、迎え撃て!墓よ甦れ!、、、この虫ケラどもを叩き潰せッ!!
ビュォォォォオオオオオオオオオオオ!!
遺跡の奥から薄青白色の死者の霊魂が渦巻き、囁き、嘆きながら噴出してくる!
(、、、来るぞッ!)
俺は素早く物陰に身を屈めた、、、極限まで鍛え上げた穏凝術とノクターナルの加護による漆黒のオーラによって、特殊な探知方法を使わなければ認識することすら出来ないだろう。
流れるような動作で弓を構え、矢を番える。
この部屋は無数の古代ノルド人の埋葬してある言うなればドラウグルの巣だ、、、主の命により墓所より封印の解かれた古代人の霊が再び防腐処理され完全武装している肉体に宿り、次々に起き上がってくる!
「、、、ここで起きて来るべきじゃなかったわね!」
嫁が通路の真ん中に進み出て碧水晶の盾と斧を何度か鉢合わせると、青白い火花と魔力のオーラが残像を残しながら飛び散る。
「ちゃんと全員きっちりソブンガルデに送りつけてやるわ、、、掛かってらっしゃい!」
ォゴッ!!
グァガッ!
こういう挑発ってドラウグルにはちゃんと通じてるみたいなんだよね、、、彼らにも「思うところ」ってのがあるのかも知れないな、、、。
肩を怒らせたドラウグル達が俺の隠れている角を次々と通過し、そのほとんどが嫁に辿り着く前に横合いから撃ち出される魔導弓「メドローア」によって奥の壁に叩きつけられてゆく。
僅かに俺の弓を逃れた者にはもっと残酷な仕打ちが待っている、、、今度はあの恐ろしいゴリ・バッシュ!によって棒立ちになった所を必殺の斧「ライフスティーラー」を撃ち込まれ、折角宿した魂もろとも体力とスタミナを同時に搾り取られて崩れ落ちてゆく、、、ああ、やっぱり嫁は大事にしなくちゃね、、、。
「!!」
「危ないッ!」
急激な縦方向の加速を感じたのはその時だった、、、嫁の声に反応して横っ飛びに避けなかったらもう少しで巻き込まれる所だったぜ、、、。
すぐに起き上がり自分が今迄居た場所を見ると、床がそのまま5mばかりせり上がっていた、、、天井から無数に生えている槍衾との間に挟まれていたら、、、!
乱戦の最中だったので本当に間一髪だったな、、、厭な汗が流れる、、、。
「、、、さっきの声が”ルア様”でしょうか?」
ドラウグルの群れを完全に沈黙させ、流石に無傷という訳にもいかなかったので一応の応急手当をしているときに嫁が言った。
「恐らく、な」
リディアの鎧は俺の趣味で露出性能を極限まで追求している、、、故に擦り傷や露出部分への小さなダメージを受けがちだ。
ただ、これは見た目はただのビキニアーマーだが、防御性能は市販無改造のスティールプレートメイルを凌ぎ、付呪強化によりドラゴンブレスや魔法への耐性・体力・スタミナ・片手武器スキル・弓術スキルなどが極限まで強化されているフルオーダーアイテム、、、作ってプレゼントしたのは俺だがスカイフォージ製の武具と比べたって見劣りしないね。
そんな気合の入った逸品なんだが結婚するまでは絶対に袖を通してもらえなかった、、、(あの頃は「露出」が問題だと言っていたな、、、)が、指輪の交換後は二つ返事で着てくれた、、、女心ってのは解らないモンだねェ、、、。
もっとも嫁はアーマーとしての性能面よりも、俺が付け加えた
「ビキニアーマーの女戦士は護りたくなっちゃうから、な」
という一言の効果に心惹かれたのかもしれない。←ナニこのノロケ、、、
(その辺は定かではないし、追求されても困る)
イワムシクイの卵とブリスターワートをすり合わせた化膿止めの軟膏を傷口に塗ると、嫁は滲みたのか眉根をぎゅっとよせて見せた。
「、、、気になるか?」
包帯を巻きながら問うと
「見られているかも知れないのは気になりますね、、、」
「そういう魔法が無いわけじゃないから、な」
俺は手当ての道具を背負い袋に仕舞いながら続けた。
「ダンジョン全域にわたって知覚が張り巡らされている、、、なんてのは聞いたことが無い」
「恐らくは限られた範囲か、あらかじめ用意されたシンボルなどを通じて監視しているのだろうな、、、」
そう言うと嫁はちょっと不安そうな顔をしてキョロキョロと周囲を見回した。
「その辺は気にしなくてもいいさ、、、最初から全部見ているのなら気付かれる前にこちらの不意討ちが上手く行く訳無いだろう?」
「、、、それもそうですね、、、」
「どういう理屈かは知らぬが、相手にとってもかなり使い勝手が悪そうだ、、、だから”そういう可能性もある”くらいの認識でいいだろう」
「はい」
うーん、我が嫁ながらこの素直な返事がなんとも可愛いな、、、ギュー!したるわ!ギューッ!
、、ちょ、、なんで両手を突っ張って拒否ってるワケ?
「だって、、、」
リディアは唇をアヒルみたいに尖がらせて言った。
「見られているかも、です!」
ぁ、、、、そこなんだ、、、。
「!」
(踏み板だ、、、そこの枠の中の岩が崩れてくるぞ)
何度目かのトラップを避けたところで少し広いフロアに出た。
少し開けた天井の高い岩屋で、正面に自然石を切り出して掛けられた橋がかけられている。
右手の奥には少し高くなっている場所が有り、古代ノルドの遺跡にはお決まりのギミックである石柱が4つ並んでいた。
(、、、とすると、、、)
通路から注意深く部屋の左手を見ると、橋の掛けてある反対側には鉄の格子が嵌められて通ることの出来ないドアがある、、、あの右奥の石柱を操作しないと通れないってワケか、、、しかし、、。
部屋の右奥にある石柱の前には一段高くなった台座が有り、中央にいかにも怪しいレバーが設置してある。
その周りを武装したドラウグルと黒いローブの死霊術士、そしてそいつが呼び出したのであろう炎の精霊が油断無く警戒していた。
まだまだ続く、、、
【アンシルヴァンドの】Skyrim【穴】
2012年6月18日 日常 コメント (2)
~続き。
「、、、ところでコイツはどうします?」
嫁が喉元を矢が貫通して即死しているローブの男を見て言った。
「このままにしておくと面倒なことになりますよ?」
「うーん、、、とりあえず何者なのか調べておくか、、、」
俺は焚き火の傍にあった石組みの小屋やテーブル、死体の持ち物などを順番に見て回った。
どうやらローブの男は駆け出しの死霊術士らしかった。
「死霊術」と言うだけで既にマトモな連中では無いのが確定的に明らかだが、残されたメモやノートによれば建物の焚き火を挟んで反対側(山側)にある一見鉱山風の木戸の奥には首領格の「ルア様」以下数名の死霊術士団が巣食っているらしい、、、。
「、、、どうするかね?」
俺は念のため嫁に意見を求めた、、、いや、だってホラ、、、バカンスの帰りなのに「穴があるから入りたい」とかはマズいだろう?
「あら!”悪の芽を摘むのもドヴァキンの仕事”じゃなかったかしら?」
リディアは、嫁はこういうときに頼りになるなぁ、、、まぁ否定はされないと確信があって聞く俺も俺だけどな。
「よし!じゃあちょいと一仕事して行こうかね」
嫁はこくりと頷くと戦闘用の荷物を降ろしにシャドウメアの待っている処へ走っていった。
木戸の奥はまるで坑道のような土や岩が剥き出しの細い通路だった。
所々に松明やカンテラが挿してあるので足元が危ないということは無かったが、なんとも素人臭い「穴」だ。
少し下り坂になっているその先は急に開けていて木組みの梁が天井を支えているような部屋になっていた、、、
「!」
俺が急に腰を落として歩みを止めたので、背中に嫁が構えていた盾が軽くぶつかった。
俺は無言のまま少し広くなっている部屋の奥、、、木組みの櫓の二階部分を指差した。
嫁がはっと息を呑む。
(、、、ドラウグルだ!)
ゆらゆらとうごめく松明の炎に照らされて、怨嗟の表情もそのままにのそりのそりと一定のコースを巡回する不死の番人、、、現代の死霊術では解明出来ぬその製法は古代ノルドの秘法なのか、この世に未練を残した魂の付呪なのか?
俺たちに出来るのはその魂をソブンガルデに還すべく「砕く」ことのみである。
俺は音も立てずに素早く背中の弓を取り出すと、エルフの矢を一本番えた。
「、、、いきなり”デス・ロード”か、、、」
「、、、いきなり”デス・ロード”ですね、、、」
俺たちは動かなくなった骸を前にお互いが感じた違和感を呟いていた。
、、、少なくとも今迄はドラウグルは自分のテリトリーである古代ノルドの墳墓から出張して来たり、誰かに頼まれて警備に当たるなんてコトは無かったと思う。
しかも「デス・ロード」や「オーバーロード」などの名前こそ残っていないものの土地の郷士・豪族がその素体であるものや、現在の首長クラスで固有の名前で区別されている「ネームド」と呼ばれる特に強力な個体はシャウトを使う者も居る、、、言わば「遺跡のボス」的な存在だ、、、こんな急造ダンジョンの入ってすぐの警備を担当するのはかなり不自然だ。
「仮に、、、」
俺は他のドラウグルが出てくる気配の無いのを確かめながら、通路の奥を見据えて言った。
「仮にこの急造の穴が、古代の遺跡に繋がっていたとしても、だ」
「彼らはそのテリトリーから理由無く離れたりはしないだろう?、、、やっぱりこの穴はおかしい、、、何かがヘンだ、、、」
「それに、、、さっきから聴こえているあの音は何かしら?」
「うむ、、、槌音?、、、ぃゃ、あれは掘削音だな、、、」
嫁は肩をすくめて「私にはなんとも、、、」と首を振った。
「、、、厭な予感がするけど確かめてみるしか無いわね」
俺は軽く頷くと弓を片手に忍び足で奥への通路に向かった。
通路は少し広くなっていたり、屈まないと通れないくらい狭い場所もあってますます素人臭い造りだ、、、そもそも居住性や物資の出し入れなどをあまり念頭に置いていない構造は別の出入り口の存在を臭わせる。
奥に進むと最初は幽かに聞こえていた音が「カン!・・・カン!」とやや不規則ながらもはっきりと聞き取れるようになった。
(二組、、、は居るな)
、、、やがて行く手に木の板で仕切られた部屋が見えた。
部屋の中は灯があるらしく明かりが漏れる板の隙間から椅子に座って監督しているらしい黒いローブの人影と、武器を使って横穴を掘っているドラウグル達が見て取れた。
俺は黒いローブの男をひとしきり調べてため息をついた。
「、、、なんとも解せぬ、な」
この男は恐らくそこそこ出来る死霊術士には違いないだろう、、、だが、こんな連中はスカイリムにはそれこそごまんと居る。
だが、いくら魔法には疎い俺でもこんなレベルの魔法使いにドラウグルを永続的に使役する事が出来るとは到底信じられなかった。
「こんなことなら生かして捕らえるべきでしたね、、、」
痛いところを突くな、、、確かに嫁の言うとおりだ。
苦い顔をしているのが解ったのだろう、、、嫁は「冗談ですよ」と言って笑った。
「魔法使いの類に交渉は禁物です、、、奴等はヒトの心と魂を奪う、、、」
「何も喋らせないうちにソブンガルデに送りつけるべきでしょう!」
嫁は武器を握ったまま動かなくなったドラウグル達に目をやった。
「こいつらは死霊術士を即死させた後も普通に襲い掛かってきました、、、」
「つまり、”彼らによって創造されたり再起動させられたワケじゃない”ってコトだな?」
俺が後を続けると嫁はこくりと頷いた。
「単なる死霊術の応用なら手に負えない相手ではないと思います、、、」
「でも、もし、、、”超常の存在”が介入しているのだったら、、、」
「、、、デイドラ、、か」
ダンジョンやクエストの途中で引き返したくなる瞬間だ、、、まったく、奴等が絡むと話はややこしくなる上に理不尽な結末に至る場合がほとんどだ!
俺は盛大にため息をつくと、「もし奴等絡みの一件だったら途中で引き返すぞ?」と嫁に念を押してその先に続く横穴に向かった。
「ルア」率いる死霊術士の一党がナニを目指して地下道を掘り進んでいるのかは定かではないが、彼(彼女)らがなんらかの方法で地下に眠っていたドラウグルを手懐け(?)て作業を進めているらしい。
目的によっては俺がとやかく言うことではないかもしれない、、、例えば、何処かで聞いたような話だが、、、半永久的に稼動するドラウグルを利用して大規模な土木工事をさせたり、木材の斬り出し等の比較的単純作業に従事させることで生産コストを極限まで圧縮する事が出来るだろう?
アンデッドが賃金を求めてストライキするような事態も考えられないので、どんな産業にせよ受注額は常識外に安くすることが出来る、、、信用さえ得られればスカイリムでのシェアは確実に一社独占状態になるに違いない。
そんな下世話なことを考えていたら少しは気が楽になった、、、その時はその時で、どこぞの首長の補佐官宛てにでも投書してやればいい。
「アンタらの先祖を無理やり働かせている不道徳な奴等が居る」
そこまでで俺の仕事はおしまいだ、、、後は当事者同士が話し合いなり殺し合いなりで決着すればいいだけの話だ。
そもそも、俺はノルドじゃねェし、な。
「!」
おっと、、、何も無いかと思ったら結構大掛かりな罠が仕掛けてあるじゃないか、、、。
これだけ警戒しているってコトは、正直言って「えへw悪いことやってますよwww」ってコトだよねぇ、、、。
(プレッシャープレートだ、踏むと天井が落ちてくるぞ、、、)
俺は後ろに居る嫁に身振りで伝え、罠のスイッチを避けて大回りする。
罠の仕掛けてある部屋の先は、床一面に菌類がびっしりと生えた天井の高い部屋だった。
やれやれ、、、やっと腰を伸ばして歩けるか!
そう思って立ち上がりかけた俺は、そのまま動きを止めた。
この先はどうやら何らかの遺跡になっているようで明らかに素人が作った急造のトンネルと違い、墳墓にありがちな古びたカビ臭い空気と古代人による滑らかな石造りだった。
、、、そして、幸いまだ気がつかれてはいないようだが、中二階になっているバルコニーの上に虚ろな目をした武装したドラウグルが徘徊していた。
俺は素早く矢を放ち、ドラウグルは叫ぶことも無くその場に崩れた、、、しかし
「誰か、、、そこに居るの!?」
「!!」
女の声が俺の居る場所の頭の上から聞こえた!
(チッ!死霊術士かッ!)
俺は片目を瞑るとそのままの場所から天井に吊るしてあった大型のランプに狙いをつける。
矢が命中して地上に落ちたランプがボンッ!と音を立てて燃え上がり、周囲を一瞬明るく照らす、、、そしてすぐに炎が消えて周囲は暗闇に包まれた。
俺は瞑っていた目を開くとそのまま斜め前にでんぐり返しをするように通路から部屋の真ん中に躍り出ると、声の聞こえた場所から見当をつけて女の居るであろう方へ向き直った。
女は俺が居た場所の真上に作ってあった木造のバルコニーの上で防護魔法を唱えていたのだろう、、、全身にチリチリとオーラが見て取れたが、急に訪れた暗闇に俺を見失っているようだった。
俺は女の輪郭を浮かび上がらせる魔法のオーラを頼りに矢を放った。
バルコニーの上は女の研究室だったようだ。
テーブルには様々な資料や参考文献が乱雑に詰まれており、いくつかの錬金試料と共に作業台の上にはまだリネンラップに包まれているドラウグル達が並べてあった、、、。
「、、、コレだけじゃ心得の無い俺には解らんが、、、」
俺は作業台の上で虚ろな半目を開けている簀巻きのドラウグルを横目に嫁に話しかけていた。
「どうやら結構真面目に研究してるみたいだな、、、彼らを使役させる方法を編み出したという線も案外大当たりかも知れないぜ?」
「、、、そういや何処かのダンジョンで見つけた書物にドラウグルと意思の疎通を試みたってハナシが載っていたな、、、」
「本当に?、、、あんなに凶暴な奴等と話し合いをしてみようなんて物好きね、、、」
「ああ、確か相当な時間をかけて”自分は無害な存在です”って、アピールするって言うより慣らすって言う方が適切じゃないかな?、、、兎も角、そんな方法でお互いに干渉しなければ一緒に生活できるようになったって書いてあったなァ」
「ソレが事実ならば、今回の件も単なる共生なのかも知れないが、、、」
「あら!それじゃさっきの部屋のドラウグルの鉱夫達は誰にあの作業を命じられていたのかしら?」
嫁はふん!と鼻を鳴らして言った。
「作業が自発的なものでないなら指示した奴が居るはずよ!」
ふむ、、、確かに、な。
俺は何かがチリッとアタマの中を掠めるように閃いた。
「そうか、、、自発的にしていたのかも知れないな、、、」
「なんですって?」
「ドラウグル達は何のために侵入者を襲うんだ?」
嫁は「はぁ?」と言うなり眉根を寄せてこちらを睨みつけた。
「そりゃ、、、やっぱり眠りを邪魔された、、から?」
「半分正解、、、恐らくは”主人の眠りを妨げようとする侵入者”だからじゃないかな?」
「これは半分は想像だが、彼ら、、、ドラウグル達は主人への忠誠がその行動原理の大部分なんだと思う、、、」
「つまり、死霊術士達はドラウグルに”それが合目的的である”と暗示する方法を編み出したんじゃないかな?」
「、、、なるほど、、、”この行動が主人の為になる”と思わせるってコトね?」
「あるいは、、、死霊術士自体が”主人に成りすます”か、だな」
「ノウハウが書物にまとまっていたら高く売れるかも知れないわね、、、」
こんなヘンな会話なのに悪戯っぽく微笑む嫁を可愛いと思ってしまう俺は、やっぱり趣味が悪いのだろうか?
続く、、、
「、、、ところでコイツはどうします?」
嫁が喉元を矢が貫通して即死しているローブの男を見て言った。
「このままにしておくと面倒なことになりますよ?」
「うーん、、、とりあえず何者なのか調べておくか、、、」
俺は焚き火の傍にあった石組みの小屋やテーブル、死体の持ち物などを順番に見て回った。
どうやらローブの男は駆け出しの死霊術士らしかった。
「死霊術」と言うだけで既にマトモな連中では無いのが確定的に明らかだが、残されたメモやノートによれば建物の焚き火を挟んで反対側(山側)にある一見鉱山風の木戸の奥には首領格の「ルア様」以下数名の死霊術士団が巣食っているらしい、、、。
「、、、どうするかね?」
俺は念のため嫁に意見を求めた、、、いや、だってホラ、、、バカンスの帰りなのに「穴があるから入りたい」とかはマズいだろう?
「あら!”悪の芽を摘むのもドヴァキンの仕事”じゃなかったかしら?」
リディアは、嫁はこういうときに頼りになるなぁ、、、まぁ否定はされないと確信があって聞く俺も俺だけどな。
「よし!じゃあちょいと一仕事して行こうかね」
嫁はこくりと頷くと戦闘用の荷物を降ろしにシャドウメアの待っている処へ走っていった。
木戸の奥はまるで坑道のような土や岩が剥き出しの細い通路だった。
所々に松明やカンテラが挿してあるので足元が危ないということは無かったが、なんとも素人臭い「穴」だ。
少し下り坂になっているその先は急に開けていて木組みの梁が天井を支えているような部屋になっていた、、、
「!」
俺が急に腰を落として歩みを止めたので、背中に嫁が構えていた盾が軽くぶつかった。
俺は無言のまま少し広くなっている部屋の奥、、、木組みの櫓の二階部分を指差した。
嫁がはっと息を呑む。
(、、、ドラウグルだ!)
ゆらゆらとうごめく松明の炎に照らされて、怨嗟の表情もそのままにのそりのそりと一定のコースを巡回する不死の番人、、、現代の死霊術では解明出来ぬその製法は古代ノルドの秘法なのか、この世に未練を残した魂の付呪なのか?
俺たちに出来るのはその魂をソブンガルデに還すべく「砕く」ことのみである。
俺は音も立てずに素早く背中の弓を取り出すと、エルフの矢を一本番えた。
「、、、いきなり”デス・ロード”か、、、」
「、、、いきなり”デス・ロード”ですね、、、」
俺たちは動かなくなった骸を前にお互いが感じた違和感を呟いていた。
、、、少なくとも今迄はドラウグルは自分のテリトリーである古代ノルドの墳墓から出張して来たり、誰かに頼まれて警備に当たるなんてコトは無かったと思う。
しかも「デス・ロード」や「オーバーロード」などの名前こそ残っていないものの土地の郷士・豪族がその素体であるものや、現在の首長クラスで固有の名前で区別されている「ネームド」と呼ばれる特に強力な個体はシャウトを使う者も居る、、、言わば「遺跡のボス」的な存在だ、、、こんな急造ダンジョンの入ってすぐの警備を担当するのはかなり不自然だ。
「仮に、、、」
俺は他のドラウグルが出てくる気配の無いのを確かめながら、通路の奥を見据えて言った。
「仮にこの急造の穴が、古代の遺跡に繋がっていたとしても、だ」
「彼らはそのテリトリーから理由無く離れたりはしないだろう?、、、やっぱりこの穴はおかしい、、、何かがヘンだ、、、」
「それに、、、さっきから聴こえているあの音は何かしら?」
「うむ、、、槌音?、、、ぃゃ、あれは掘削音だな、、、」
嫁は肩をすくめて「私にはなんとも、、、」と首を振った。
「、、、厭な予感がするけど確かめてみるしか無いわね」
俺は軽く頷くと弓を片手に忍び足で奥への通路に向かった。
通路は少し広くなっていたり、屈まないと通れないくらい狭い場所もあってますます素人臭い造りだ、、、そもそも居住性や物資の出し入れなどをあまり念頭に置いていない構造は別の出入り口の存在を臭わせる。
奥に進むと最初は幽かに聞こえていた音が「カン!・・・カン!」とやや不規則ながらもはっきりと聞き取れるようになった。
(二組、、、は居るな)
、、、やがて行く手に木の板で仕切られた部屋が見えた。
部屋の中は灯があるらしく明かりが漏れる板の隙間から椅子に座って監督しているらしい黒いローブの人影と、武器を使って横穴を掘っているドラウグル達が見て取れた。
俺は黒いローブの男をひとしきり調べてため息をついた。
「、、、なんとも解せぬ、な」
この男は恐らくそこそこ出来る死霊術士には違いないだろう、、、だが、こんな連中はスカイリムにはそれこそごまんと居る。
だが、いくら魔法には疎い俺でもこんなレベルの魔法使いにドラウグルを永続的に使役する事が出来るとは到底信じられなかった。
「こんなことなら生かして捕らえるべきでしたね、、、」
痛いところを突くな、、、確かに嫁の言うとおりだ。
苦い顔をしているのが解ったのだろう、、、嫁は「冗談ですよ」と言って笑った。
「魔法使いの類に交渉は禁物です、、、奴等はヒトの心と魂を奪う、、、」
「何も喋らせないうちにソブンガルデに送りつけるべきでしょう!」
嫁は武器を握ったまま動かなくなったドラウグル達に目をやった。
「こいつらは死霊術士を即死させた後も普通に襲い掛かってきました、、、」
「つまり、”彼らによって創造されたり再起動させられたワケじゃない”ってコトだな?」
俺が後を続けると嫁はこくりと頷いた。
「単なる死霊術の応用なら手に負えない相手ではないと思います、、、」
「でも、もし、、、”超常の存在”が介入しているのだったら、、、」
「、、、デイドラ、、か」
ダンジョンやクエストの途中で引き返したくなる瞬間だ、、、まったく、奴等が絡むと話はややこしくなる上に理不尽な結末に至る場合がほとんどだ!
俺は盛大にため息をつくと、「もし奴等絡みの一件だったら途中で引き返すぞ?」と嫁に念を押してその先に続く横穴に向かった。
「ルア」率いる死霊術士の一党がナニを目指して地下道を掘り進んでいるのかは定かではないが、彼(彼女)らがなんらかの方法で地下に眠っていたドラウグルを手懐け(?)て作業を進めているらしい。
目的によっては俺がとやかく言うことではないかもしれない、、、例えば、何処かで聞いたような話だが、、、半永久的に稼動するドラウグルを利用して大規模な土木工事をさせたり、木材の斬り出し等の比較的単純作業に従事させることで生産コストを極限まで圧縮する事が出来るだろう?
アンデッドが賃金を求めてストライキするような事態も考えられないので、どんな産業にせよ受注額は常識外に安くすることが出来る、、、信用さえ得られればスカイリムでのシェアは確実に一社独占状態になるに違いない。
そんな下世話なことを考えていたら少しは気が楽になった、、、その時はその時で、どこぞの首長の補佐官宛てにでも投書してやればいい。
「アンタらの先祖を無理やり働かせている不道徳な奴等が居る」
そこまでで俺の仕事はおしまいだ、、、後は当事者同士が話し合いなり殺し合いなりで決着すればいいだけの話だ。
そもそも、俺はノルドじゃねェし、な。
「!」
おっと、、、何も無いかと思ったら結構大掛かりな罠が仕掛けてあるじゃないか、、、。
これだけ警戒しているってコトは、正直言って「えへw悪いことやってますよwww」ってコトだよねぇ、、、。
(プレッシャープレートだ、踏むと天井が落ちてくるぞ、、、)
俺は後ろに居る嫁に身振りで伝え、罠のスイッチを避けて大回りする。
罠の仕掛けてある部屋の先は、床一面に菌類がびっしりと生えた天井の高い部屋だった。
やれやれ、、、やっと腰を伸ばして歩けるか!
そう思って立ち上がりかけた俺は、そのまま動きを止めた。
この先はどうやら何らかの遺跡になっているようで明らかに素人が作った急造のトンネルと違い、墳墓にありがちな古びたカビ臭い空気と古代人による滑らかな石造りだった。
、、、そして、幸いまだ気がつかれてはいないようだが、中二階になっているバルコニーの上に虚ろな目をした武装したドラウグルが徘徊していた。
俺は素早く矢を放ち、ドラウグルは叫ぶことも無くその場に崩れた、、、しかし
「誰か、、、そこに居るの!?」
「!!」
女の声が俺の居る場所の頭の上から聞こえた!
(チッ!死霊術士かッ!)
俺は片目を瞑るとそのままの場所から天井に吊るしてあった大型のランプに狙いをつける。
矢が命中して地上に落ちたランプがボンッ!と音を立てて燃え上がり、周囲を一瞬明るく照らす、、、そしてすぐに炎が消えて周囲は暗闇に包まれた。
俺は瞑っていた目を開くとそのまま斜め前にでんぐり返しをするように通路から部屋の真ん中に躍り出ると、声の聞こえた場所から見当をつけて女の居るであろう方へ向き直った。
女は俺が居た場所の真上に作ってあった木造のバルコニーの上で防護魔法を唱えていたのだろう、、、全身にチリチリとオーラが見て取れたが、急に訪れた暗闇に俺を見失っているようだった。
俺は女の輪郭を浮かび上がらせる魔法のオーラを頼りに矢を放った。
バルコニーの上は女の研究室だったようだ。
テーブルには様々な資料や参考文献が乱雑に詰まれており、いくつかの錬金試料と共に作業台の上にはまだリネンラップに包まれているドラウグル達が並べてあった、、、。
「、、、コレだけじゃ心得の無い俺には解らんが、、、」
俺は作業台の上で虚ろな半目を開けている簀巻きのドラウグルを横目に嫁に話しかけていた。
「どうやら結構真面目に研究してるみたいだな、、、彼らを使役させる方法を編み出したという線も案外大当たりかも知れないぜ?」
「、、、そういや何処かのダンジョンで見つけた書物にドラウグルと意思の疎通を試みたってハナシが載っていたな、、、」
「本当に?、、、あんなに凶暴な奴等と話し合いをしてみようなんて物好きね、、、」
「ああ、確か相当な時間をかけて”自分は無害な存在です”って、アピールするって言うより慣らすって言う方が適切じゃないかな?、、、兎も角、そんな方法でお互いに干渉しなければ一緒に生活できるようになったって書いてあったなァ」
「ソレが事実ならば、今回の件も単なる共生なのかも知れないが、、、」
「あら!それじゃさっきの部屋のドラウグルの鉱夫達は誰にあの作業を命じられていたのかしら?」
嫁はふん!と鼻を鳴らして言った。
「作業が自発的なものでないなら指示した奴が居るはずよ!」
ふむ、、、確かに、な。
俺は何かがチリッとアタマの中を掠めるように閃いた。
「そうか、、、自発的にしていたのかも知れないな、、、」
「なんですって?」
「ドラウグル達は何のために侵入者を襲うんだ?」
嫁は「はぁ?」と言うなり眉根を寄せてこちらを睨みつけた。
「そりゃ、、、やっぱり眠りを邪魔された、、から?」
「半分正解、、、恐らくは”主人の眠りを妨げようとする侵入者”だからじゃないかな?」
「これは半分は想像だが、彼ら、、、ドラウグル達は主人への忠誠がその行動原理の大部分なんだと思う、、、」
「つまり、死霊術士達はドラウグルに”それが合目的的である”と暗示する方法を編み出したんじゃないかな?」
「、、、なるほど、、、”この行動が主人の為になる”と思わせるってコトね?」
「あるいは、、、死霊術士自体が”主人に成りすます”か、だな」
「ノウハウが書物にまとまっていたら高く売れるかも知れないわね、、、」
こんなヘンな会話なのに悪戯っぽく微笑む嫁を可愛いと思ってしまう俺は、やっぱり趣味が悪いのだろうか?
続く、、、
【壮大なる】Skyrim【プロローグ】
2012年6月17日 日常 コメント (4)
毎日毎日ブラックリーチを彷徨していると、幾分憂鬱な気持ちになってくる。
まぁ、あそこには陽が差さない、、、テガミバチの世界の様に真っ暗な空には僅かな範囲だけを照らす、ドワーフ達の残した人工太陽が頼りない光を投げかけるだけの暗闇の世界だからな、、、。
しかも、ちょっと気を抜くとファルメルやファルメルやファルメルやファーマーやらフェルメールだかが大挙して襲い掛かってくるわ、巨人や蒸気巨人(ドワーフセンチュリオン様)が徘徊してるもんだからね、、、暗いのと危ないのとで大変に気を遣うんだよ、、、。
ほら、連中は人間と違って手加減してくれないじゃん?
俺はいいけど(よくないけど)嫁が惨殺されちゃうんだよ、、、囲まれてフルボッコじゃん、、、ないわー。
、、、それでもたまたま拝借した宿に残されていた「シンデリオンの日記」を読んだことから、この(見たところ相当な勢いで惨殺されている)志半ばにして凶弾に倒れた本草学者の研究を完成させるべくブラックリーチを隈なく歩いて赤いニルンルート(クリムゾンニルンルート)を30株集めるという仕事に取り掛かっていた。
「ふぅ、、、これでやっと17本か、、、!」
俺は陸地にも生える種類だとは聞いていたが、それでも主に水辺からの探索を進めていた。
どっちにしろ道端よりは断然水辺に多いし、うっかりファルメルや巨人に出会っても水に逃げ込めば聴覚を頼りにしている連中からは大概逃げ切れるからな。
「、、、おーい!そろそろ引き揚げようぜ」
俺は特に水辺を移動しているといつの間にかスイスイと泳いでいる嫁に声をかけた、、、しかしよく盾持ったまま泳ぐよなぁ、、、アレだけは何時見ても違和感たっぷりだぜ。
ブラックリーチ内には各所に地上へと続くエレベーターが用意されている、俺は近くにあったそのうちの一基を使って地上へと向かった。
ビュォォオオオオ・・・・
「うへぇっ!寒ッ!!」
ブラックリーチは地下に広がる大空洞だ、、、湿気と地熱、、、そして人工太陽の影響だろうか?うだるような熱気と湿気で至る所に巨大菌類が繁殖し、その覇権を争っている、、、まぁ、見た目はちょっとスッキリしてるが「腐海」みたいなモンだと思っておけばいいかね?常時「午後の胞子」が舞い飛んでいるけどな。
地上に出るとそこはウィンターホールドの少し南西に位置する山脈の中腹辺りの森林地帯だった、、、一面の雪景色にさっきまで暑さしのぎに泳いでいたもんだから身も心も凍えそうになるね。
早々に雪トロールに襲われるが、素早く嫁が盾で攻撃を受け止める。
その隙に俺が少し横に回りこんで弓で止めを刺す、、、流石夫婦!見事な連携だ!←誰だよ?
「、、、運動にはなったがやっぱり寒くてかなわんなァ、、、」
「早くウチへ帰りましょう」
「そうだな、、、シャドウメアを呼ぶか、、、」
俺はかじかんでよく動かない右手の指をよく揉み解し、指笛を吹いた。
、、、それにしてもこのアストリッドに貰った馬は謎だよな、、、呼べば何時の間にか物陰から現れるだろ?
やっぱり妖怪変化の類なのかね?
今回も森の奥から現れたシャドウメアに、嫁と荷物を満載して一路リフテンのウチに向かった。
「おかえりなさい、従士様」
自宅のドアを開けると、当たり前のようにイオナが出てきて挨拶した。
「お掃除とシーツの洗濯はしておきました」
「ああ、そうみたいだな、、、」
俺はリビングを見回して軽く頷いた。
「、、、パンも喰ってたみたいだな」
「ええ、これも仕事ですから」(モグモグ、、、)
「それは従士の仕事じゃないわよ!」
嫁が気色ばむが、オマエだってホワイトランの家で留守番してるときにはいつでも俺の寝室でパンかじってたじゃねーか!、、、とか言ったら火に油というか俺の命が危ないので聞かなかったことにしよう。
俺は俺にとっての日常が戻ったようでこういうやりとりはちょっとホッとするのさ。
数日をリフテンで過ごした俺は、連日のブラックリーチ探索での疲労を癒すためにショールストーンの先にあるエルダーグリーム聖域周辺に出掛けた。
まぁ、これにはちょいと理由があってね、、、自宅の薬品貯蔵庫に以前の探索で保管してあったクリムゾン・ニルンルートが13本あると思っていたんだけど、、、どんな効果がある素材なのか確かめようとして一本喰っちゃってたのを忘れてたんだよ。
だからもう一本探しに行くのにまたあそこに潜るのかと思うと、、、なんだかちょっとキビシくなっちゃってねェ、、、そんなこんなでもう終わりだと思ってた嫁もすっかり機嫌が悪くなってしまったのでな、、、機嫌取り半分、俺の骨休め半分なのさ。
、、、あの辺りはすっかり荒れ果ててしまい、今となっては野盗や山賊が跋扈し、ドラゴンが昼夜を問わず飛び回る普通の人間にとっては近寄りがたい土地だが、良質の温泉が湧き出す知る人ぞ知る湯治場だ。
(、、、そこで出会った奇妙な夫婦の少し悲しい物語を語るのは、また別の機会にしよう)
湯に浸かっている間に山賊を10人ほどとドラゴン2匹を撃ち殺したが、、、もう少し俺を放っておいてくれないものかね?
俺とリディアが「やっぱり街に戻ってゆっくりしよう」と結論したのは二日目の夕方だった。
「、、、ドラゴンを引き寄せる匂いでも出てるんですか?」
動かなくなった巨大な爬虫類を横目に嫁が聞いてきた。
「ぃゃ、、、特にPRしてるつもりは無いんだが、な、、、」
骨と鱗、そして今までに撃ち込まれてその体表に残っている弓矢を引き抜きながら俺が応える。
「俺だって、好き好んで殺してるワケじゃねぇんだけどなぁ、、、」
俺は先日ハイ・フロスガーで「長話」をした白龍パーサーナックスのことを思い出し、はからずも「こんな奴等とだったら一緒に暮らせそうなのに、、、」と考えてしまった自分は魂の部分はむしろヒトよりも龍に近いのだと感じていた。
「兎に角、ここは俺にとっても次々に沸き出す龍にとっても都合が悪い、、、明日の朝には出発しようか、、、」
「そうですね、、、」
嫁はコクンと頷くと近くの平坦な草の原に鹿の毛皮を縫い合わせたマットや、木組みの簡易テントを準備し始めた。
翌朝、明るくなるとすぐに嫁の作った朝食を食べ、リフテンを目指して歩き出した。
予定通りに進めばショールストーンには「暗くなる前にたどり着ける」筈だった。
、、、コトの発端は鹿である。
少しゲームに熱中し過ぎ、ふと我に還ったら思わぬ散財をしていたりビックリするほど時間が経過していたり、、、、そんな経験は無いか?←無いワケが無い
普段は様々なモノを生産し、それに付呪して販売するのを生業としている俺だが、最近は素材を街中の業者から一括購入して加工のみを自宅兼工房で行っている。
「たまには初心に帰って、、、」などと言い出したのがどちらだったのかは今となっては分からないが、兎に角「毛皮のために鹿を狩る」競争になったのは確かだ。
久々のディアハンターはブランクも手伝ってなかなか成果の上がらないラブゲーム的な様相を呈していた。
(ラブゲームと言っても「恋の駆け引き」じゃないぞ?「零点ゲーム」の方だ)
普通はディアハントって言えば獣道や水場でのアンブッシュ(待ち伏せ)やストーキング(隠密接敵)が王道なんだろうが、何しろ歩いている最中に見かけた鹿を我先にと走って追いかけ、走りながら矢を放つもんだから当たらない当たらない、、、。
「、、、ぉぃ、、、そろそろ日が暮れてきたんだが?」
「ぇぇ、、、そのようですね、アナタ、、、」
俺たちは獲物を追いたてるだけ追いたて、ほとんど何も獲得しないまま矢筒だけを軽くして夕方を迎えていた。←馬鹿
「と、、とりあえず、今日のところは引き分けってコトで、、、」
俺は周囲を見回し、ここが山間の緩斜面でしかも山に遮られる様に今まさに西日が消えようとしているの見て取った。
「、、、早急に野営の準備をしないと、な」
嫁は返事をしようとしてこちらを見ると、ふと、俺の後ろに何かを見つけたように眉根を寄せた。
「ええ、、、でも、あそこに焚き火が見えるわ」
「!」
慌てて俺が振り返ると、確かにちらちらと小さな炎が見え隠れしている。
俺と嫁は顔を見合わせた、、、この世界の住人のうちマトモな連中の9割は街や村に集団で住み着いている。
人里離れた山奥で善良な狩人に出会い、一宿一飯の恩を着る事よりも「ここに来るべきじゃなかったな、、、!」というお決まりの文句で棍棒や手斧を振り回す山賊に追い回される可能性のほうが断然高いのだ。
「、、、ダメ元で行ってみるか?」
「ええ」
嫁は碧水晶の斧を素早く構えると、薄く笑みを浮かべた。
「必要があれば、殺せばいいし、ね」
夕闇迫る森の中で見つけた仄かな炎の揺らめきは、実際にはちょっとした渓谷を挟んだ向かい側の斜面だった。
たっぷり一時間ほどかけて沢を迂回してゆくと、古い街道らしき比較的しっかりしている馬車の通れそうな道路から少し山側へ入ったところに石を切り出して組み合わせたような古代遺跡の入り口めいたものがある。
「、、、ここか、、、」
俺は念のため街道沿いの遺跡の入り口にシャドウメアと嫁を置き、一人で焚き火に向かって歩いていった。
俺はわざと足音を立てて歩き、害意の無いことを示すために両手を自由にしながら焚き火の周りでなにやらせわしなく動いているローブを身にまとった人影に向かって声をかけた。
「、、、こんばんは!」
俺から見て焚き火の向こう側に居た人影が一瞬、ビクッと緊張した。
「夜分に申し訳ないが、ちょいと道に迷っちまってねェ、、、」
「動くなッ!!」
人影の声から察するにまだ若い男のようだった。
弾かれるように焚き火近くのテーブルに立て掛けてあった杖を手に取ると、男は焚き火の向こうからでは俺のことが良く見えないらしく(俺からは焚き火に照らされて男が良く見えるのだが)、眉間にしわを寄せて厳しい目つきで俺の声がしたほうを油断無く見据えて言った。
「、、、ここはお前等のような山賊共にくれてやるものは一つしかないぞッ!」
「ちょっ、、、ちょっと待て!待ってって!!」
俺は慌てて男にも見えるように焚き火の明かりの届く範囲に歩み出た。
「いいか?、、、撃つなよ、、、頼むから、撃つなよ?」
俺が何も持たずに両手を挙げているのを見て、男は少しは安心したのかいきなり俺に電撃を食らわすようなことはしなかったが、依然として厳しい目線を送ってくる。
「停まれ!、、、一体何者だ!?」
「何者って言われても、、、まぁ、リフテンからの旅行者ですよ」
「、、、街道を歩いていたらちょいと道を逸れちまったみたいでしてね、、、」
俺が解り易く答えようとするのを遮って、男は言った。
「残念だが、ここはオマエみたいな怪しい旅行者もお断りだ」
男はぴしゃりと会話を打ち切った、、、取り付く島も無ェなぁ、、、そして
「死ねッ!オマエはここへ来るべきじゃ、、、あッ!」
男がローブの裾を翻して杖を振り上げると、急に身体を「く」の字に折り曲げて弾ける様に後方へすっ飛んでいった、、、俺が振り返ると街道で待たせておいた嫁が何時の間にか二の矢を番えた弓を構えて立っていた。
「、、、助かったよ、ありがとう」
「思ったとおり、、、悪党だったわね」
まぁね、、、半ば予想された展開だったが、ね。
「、、、まったく、何時からこの世はこんな散歩してるとその都度悪党の巣窟に踏み込んじゃうようになっちゃったのかしら?」
嫁が呆れるのももっともだと思いつつ、俺はここもまたいつもの様な山賊の住処ではないかと思い始めていた。
、、、眠いので、また後で。
まぁ、あそこには陽が差さない、、、テガミバチの世界の様に真っ暗な空には僅かな範囲だけを照らす、ドワーフ達の残した人工太陽が頼りない光を投げかけるだけの暗闇の世界だからな、、、。
しかも、ちょっと気を抜くとファルメルやファルメルやファルメルやファーマーやらフェルメールだかが大挙して襲い掛かってくるわ、巨人や蒸気巨人(ドワーフセンチュリオン様)が徘徊してるもんだからね、、、暗いのと危ないのとで大変に気を遣うんだよ、、、。
ほら、連中は人間と違って手加減してくれないじゃん?
俺はいいけど(よくないけど)嫁が惨殺されちゃうんだよ、、、囲まれてフルボッコじゃん、、、ないわー。
、、、それでもたまたま拝借した宿に残されていた「シンデリオンの日記」を読んだことから、この(見たところ相当な勢いで惨殺されている)志半ばにして凶弾に倒れた本草学者の研究を完成させるべくブラックリーチを隈なく歩いて赤いニルンルート(クリムゾンニルンルート)を30株集めるという仕事に取り掛かっていた。
「ふぅ、、、これでやっと17本か、、、!」
俺は陸地にも生える種類だとは聞いていたが、それでも主に水辺からの探索を進めていた。
どっちにしろ道端よりは断然水辺に多いし、うっかりファルメルや巨人に出会っても水に逃げ込めば聴覚を頼りにしている連中からは大概逃げ切れるからな。
「、、、おーい!そろそろ引き揚げようぜ」
俺は特に水辺を移動しているといつの間にかスイスイと泳いでいる嫁に声をかけた、、、しかしよく盾持ったまま泳ぐよなぁ、、、アレだけは何時見ても違和感たっぷりだぜ。
ブラックリーチ内には各所に地上へと続くエレベーターが用意されている、俺は近くにあったそのうちの一基を使って地上へと向かった。
ビュォォオオオオ・・・・
「うへぇっ!寒ッ!!」
ブラックリーチは地下に広がる大空洞だ、、、湿気と地熱、、、そして人工太陽の影響だろうか?うだるような熱気と湿気で至る所に巨大菌類が繁殖し、その覇権を争っている、、、まぁ、見た目はちょっとスッキリしてるが「腐海」みたいなモンだと思っておけばいいかね?常時「午後の胞子」が舞い飛んでいるけどな。
地上に出るとそこはウィンターホールドの少し南西に位置する山脈の中腹辺りの森林地帯だった、、、一面の雪景色にさっきまで暑さしのぎに泳いでいたもんだから身も心も凍えそうになるね。
早々に雪トロールに襲われるが、素早く嫁が盾で攻撃を受け止める。
その隙に俺が少し横に回りこんで弓で止めを刺す、、、流石夫婦!見事な連携だ!←誰だよ?
「、、、運動にはなったがやっぱり寒くてかなわんなァ、、、」
「早くウチへ帰りましょう」
「そうだな、、、シャドウメアを呼ぶか、、、」
俺はかじかんでよく動かない右手の指をよく揉み解し、指笛を吹いた。
、、、それにしてもこのアストリッドに貰った馬は謎だよな、、、呼べば何時の間にか物陰から現れるだろ?
やっぱり妖怪変化の類なのかね?
今回も森の奥から現れたシャドウメアに、嫁と荷物を満載して一路リフテンのウチに向かった。
「おかえりなさい、従士様」
自宅のドアを開けると、当たり前のようにイオナが出てきて挨拶した。
「お掃除とシーツの洗濯はしておきました」
「ああ、そうみたいだな、、、」
俺はリビングを見回して軽く頷いた。
「、、、パンも喰ってたみたいだな」
「ええ、これも仕事ですから」(モグモグ、、、)
「それは従士の仕事じゃないわよ!」
嫁が気色ばむが、オマエだってホワイトランの家で留守番してるときにはいつでも俺の寝室でパンかじってたじゃねーか!、、、とか言ったら火に油というか俺の命が危ないので聞かなかったことにしよう。
俺は俺にとっての日常が戻ったようでこういうやりとりはちょっとホッとするのさ。
数日をリフテンで過ごした俺は、連日のブラックリーチ探索での疲労を癒すためにショールストーンの先にあるエルダーグリーム聖域周辺に出掛けた。
まぁ、これにはちょいと理由があってね、、、自宅の薬品貯蔵庫に以前の探索で保管してあったクリムゾン・ニルンルートが13本あると思っていたんだけど、、、どんな効果がある素材なのか確かめようとして一本喰っちゃってたのを忘れてたんだよ。
だからもう一本探しに行くのにまたあそこに潜るのかと思うと、、、なんだかちょっとキビシくなっちゃってねェ、、、そんなこんなでもう終わりだと思ってた嫁もすっかり機嫌が悪くなってしまったのでな、、、機嫌取り半分、俺の骨休め半分なのさ。
、、、あの辺りはすっかり荒れ果ててしまい、今となっては野盗や山賊が跋扈し、ドラゴンが昼夜を問わず飛び回る普通の人間にとっては近寄りがたい土地だが、良質の温泉が湧き出す知る人ぞ知る湯治場だ。
(、、、そこで出会った奇妙な夫婦の少し悲しい物語を語るのは、また別の機会にしよう)
湯に浸かっている間に山賊を10人ほどとドラゴン2匹を撃ち殺したが、、、もう少し俺を放っておいてくれないものかね?
俺とリディアが「やっぱり街に戻ってゆっくりしよう」と結論したのは二日目の夕方だった。
「、、、ドラゴンを引き寄せる匂いでも出てるんですか?」
動かなくなった巨大な爬虫類を横目に嫁が聞いてきた。
「ぃゃ、、、特にPRしてるつもりは無いんだが、な、、、」
骨と鱗、そして今までに撃ち込まれてその体表に残っている弓矢を引き抜きながら俺が応える。
「俺だって、好き好んで殺してるワケじゃねぇんだけどなぁ、、、」
俺は先日ハイ・フロスガーで「長話」をした白龍パーサーナックスのことを思い出し、はからずも「こんな奴等とだったら一緒に暮らせそうなのに、、、」と考えてしまった自分は魂の部分はむしろヒトよりも龍に近いのだと感じていた。
「兎に角、ここは俺にとっても次々に沸き出す龍にとっても都合が悪い、、、明日の朝には出発しようか、、、」
「そうですね、、、」
嫁はコクンと頷くと近くの平坦な草の原に鹿の毛皮を縫い合わせたマットや、木組みの簡易テントを準備し始めた。
翌朝、明るくなるとすぐに嫁の作った朝食を食べ、リフテンを目指して歩き出した。
予定通りに進めばショールストーンには「暗くなる前にたどり着ける」筈だった。
、、、コトの発端は鹿である。
少しゲームに熱中し過ぎ、ふと我に還ったら思わぬ散財をしていたりビックリするほど時間が経過していたり、、、、そんな経験は無いか?←無いワケが無い
普段は様々なモノを生産し、それに付呪して販売するのを生業としている俺だが、最近は素材を街中の業者から一括購入して加工のみを自宅兼工房で行っている。
「たまには初心に帰って、、、」などと言い出したのがどちらだったのかは今となっては分からないが、兎に角「毛皮のために鹿を狩る」競争になったのは確かだ。
久々のディアハンターはブランクも手伝ってなかなか成果の上がらないラブゲーム的な様相を呈していた。
(ラブゲームと言っても「恋の駆け引き」じゃないぞ?「零点ゲーム」の方だ)
普通はディアハントって言えば獣道や水場でのアンブッシュ(待ち伏せ)やストーキング(隠密接敵)が王道なんだろうが、何しろ歩いている最中に見かけた鹿を我先にと走って追いかけ、走りながら矢を放つもんだから当たらない当たらない、、、。
「、、、ぉぃ、、、そろそろ日が暮れてきたんだが?」
「ぇぇ、、、そのようですね、アナタ、、、」
俺たちは獲物を追いたてるだけ追いたて、ほとんど何も獲得しないまま矢筒だけを軽くして夕方を迎えていた。←馬鹿
「と、、とりあえず、今日のところは引き分けってコトで、、、」
俺は周囲を見回し、ここが山間の緩斜面でしかも山に遮られる様に今まさに西日が消えようとしているの見て取った。
「、、、早急に野営の準備をしないと、な」
嫁は返事をしようとしてこちらを見ると、ふと、俺の後ろに何かを見つけたように眉根を寄せた。
「ええ、、、でも、あそこに焚き火が見えるわ」
「!」
慌てて俺が振り返ると、確かにちらちらと小さな炎が見え隠れしている。
俺と嫁は顔を見合わせた、、、この世界の住人のうちマトモな連中の9割は街や村に集団で住み着いている。
人里離れた山奥で善良な狩人に出会い、一宿一飯の恩を着る事よりも「ここに来るべきじゃなかったな、、、!」というお決まりの文句で棍棒や手斧を振り回す山賊に追い回される可能性のほうが断然高いのだ。
「、、、ダメ元で行ってみるか?」
「ええ」
嫁は碧水晶の斧を素早く構えると、薄く笑みを浮かべた。
「必要があれば、殺せばいいし、ね」
夕闇迫る森の中で見つけた仄かな炎の揺らめきは、実際にはちょっとした渓谷を挟んだ向かい側の斜面だった。
たっぷり一時間ほどかけて沢を迂回してゆくと、古い街道らしき比較的しっかりしている馬車の通れそうな道路から少し山側へ入ったところに石を切り出して組み合わせたような古代遺跡の入り口めいたものがある。
「、、、ここか、、、」
俺は念のため街道沿いの遺跡の入り口にシャドウメアと嫁を置き、一人で焚き火に向かって歩いていった。
俺はわざと足音を立てて歩き、害意の無いことを示すために両手を自由にしながら焚き火の周りでなにやらせわしなく動いているローブを身にまとった人影に向かって声をかけた。
「、、、こんばんは!」
俺から見て焚き火の向こう側に居た人影が一瞬、ビクッと緊張した。
「夜分に申し訳ないが、ちょいと道に迷っちまってねェ、、、」
「動くなッ!!」
人影の声から察するにまだ若い男のようだった。
弾かれるように焚き火近くのテーブルに立て掛けてあった杖を手に取ると、男は焚き火の向こうからでは俺のことが良く見えないらしく(俺からは焚き火に照らされて男が良く見えるのだが)、眉間にしわを寄せて厳しい目つきで俺の声がしたほうを油断無く見据えて言った。
「、、、ここはお前等のような山賊共にくれてやるものは一つしかないぞッ!」
「ちょっ、、、ちょっと待て!待ってって!!」
俺は慌てて男にも見えるように焚き火の明かりの届く範囲に歩み出た。
「いいか?、、、撃つなよ、、、頼むから、撃つなよ?」
俺が何も持たずに両手を挙げているのを見て、男は少しは安心したのかいきなり俺に電撃を食らわすようなことはしなかったが、依然として厳しい目線を送ってくる。
「停まれ!、、、一体何者だ!?」
「何者って言われても、、、まぁ、リフテンからの旅行者ですよ」
「、、、街道を歩いていたらちょいと道を逸れちまったみたいでしてね、、、」
俺が解り易く答えようとするのを遮って、男は言った。
「残念だが、ここはオマエみたいな怪しい旅行者もお断りだ」
男はぴしゃりと会話を打ち切った、、、取り付く島も無ェなぁ、、、そして
「死ねッ!オマエはここへ来るべきじゃ、、、あッ!」
男がローブの裾を翻して杖を振り上げると、急に身体を「く」の字に折り曲げて弾ける様に後方へすっ飛んでいった、、、俺が振り返ると街道で待たせておいた嫁が何時の間にか二の矢を番えた弓を構えて立っていた。
「、、、助かったよ、ありがとう」
「思ったとおり、、、悪党だったわね」
まぁね、、、半ば予想された展開だったが、ね。
「、、、まったく、何時からこの世はこんな散歩してるとその都度悪党の巣窟に踏み込んじゃうようになっちゃったのかしら?」
嫁が呆れるのももっともだと思いつつ、俺はここもまたいつもの様な山賊の住処ではないかと思い始めていた。
、、、眠いので、また後で。
【本当の幸せは】Skyrim【案外近くにある】
2012年6月16日 日常 コメント (2)ジョジョアイス&困ってはいないが困ること
2012年6月15日 日常 コメント (6)
どうやら25周年のご様子、、、。
毎週読んでいたのは週間ジャンプ連載時のみなのでスティールボールラン以降は未知の領域ですね。
まぁ、中身は普通のラクトアイス。
当然の様にハズレでした。
話は変わるんだが、しばらく前から俺の家の縁の下にネコ(ここでは特に区別してこう表記する)が住み着いている。
最初は親猫だけだったのだが、春に増殖して以来少なくとも2~3匹の子猫も一緒に生活しているようだ。
(姿を見ることはあまり無いが、鳴声が複数匹をうかがわせる)
どういう経緯でウチに住み付いたのかはネコのみぞ知るコトだが、ウチの縁の下の通風孔の格子が一つ外れていたのを目ざとく見つけたに違いない。
俺にしてみればにゃーにゃーうるさいコトがたまにあるものの、特に実害が無いので駆除しようとは思わなかった、、、、、
が!
今週の木曜日の朝の事だ、、、。
朝、猫(特にこう表記してある場合は俺と一緒に住んでいる方の人間を指す)がゴミを出そうと玄関を開けると、ドアの外に置いてあった園芸用有機肥料の袋が無くなっているのに気が付いた。
!!
そして、玄関から茶色の肥料が点々と道路に落ちている、、、そう!まるで刑事モノのドラマで負傷した犯人が銃創を手で押さえつつ懸命に逃げていった血痕の様に!!
「これは、、、事件だわ!!」
猫は道路に残る犯人の痕跡を追って行った。
茶色の肥料は袋ごと引き摺っているかのように所々長く伸ばされながら家の前を横切り、隣戸のエントランスの階段を引き上げ、そしてまた俺の家の南側に引き込まれていた。
「一体、誰が、、、何の目的で、、、!?」
猫は疑念を抱きつつも家の横の通路を忍び足で進む、、、そして、、、
「なん、、、、だ、、、と!?」
茶色の肥料が引きずり込まれていたのは、俺の家の縁の下の通風孔だった。
「ネ、、コ?、、、なのか!?」
状況証拠は犯人(?)がネコ(ヒトじゃないほうの)であることを暗にどころか相当明らかに示している。
俺よりもネコの生態に詳しい猫でさえもネコが有機肥料を喰う(?)習慣があるかどうかは知らなかった、、、というか喰わないだろう?おい、常識的に考えて!
俺の日記友達(勝手にそう呼ばせてもらうぞ?フレンズ)にはネコ好きが多いと俺は思うので、折角だからこの謎を解いてもらおう等と虫のよい事を俺が思いつくのは自然の法則だろう?
というワケでひとつヨロシクお願いしたい。
(コメント欄に何故こういう事件が起こったのかと再発防止の秘策を書いて欲しい)
毎週読んでいたのは週間ジャンプ連載時のみなのでスティールボールラン以降は未知の領域ですね。
まぁ、中身は普通のラクトアイス。
当然の様にハズレでした。
話は変わるんだが、しばらく前から俺の家の縁の下にネコ(ここでは特に区別してこう表記する)が住み着いている。
最初は親猫だけだったのだが、春に増殖して以来少なくとも2~3匹の子猫も一緒に生活しているようだ。
(姿を見ることはあまり無いが、鳴声が複数匹をうかがわせる)
どういう経緯でウチに住み付いたのかはネコのみぞ知るコトだが、ウチの縁の下の通風孔の格子が一つ外れていたのを目ざとく見つけたに違いない。
俺にしてみればにゃーにゃーうるさいコトがたまにあるものの、特に実害が無いので駆除しようとは思わなかった、、、、、
が!
今週の木曜日の朝の事だ、、、。
朝、猫(特にこう表記してある場合は俺と一緒に住んでいる方の人間を指す)がゴミを出そうと玄関を開けると、ドアの外に置いてあった園芸用有機肥料の袋が無くなっているのに気が付いた。
!!
そして、玄関から茶色の肥料が点々と道路に落ちている、、、そう!まるで刑事モノのドラマで負傷した犯人が銃創を手で押さえつつ懸命に逃げていった血痕の様に!!
「これは、、、事件だわ!!」
猫は道路に残る犯人の痕跡を追って行った。
茶色の肥料は袋ごと引き摺っているかのように所々長く伸ばされながら家の前を横切り、隣戸のエントランスの階段を引き上げ、そしてまた俺の家の南側に引き込まれていた。
「一体、誰が、、、何の目的で、、、!?」
猫は疑念を抱きつつも家の横の通路を忍び足で進む、、、そして、、、
「なん、、、、だ、、、と!?」
茶色の肥料が引きずり込まれていたのは、俺の家の縁の下の通風孔だった。
「ネ、、コ?、、、なのか!?」
状況証拠は犯人(?)がネコ(ヒトじゃないほうの)であることを暗にどころか相当明らかに示している。
俺よりもネコの生態に詳しい猫でさえもネコが有機肥料を喰う(?)習慣があるかどうかは知らなかった、、、というか喰わないだろう?おい、常識的に考えて!
俺の日記友達(勝手にそう呼ばせてもらうぞ?フレンズ)にはネコ好きが多いと俺は思うので、折角だからこの謎を解いてもらおう等と虫のよい事を俺が思いつくのは自然の法則だろう?
というワケでひとつヨロシクお願いしたい。
(コメント欄に何故こういう事件が起こったのかと再発防止の秘策を書いて欲しい)
【アルゴニアンの】注・俺は良く知りません【弐寺女】
2012年6月15日 日常 コメント (4)【SAN値】既に狂っていたか!【偽装事件】
2012年6月14日 日常 コメント (10)
俺の店の二階・三階部分は住居になっていて、昔は大家さんの家族が住んでいたらしいのだが今は賃貸として貸し出されている。
そこに今の住人が入居してきたのは今から一月半ほど前(日記によれば4月23日らしい)のことになるかな?
まぁ、引っ越してきて早々に「俺の店のカギを寄越せ!」と言って来た事件は記憶にも新しいが、今度はまたよく分からないコトを要求して来て俺を呆れさせている。
先週の土曜日(6月9日)だったかな?朝、結構患者さんが居て忙しいときに突然上に住む奥さんがやってきた。
「ちょっと!アンタのせいでウチの郵便物が届かなくて迷惑しているんだけど、、、なんとかして!!」
理由は定かではないがちょっと潤んだ瞳で朝からいきなり公衆の面前で罵倒される始末である、、、なんだっていうんだろうねぇ?
「えーっと、、、ナニがどうしたっていうんですか?」
俺にしてみれば当然の質問である、、、俺が今知りえた情報は「上の家族の郵便物が届かない」という現象(未確認)と、「理由は定かではないが俺が原因」らしい(未確認)という二点だけである。
「どうもこうもナイわよ!アンタんちがこうして、、、」
上の奥さんは入り口で俺の店の片外開きのドアーに手をかけて続けた
「、、、入り口を開けっ放しにするもんだから、ウチの郵便受けが使えないじゃないの!!」
まぁ、ウチの玄関の構造は写真2・3を参照して欲しい、、、上の奥さんが言うには「俺の店がドアーを開けっ放しにしていることで、上の家の郵便ポストが全部隠れてしまい郵便物が届かない」ということらしい。
見た目は確かにポスト全体が透明なガラス製のドアーの陰になり、若干見つけづらいかもしれないな、、、。
しかしながら新米の郵便局員なりメール便配達員なりが夜間にでも配達しに来なければ、常識的に考えて問題のないレベルなのではないだろうか?
事実、俺がここで店を出して15年経過するが、今迄のどの入居者からも同様の指摘やクレームをいただいたことは一度たりとも無かった、、、。
(指摘が無いから問題が無いワケでは無いのだろうけど、誤配・遅配は敢えて言う必要の無いレベルだろ?)
ただ、俺はそのような既成事実をどんなに説明しても「こいつらに理解してもらうのは無理だ」と直感的に悟っている。
今度上に入居した連中は「誰かに文句をつけるのが生き甲斐」という人種、、、平たく言えば「クレーマー」なのだ。
何かちょっとでも気に入らないことがあると「自分が変化するのではなく、周囲を変化させて状況に対応する」のがその思考・行動様式ってワケだ。
別にそれが悪いわけじゃない、、、考え方・生き方の問題だ。
自分の凸を引っ込めて居場所に収まるか、他人を凹ませて自分の場所を作るのかってだけの違いだ。
そもそも「ガスの元栓を自分で自由にいじれる様に俺の店に出入りできるようにしてくれ」という大家への要求も、突き詰めれば100年に一度有るか無いか解らない様な稀有な事象(昨今の認識では地震災害はあって当然というものらしいが、、、)に対応すべく発せられたものである。
ただ、常識的に考えて俺の店はほとんど連休しないし、俺はバイクで15分の場所に住んでるし、大家や不動産屋も(通常なら)おおむね連絡から30分以内に現地に参上出来る様な立地である、、、つまり、実害はほとんど考えられない。
実害はほとんど考えられなくても万に一つの可能性がある限り、それはゼロじゃない、、、つまり自分達の生命や財産はおよそ思いつく限りの脅威に常に晒されているのだ!!
だからこそ、その脅威の芽を一つ残らず刈り取るべく行動するのは至極当然!!、、、まぁ、そんなトコかね?知らんけど。
もっとも俺は上の住人じゃないので正確なところはどうにも解らないが、察するに「我慢を強いられる」ということに対してほぼ耐性が無いのだろう。
一般社会の日常生活において互いの譲り合い・ささやかな遠慮といったものは「お互い様」という実に日本的な考え方によって当然、常識として根付いているものだと思っていた俺にとっては正直、驚きを禁じ得ない。
「じゃあ、、、こうしたらどうですかね?郵便受けの表札を入れ替えるってのはどうです?」
要は郵便受けが配達員により認識されやすい場所にあれば問題無かろうという発想である。
が、俺の予想に反して奥さんは目を剥いて反論した。
「そんなのじゃダメよ!!第一、アンタの店の郵便受けには鍵が付かないじゃないの!!」
なるほど、、、上の家の郵便受けにはわざわざ溶接で南京錠をかけられるように改造が施してあるのか、、、。
「じゃ、郵便受けごと交換しましょう、、、」
「なんですって!?」
俺は上の家の郵便受けは鍵がかかっているので確認できないが、自分の店の郵便受けのハッチを開けて中を見せた。
「ほら、、、中からネジを使って壁面に留めてあるだけなんです」
「色違いの同じ型の郵便受けですから、きっと壁に開けてあるネジ穴も位置がそう違わないと思います」
「、、、ッ!!」
営業用の古泉スマイルを見せる俺に一瞬、奥さんはなんだか複雑な表情を見せたが、すぐに自宅の玄関を開けて自分の夫を呼んだ。
旦那さんは出てくるなり「いや、アンタが悪いわけじゃなくて郵便配達の奴がな、、、!」などとよく解らない文句をブツブツ言っていたが、奥さんの説明を聞いてすぐにドライバーを持ち出してきた。
「あとは我々がやるので放っておいてくれていい!!」
、、、どうやら俺の店の郵便受けも取り付けてくれるようなのでお言葉に甘えて工事はお任せすることにした、、、まぁ、ありがたいお話であるし、俺が手を出したらそれはそれでまた気に入らない要素の一つになるのであろうからな。
その後、、、郵便局員が配達に来たので一応、郵便受けの位置を入れ替えた旨を伝えた。
「ぃゃ、危なかったッス!今、完全に間違えて入れるところだったッス!」
郵便局員は額の汗を拭きながらそう言って帰っていった、、、やっぱりこういうのは何か張り紙とかしてアピールしないといたずらに誤配を誘発するだけだろう?
やっぱりなにかこういう配慮に欠けてるから「次なるクレーム」を呼び込むんだろうねぇ、、、。
(それが狙いなのかも知れぬが、な)
それにしても俺の郵便受けに入れられた上の家宛ての郵便物は俺が不在でも好きに取れるけど、俺への郵便物が上の家の郵便受けに誤配されたら(むしろその可能性は異常に高確率、、、なにしろ15年もその場所にあったんだからな、、、)俺はどうしたらいいんだろうね?
俺と違って日中、ほぼ留守にしてるみたいだし、、、、配慮に欠けるっていうか「他人の事情なんてシラネ!」というその傍若無人ぶりには、呆れるというよりむしろ「清清しい」とまで思えるほどである。
まぁ、真似したいとは毛ほども思わぬけど、な。
そこに今の住人が入居してきたのは今から一月半ほど前(日記によれば4月23日らしい)のことになるかな?
まぁ、引っ越してきて早々に「俺の店のカギを寄越せ!」と言って来た事件は記憶にも新しいが、今度はまたよく分からないコトを要求して来て俺を呆れさせている。
先週の土曜日(6月9日)だったかな?朝、結構患者さんが居て忙しいときに突然上に住む奥さんがやってきた。
「ちょっと!アンタのせいでウチの郵便物が届かなくて迷惑しているんだけど、、、なんとかして!!」
理由は定かではないがちょっと潤んだ瞳で朝からいきなり公衆の面前で罵倒される始末である、、、なんだっていうんだろうねぇ?
「えーっと、、、ナニがどうしたっていうんですか?」
俺にしてみれば当然の質問である、、、俺が今知りえた情報は「上の家族の郵便物が届かない」という現象(未確認)と、「理由は定かではないが俺が原因」らしい(未確認)という二点だけである。
「どうもこうもナイわよ!アンタんちがこうして、、、」
上の奥さんは入り口で俺の店の片外開きのドアーに手をかけて続けた
「、、、入り口を開けっ放しにするもんだから、ウチの郵便受けが使えないじゃないの!!」
まぁ、ウチの玄関の構造は写真2・3を参照して欲しい、、、上の奥さんが言うには「俺の店がドアーを開けっ放しにしていることで、上の家の郵便ポストが全部隠れてしまい郵便物が届かない」ということらしい。
見た目は確かにポスト全体が透明なガラス製のドアーの陰になり、若干見つけづらいかもしれないな、、、。
しかしながら新米の郵便局員なりメール便配達員なりが夜間にでも配達しに来なければ、常識的に考えて問題のないレベルなのではないだろうか?
事実、俺がここで店を出して15年経過するが、今迄のどの入居者からも同様の指摘やクレームをいただいたことは一度たりとも無かった、、、。
(指摘が無いから問題が無いワケでは無いのだろうけど、誤配・遅配は敢えて言う必要の無いレベルだろ?)
ただ、俺はそのような既成事実をどんなに説明しても「こいつらに理解してもらうのは無理だ」と直感的に悟っている。
今度上に入居した連中は「誰かに文句をつけるのが生き甲斐」という人種、、、平たく言えば「クレーマー」なのだ。
何かちょっとでも気に入らないことがあると「自分が変化するのではなく、周囲を変化させて状況に対応する」のがその思考・行動様式ってワケだ。
別にそれが悪いわけじゃない、、、考え方・生き方の問題だ。
自分の凸を引っ込めて居場所に収まるか、他人を凹ませて自分の場所を作るのかってだけの違いだ。
そもそも「ガスの元栓を自分で自由にいじれる様に俺の店に出入りできるようにしてくれ」という大家への要求も、突き詰めれば100年に一度有るか無いか解らない様な稀有な事象(昨今の認識では地震災害はあって当然というものらしいが、、、)に対応すべく発せられたものである。
ただ、常識的に考えて俺の店はほとんど連休しないし、俺はバイクで15分の場所に住んでるし、大家や不動産屋も(通常なら)おおむね連絡から30分以内に現地に参上出来る様な立地である、、、つまり、実害はほとんど考えられない。
実害はほとんど考えられなくても万に一つの可能性がある限り、それはゼロじゃない、、、つまり自分達の生命や財産はおよそ思いつく限りの脅威に常に晒されているのだ!!
だからこそ、その脅威の芽を一つ残らず刈り取るべく行動するのは至極当然!!、、、まぁ、そんなトコかね?知らんけど。
もっとも俺は上の住人じゃないので正確なところはどうにも解らないが、察するに「我慢を強いられる」ということに対してほぼ耐性が無いのだろう。
一般社会の日常生活において互いの譲り合い・ささやかな遠慮といったものは「お互い様」という実に日本的な考え方によって当然、常識として根付いているものだと思っていた俺にとっては正直、驚きを禁じ得ない。
「じゃあ、、、こうしたらどうですかね?郵便受けの表札を入れ替えるってのはどうです?」
要は郵便受けが配達員により認識されやすい場所にあれば問題無かろうという発想である。
が、俺の予想に反して奥さんは目を剥いて反論した。
「そんなのじゃダメよ!!第一、アンタの店の郵便受けには鍵が付かないじゃないの!!」
なるほど、、、上の家の郵便受けにはわざわざ溶接で南京錠をかけられるように改造が施してあるのか、、、。
「じゃ、郵便受けごと交換しましょう、、、」
「なんですって!?」
俺は上の家の郵便受けは鍵がかかっているので確認できないが、自分の店の郵便受けのハッチを開けて中を見せた。
「ほら、、、中からネジを使って壁面に留めてあるだけなんです」
「色違いの同じ型の郵便受けですから、きっと壁に開けてあるネジ穴も位置がそう違わないと思います」
「、、、ッ!!」
営業用の古泉スマイルを見せる俺に一瞬、奥さんはなんだか複雑な表情を見せたが、すぐに自宅の玄関を開けて自分の夫を呼んだ。
旦那さんは出てくるなり「いや、アンタが悪いわけじゃなくて郵便配達の奴がな、、、!」などとよく解らない文句をブツブツ言っていたが、奥さんの説明を聞いてすぐにドライバーを持ち出してきた。
「あとは我々がやるので放っておいてくれていい!!」
、、、どうやら俺の店の郵便受けも取り付けてくれるようなのでお言葉に甘えて工事はお任せすることにした、、、まぁ、ありがたいお話であるし、俺が手を出したらそれはそれでまた気に入らない要素の一つになるのであろうからな。
その後、、、郵便局員が配達に来たので一応、郵便受けの位置を入れ替えた旨を伝えた。
「ぃゃ、危なかったッス!今、完全に間違えて入れるところだったッス!」
郵便局員は額の汗を拭きながらそう言って帰っていった、、、やっぱりこういうのは何か張り紙とかしてアピールしないといたずらに誤配を誘発するだけだろう?
やっぱりなにかこういう配慮に欠けてるから「次なるクレーム」を呼び込むんだろうねぇ、、、。
(それが狙いなのかも知れぬが、な)
それにしても俺の郵便受けに入れられた上の家宛ての郵便物は俺が不在でも好きに取れるけど、俺への郵便物が上の家の郵便受けに誤配されたら(むしろその可能性は異常に高確率、、、なにしろ15年もその場所にあったんだからな、、、)俺はどうしたらいいんだろうね?
俺と違って日中、ほぼ留守にしてるみたいだし、、、、配慮に欠けるっていうか「他人の事情なんてシラネ!」というその傍若無人ぶりには、呆れるというよりむしろ「清清しい」とまで思えるほどである。
まぁ、真似したいとは毛ほども思わぬけど、な。
【雨降りは】Skyrim【お絵描き】
2012年6月12日 日常 コメント (3)
仕事が暇過ぎて俺の寿命がマッハなんだが、、、?
困りつつも塗り塗り、、、完成!
カジ子さんの麻薬的事情ですね、、、そういえばブラックリーチの中で拾った本にカジートのことをカジートが書いた本がありました。←確か、、、
箇条書きにしてカジートの考え方や行動原理について言及していましたが、なんだか俺の思考形態に似ていてリアルカジート?とか思ってしまいました。
今度新しいキャラを創ってやり直すときもカジートを選ぼうと思います。
名前はどうしようかな、、、K=ザルゴとかモザイクとかがいいかな~。
困りつつも塗り塗り、、、完成!
カジ子さんの麻薬的事情ですね、、、そういえばブラックリーチの中で拾った本にカジートのことをカジートが書いた本がありました。←確か、、、
箇条書きにしてカジートの考え方や行動原理について言及していましたが、なんだか俺の思考形態に似ていてリアルカジート?とか思ってしまいました。
今度新しいキャラを創ってやり直すときもカジートを選ぼうと思います。
名前はどうしようかな、、、K=ザルゴとかモザイクとかがいいかな~。